「めし」:女はつらいよ #めし #成瀬巳喜男 #原節子 #上原謙 #大人の映画 #林芙美子
神保町シアターで開催中の特集「林芙美子と壷井栄 ー映画で愉しむ女流文学の世界ー」で、『めし』(1951年)を観ました。ポスターはカラーですが、モノクロ・スタンダードサイズであります。
70年以上前の映画なので、やっぱりいろいろと古いですよね。町の様子や住居の様子はもちろんのこと、人々の考え方(家族や夫婦や女にたいする考え方)がいかにも古くて、隔世の感があります。封建的で、男は威張っていて、女は一段低く見られていて、掃除機も洗濯機も電気釜も湯沸かし器もない時代の家事は、そりゃもう大変だったことがよくわかります。
というわけで、主婦の原節子がめっちゃ大変そうで、同情を禁じ得ません。その一方で、株屋なのに妙に稼ぎの悪い色男=上原謙の「憎み切れないダメ男」ぶりが、いかにも成瀬巳喜男です。あれこれ「金(かね)の話」になってるあたりも、いかにも成瀬なのです。それにしても、大人の映画ですよねえ。
奔放で迷惑な現代っ子役の島崎雪子が、かなりイラっとくるわがままぶりです。その島崎を𠮟りつける小林桂樹に胸のすく思い。また、二本柳寛の下心ダンディーも、実に似合いのキャスティング。そして大泉滉の若さとテディボーイっぽさにびっくりです。
この原作は、新聞連載の途中で林芙美子が急逝してしまったため、未完。なので、しょうがないのでしょうが、無理矢理丸く収めてしまったようなラストが、なんかイマイチです。妙に封建的に「こういうのが女の幸せ」とまとめてしまったところが、今観るとひっかかるのです。でも、当時は特に違和感なかったのかも知れませんね。時代って、そういうものです。
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