「aftersun アフターサン」:空気を描く秀逸な感覚 #アフターサン #aftersun #シャーロットウェルズ #フランキーコリオ
映画『aftersun アフターサン』は、何とも繊細な「おもいでの夏」のスケッチ。これ、好きな人はすっごく好きになるタイプの映画です。スコットランド生まれのシャーロット・ウェルズが脚本も手掛けた第一回監督作品。
「空気」の映画です。夏の空気、海辺の空気、朝の空気、昼の空気、夕方の空気、夜の空気をリアルに感じさせます。映像を通して、海辺の匂い、プールサイドの匂い、ホテルの部屋の匂いまでが感じられます。この監督の「感覚」が秀でているのでしょう。今後が楽しみですね。
父と娘の仲は良く、絆は強いのですが、ほのぼのした空気の中に、しばしば不穏なものがよぎります。父親に何か抱え込んでいる闇があるようなのですが、それが何かは結局最後まで明かされません。実はこの作品、大きくなった娘が昔のホームビデオを見て…という作りなのですが、監督の中にあるであろうその謎の正体が示されないので、観客としては戸惑うばかりです。
ただ、そのあたりを含めて、映画話術的にはとても上等です。時間や場所を縦横無尽にシャッフル編集して、徐々に全体像が見えてくる(それでも完全には見えない)ような構成。親切に説明することなく、観客に多くを委ねる語り口。なので、観客は似たような自分の体験を想い出し、置き換えていくのかも知れません。
少女を演じるフランキー・コリオのナチュラルさ、それを映像に掬い取ったシャーロット・ウェルズ監督、二人ともお見事でした。
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