「街とその不確かな壁」ようやく読了 #街とその不確かな壁 #村上春樹
村上春樹の新刊長編小説『街とその不確かな壁』(新潮社)をようやく読み終えました。発売日の4月13日に買って、翌日から13日がかり。通勤の行き帰りの電車内でしか読まないから、まあそんなものなんです。「同じコストで長い間楽しめる」とも言えます。
もろもろ入れて672ページもある長編(本編最終ページのノンブルは655)ですが、あえて2巻分冊にしなかったのでしょうかね。3つのパートに分かれていて、普通の長さの第1部、やけに長い第2部、やけに短い第3部という構成。序破急ですかね。
面白いことは間違いなく、途中で何度か「村上春樹の文体を読むことの幸せ」をしみじみと感じました。物語の面白さってやつを味わえました。ただねえ…、終盤がもの足りなかったんですよ。これはこれで、「いかにも」「らしい」のですが、何かこれまで通り過ぎて、それを超える新しい何かはなかったですねー。まあ、それはないものねだりなのかも知れません。珍しくつけた「あとがき」で村上さんが書いているように(ボルヘスの言葉の引用)、「一人の作家が一生のうちに真摯に語ることができる物語は、基本的に数が限られている。我々はその限られた数のモチーフを、手を変え品を変え、さまざまな形に書き換えていくだけなのだ」ってことなんでしょうね。
今回は『1Q84』のように大きな話でも、『騎士団長殺し』のようにアクティブな話でもありません。抑制の効いた静謐な小説です。手触りは冷たくもあり、温かくもある。でも、その寓意は今一つ二つわかりにくかったなあ。果たして何が言いたかったのかと考えてみても、自分ではどうにもピント外れな答しか導き出せません。あ、それと、いつものように生々しい性描写はありませんでした。
6年ぶりの長編小説なのですが、村上さんは今74歳。次もまた6年後だとしたら、80歳ですよ! 80歳の村上春樹がどういうものを書くのか、それはかなり興味深いものがあります。でもまあ、鳥は同じ歌を歌い続けるのでしょうね。
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