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2023年4月10日 (月)

「硝子のジョニー 野獣のように見えて」(1962年):後半の失速が残念    #硝子のジョニー野獣のように見えて #芦川いづみ #別れる決心 #いづみちゃんロス #神保町シアター

Dsc_12554_copy_600x926 神保町シアターの特集上映『恋する女優  芦川いづみ』での10本目は、『硝子のジョニー 野獣のように見えて』(1962年/モノクロ・ワイド)。 何せ10本観た人に抽選で芦川いづみ作品のDVDが当たるスタンプラリーをやっていたもんで、頑張って10本観ちゃいました。「思うつぼ」ってやつですね。当たりますように! 何しろこの特集上映で土日には毎回、ポストカード抽選会(各回10名に当たる)ってのをやっていたのですが、大江戸は土日に鑑賞した5本のうち1枚も当たりませんでしたので、その分も!

さてさて、蔵原惟繕監督による本作は芸術祭参加作品だけあって、なかなか骨のある力作です。フェリーニの『道』を下敷きに作られたようで、要するに芦川さんの役は知恵遅れのジュリエッタ・マシーナなんですね。『道』同様に彼女は愛おしく、男二人は野獣のようで(ザンパノのようで)、そして悲しい作品です。

ただ、快調な前半に較べると、後半は明らかに失速します。妙に一つ一つの場面が間延びしています。延々とやる効果も出ていないし。後半の出来も良ければ、日本映画史に残るような名作になった可能性もあろうかと思うのですが、そうはなりませんでした。

(以降少々ネタバレあり) ラストもなかなか奇妙。あ、でもこのラストって最近観た気が・・・と思ったら、『別れる決心』(パク・チャヌク監督)のラストに共通するものがありますよね。何とも救いのない、しかも「まさかこれで終わりじゃないよね」と思っていたら、やっぱり「終」が出てしまったという、寂寞たるラストでありました。

芦川いづみさんは、知恵の遅れた娘の役を泥だらけになって演じます。割と同じような役(薄幸か明朗快活か、そして等身大)が多い彼女としては、珍しく作り込みが必要な役です。今なら日本アカデミー賞受賞か?って感じに演じています。ただ、割とこういう芝居は難しくないので、申し訳ないけど本作の芦川さんに深く感動はしませんでした。 先日観た『しあわせはどこに』(1956年)ではまだシリコン前で細面だった宍戸錠は、もうほっぺたが膨らんで、なじみの顔になってます。一方のアイ・ジョージは、とにかく声が良くて歌がうまいですね。

この作品、ポスターには「総天然色」と書いてあるし、絶対カラーが似合う作品だと思うのですが、モノクロでした。まさか『知と愛の出発』のように、コニカカラーで作られたけど今はモノクロプリントしかない、みたいな話じゃないんでしょうねえ。謎です。

神保町シアター、毎回ベテラン観客の比率の高さ、男性客の多さに驚いておりました。ここでは大江戸もひよっこです。これで(もう他の作品を観る予定はないので)通うのも終了かと思うと、「いづみちゃんロス」のような気持ちが胸に去来するのでありました。

(追記) 終盤にいづみちゃんがギターを床に何度も叩きつけて、破壊します。ザ・フーのピート・タウンゼントは、たぶんこの映画をどこかで観て、あのパフォーマンスを行うようになったのでしょう。 ←ウソ

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コメント

この作品、私も大分昔ですが映画館で観ております。やはりモノクロでした。
“総天然色”と表示された掲載のポスターは、多分製作決定当初の早刷り版じゃないでしょうか。日活公式サイトに予告編とポスターが掲載されていますが、予告編もモノクロだし、ポスターにも総天然色の表示はありません。 ↓
https://www.nikkatsu.com/movie/20672.html
おそらく、当初はカラーで撮影する予定だったのが、芸術祭参加の地味な作品でヒットしないと思った会社側が、製作費を節減する為にモノクロ作品に変更したものと思われます。

実際日活ではこの作品以外にも、当たらないだろうと会社が判断した場合、急遽カラー→モノクロに変更された例は他にもあるのです。鈴木清順監督の野川由美子主演「河内カルメン」(1966)は、予告編(特報)はカラーで作ってるのに、完成した映画はモノクロでした(DVDにもカラー版の特報が特典として収められています)。
ポスターや予告編を見てカラー作品と思って映画館に来た人は面食らった事でしょうね。

それにしてもキネ旬のウェブサイト、kinenoteの「野獣のように見えて」の作品紹介では、いまだに「カラー」となっているのには笑ってしまいます。

投稿: Kei | 2023年4月13日 (木) 11時27分

Keiさま、ありがとうございます!!
よくわかりました。すっきり腹落ちしました。
それにしても昔の予告編は長かったですよね。この作品も4分5秒ありました!

投稿: 大江戸時夫 | 2023年4月13日 (木) 21時58分

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