「バカ塗りの娘」:職人父娘物語 #バカ塗りの娘 #津軽塗 #高野豆腐店の春 #鶴岡慧子
映画『バカ塗りの娘は、青森県の伝統工芸「津軽塗」の職人父娘の物語。実はシネスイッチ銀座で『高野豆腐店の春』とのハシゴで観たのですが、どちらも地方を舞台にして、その道一筋の頑固な職人の父と、同じ道を歩んでいく娘の物語という相似形。しかも本作の小林薫さんと『高野豆腐店の春』の中村久美さんは、元夫婦だったという不思議なご縁の2本です。
(『高野豆腐店の春』のレビューはこちら ↓ )
「高野豆腐店の春」:父娘もの×シニア恋愛もの #高野豆腐店の春 #藤竜也 #麻生久美子 #尾道: 大江戸時夫の東京温度 (cocolog-nifty.com)
ま、基本的に『高野豆腐店』は喜劇で、こちらはちょっと気取ったドラマ。でも、どちらも丁寧に描写しているのです。特に中核となる豆腐作り&津軽塗の作業の描写に関しては、時間をかけてじっくり描いています。それは必要なことですし、そういう作業は映画的に魅力的なものです。
ただ、良作ともそれ以外の人間ドラマを、特に後半はじっくり描きすぎて、そのテンポがあまりにもスロー過ぎて、閉口します。言っちゃあ悪いけど(でも言うけど)、無駄に長いのです。配信だったら、飛ばし見や倍速再生されちゃうんじゃないでしょうか? 大江戸はそんな失礼なことしませんけどね。
鶴岡慧子監督が脚本も担当していますが(小嶋健作との共同)、今の作品にふさわしく、性の多様性やジェンダー問題なども入れ込んでいます。木野花が言う「だから日本の男はダメなんだ」には、激しく同意した大江戸です。ああいう乾杯の場で、女性が「そこにいても見えない存在」になっていることって、日本のコミュニティーで、長らくありましたもんねえ(今もですか?)。
それはいいんですが、映画としては行儀良過ぎて、ちょっと物足りない感じでした。いろんな要素を入れた分、とっ散らかっちゃったし。ただ、「良い物は高い」(それでも職人は儲かっていない)という当然の事実を伝える姿勢は評価したいですし、もっとアピールしてもいいぐらいでした。
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