「ソフト/クワイエット」:胸クソ悪いけど、教育的 #ソフトクワイエット #胸クソ映画 #ヘイトクライム #白人至上主義
映画『ソフト/クワイエット』(原題は『Soft & Quiet』)は、信じられないほど胸クソ悪くて、信じられないほど真摯で、信じられないほどパワフルな作品。92分の作品ですが、全編ワンカット撮影。観ている自分も登場人物の陰からずっと現場で目撃し続けているような、そんな臨場感をもたらしています。
(以降少々ネタバレあり) 思い出すだけでムカムカするほどの白人至上主義で人種差別主義のゲス女たちが繰り広げるヘイトクライムの世界。不気味だし、恐ろしいし、とにかくdisgustingで、ほぼ全編平常心ではいられません。そして、カラードであり東洋人である私にとって他人事ではありませんし、これを作った意義は大きいと思います。だってこれを観たら、さすがにこいつらと同じような考えをちょっとでも持ったら恥だと思うはずですもん(そりゃあ何人かは「そうだそうだ」と賛同する人もいるのでしょうけれど)。「反面教師」として、教育的価値を持つ作品だと思うのです。
知った顔のいない俳優の皆さんも、よく頑張ったと思います。
ただ、終盤は割と凡庸。もっと驚くべきラストを創造できたら、映画史に輝く傑作となったかもしれないのに、そこはちょっと残念。
脚本・監督のベス・デ・アラウージョは、母親が中国系アメリカ人、父親がブラジル出身なのだそうですが、やはり自分の経験がこの作品のモチベーションになっているのでしょうね。考えてみれば、日本各地で起きているヘイトスピーチやヘイトクライムも、まったく同根だと思います。なので、日本からもこのようなパワフルな娯楽作品が生まれてしかるべきだと感じました。
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