「ユーチューバー」by 村上龍 #ユーチューバー #村上龍 #小説ユーチューバー
巷で村上春樹の『街とその不確かな壁』ほどには話題になっていない村上龍の新刊『ユーチューバー』(3月30日発行/幻冬舎)を読みました。650ページ超で結構時間がかかった前者に対して、こちらは本文最終ページのノンブルが169なのでというコンパクトな本なので、2日で読んじゃいました。
それぞれつながりのある4作の短編集です。明らかに村上龍本人がモデルである「70歳になったばかりの作家」と。彼をユーチューブに出そうとする「世界一もてない男」の間をぐるぐるしている話です。写真のように、腰巻には「自由希望そしてセックス」などと大きく書いてありますが、読んでみると「なんか全然違うじゃないの」って話です。
これまでの村上龍作品の暴力的でアクの強いギラギラ感とは、まるで違っています。一言で言って「枯れた」感じ。暴力描写もなければ、性描写もほとんどなし。年寄りの回想めいた昔話に終始しておりまして、さすがに「いったいどうしちゃったの?」って感じなのです。だって、「若き日からの女性遍歴を思い出せるうちに書き残しておこう」ってことのように思えちゃうのです。これで「ユーチューバー」なんてタイトルつけられてもね…。
春樹さんの新作にも、性描写のなさとやや枯れた味を感じましたが、こっちの方が極端です。村上龍作品のファンは、こういうものを求めていないと思うのですが…。もうすっかり「危険な作家」ではなくて、『カンブリア宮殿』のおじさんになってしまったってことですかね。
次作での捲土重来に期待するとしましょう。
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