「鉄砲玉の美学」:ATG×東映の異色作 #鉄砲玉の美学 #中島貞夫 #渡瀬恒彦 #ラピュタ阿佐ヶ谷 #頭脳警察
映画『鉄砲玉の美学』(1973年)をラピュタ阿佐ヶ谷の(脚本家)野上龍雄特集で観ました。同じ建物に入っている演劇の劇場ユジク阿佐ヶ谷には昔行ったことがあったのですが、こちらは長年なぜか行かずにおりました。いい映画をやってるのは知っていましたが、阿佐ヶ谷という地にご縁がなかったもので。
いや、それにしても昔ながらの路地の先に、何とも独特の建物。確かに天空の城っぽい感じもありますね。この季節、樹木の多さも宮崎駿っぽさを出しているのでありました。
2階が映画館なのですが、1階の待機ロビーの壁面にはこんなサインがいっぱい。名前を見ると、仲代達矢とか緑魔子とか鰐渕晴子とかがあって、驚いちゃいます。
で、映画の方は、この6月に88歳で逝去した中島貞夫監督作品。音楽は頭脳警察!(こちらもつい先日、PANTAが73歳で亡くなりました)。考えてみれば、50年前の作品ですもんね。主演の渡瀬恒彦をはじめ、小池朝雄も川谷拓三も脚本の野上龍雄もみんな亡くなっています。
ATGと東映の提携作品です。確かに地味で、主人公もカッコ悪い、異色のヤクザ映画です。ラストなんて、アメリカン・ニューシネマの影響がもろに出ています。確かに商売になりにくそうな作品ですが、ATGがこんな作品(暴力あり、裸ありのヤクザ映画)まで作っていたんですねえ。でもこの主人公、粗野なだけで、「美学」って感じじゃないよねえ。
頭脳警察のロックに乗せて冒頭のタイトルバックに映し出される、口の周りを汚しながらワイルドに物を食ったり飲んだりする人々のアップも、エネルギ-は凄いけど「何これ?」って感じ。女性の扱いなどは、もろに時代性を感じさせるもので、今ならアウトでしょう。映画は「時代の証拠」ですねえ。
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