「ヴィレッジ」:社会派の力作 #ヴィレッジ #藤井道人 #河村光庸 #横浜流星
映画『ヴィレッジ』は、故・河村光庸プロデューサーが、『新聞記者』の藤井道人監督と再びタッグを組んだ遺作(のうちの一つ)。パワフルな社会派の力作です。
地方の村社会の閉鎖性と閉塞感、ガラパゴス性、貧しさとそれゆえの違法の容認、同調圧力と村八分etc. 嫌な感じの空気と構造を、日本社会の縮図のように描いています。「村を守る」という大義名分のもと、正義がねじ曲げられ、政治家とヤクザが村を食い物にしています。観ていて辛く、腹立たしく、不快です。
脚本(藤井監督自身)のご都合主義や弱点はいろいろあるのですが、通俗の持つ力強さで押し切っていきます。藤井監督作品(そして河村プロデューサー作品)はいつもこの「通俗」のパワーで、多くの人に届く娯楽作の中に、訴えたいことをしっかり入れ込んでいるのです。
いやー、前半の負のオーラの塊みたいな陰性の横浜流星が凄いです。中盤以降の彼の変化も見事です。何気に豪華な本作のキャストを、堂々と「座長」として背負っています。 いつもながらその卑劣な暴力性に腹が立つ一ノ瀬ワタルや、腹芸を見せる古田新太、ギラギラの怪演を見せる杉本哲太、珍しくも自堕落なダメ母を演じる西田尚美など、それぞれの役者がいい仕事をしています。そして老けメイクでかなりのおばあちゃんを演じた(途中まで気づかなかった)木野花さん!
「能」を絡ませたことが、きちんと成功していないように思えました。「穴」に関してもそうです。それは残念な点。たぶん藤井監督は具象の人なので、観念的な部分の処理は苦手なのでしょう。そこらへんがうまくいったら、もっと傑作になったんでしょうけどねえ。
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