「バービー」:ジェンダーをめぐる快作コメディ #バービー #映画バービー #グレタガーウィグ #マーゴットロビー #マテル
映画『バービー』は、観てびっくりのフェミニズム映画というか、ジェンダーにまつわるいろんな問題に言及したメッセージ色の強い作品。いや、監督がグレタ・ガーウィグ(脚本はグレタとノア・バームバックの共同)だから、そうなるのは必然だったのでしょうが、マテル社が関わった大規模の商業映画で、よくぞやりました。
いや、それってマテルが相当太っ腹だってことですよね。だって、作中にも今は女性役員がいないことをはじめ、いろいろとディスられ、いじられなのに、よくこれでOKを出したもんです。えらいなあ。日本の企業だと、絶対不可能でしょうねえ。
フェミニズムといっても、女性応援&男社会タタキばかりではなく、男性の呪縛や生き辛さも描いているのが賢く柔軟なところ。そして「そこまでやっちゃっていいんですかい?」って程にマテルを叩きながらも、最終的にはマテルやバービーを讃えてもいるあたり、やはり賢い脚本だと言わざるを得ません。
グレタ・ガーウィグ監督をはじめ製作陣がえらいのは、このメッセージ映画を純然たるエンタテインメントとしても成立させているところ。笑えるし、アガるし、ピンク・ピンク・ピンクだし。バービーにまつわる小ネタやパロディも含めて、楽しいのなんの。冒頭の『2001年宇宙の旅』のパロディなんか、もう最高でした!(なのに、劇場内の観客の多くがそれを理解できていない空気が流れていてびっくり。歴史上の名作20本ぐらいは、義務教育として全国民に中学生のうちにみせればいいのに。)
マーゴット・ロビーが適役なのは言うまでもありませんが、「陰の声」を使って彼女の存在自体で笑いを取る所まであって、それもまたサイコーでした。 一方のケンですが、ライアン・ゴズリングよくやりましたね、こんなアホな役。これから何を演じてもケンがちらついてしまうのではないかと心配です(『おそ松さん』実写版を観て以降、桜田ひよりを見るとチビ太にしか見えずに困っている大江戸です)。
アメリカでは大ヒットのようですが、主演の二人ともけっこう「大人」なので、年齢的&外見的に、続編はキビシイかな。 あと、人種の構成など多様性への配慮がかなり強く感じられるのは、最近のハリウッド映画の例にもれず。コンプラっていろいろ大変ですね。
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コメント
ゴタゴタはまあ置いといて、途中面白かったのがたった一回だったが「本音」、が画面上に ズバッ!!!と登場したシーンでした(汗)
それはバービーが「自分なんてもう可愛くない」とのたまう所。
でその瞬間、ナレを担当する ヘレン・ミレン が突っ込む。
「(美女の)マーゴット・ロビー にそう言われてもねえ… 」
この一言を体験するだけのためでも、本作を鑑賞する価値はある(かも? 笑)
投稿: onscreen | 2023年8月20日 (日) 11時27分
onscreenさん、あそこ笑えましたよね。
マーゴット・ロビーって、アッパラパーに見えるのに知的で、自分を客体視できる人ですからねえ(プロデューサーもやってるわけだし)。
投稿: 大江戸時夫 | 2023年8月20日 (日) 12時42分