「ザ・キラー」:コクのある、映画らしい映画 #ザキラー #デイヴィッドフィンチャー #マイケルファスベンダー #本郷播 #ティルダスウィントン
映画『ザ・キラー』は、デイヴィッド・フィンチャー監督のネットフリックス作品。都内2-3館でひっそりと公開してくれたおかげで、ちゃんと映画館で観ることができました(小生は現在23区内で唯一上映しているシネ・リーブル池袋での鑑賞)。
この作品、映像と音響(音楽)が素晴らしいので、絶対映画館で観るべき作品です。とにかく映像に映画ならではのコクがあって、どのショットも「ああ、映画だなあ」っていう絵が全編にわたって続きます。フィンチャーってCMやMVの出身だから、初期には「MV的な絵作りだけ」みたいな批判をされていましたが、もう『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(2008年)以降は押しも押されもせぬ巨匠ですよね。映画らしい、いい映画作ります。
マイケル・ファスベンダーがクールに演じるこの殺し屋さんが、かなりスタイリッシュにカッコつけて、「オレの殺し屋哲学」をぶつぶつ語り続けるんですが、実は失敗したりうまくいかなかったりもするってあたりが、なんか泉昌之のマンガの本郷播みたいです(『かっこいいスキヤキ』とか『食の軍師』とかの)。このポスターの絵なんかも、そんな感じじゃありませんか。タンパク質摂取のため、エッグマックマフィンのバンズだけ捨ててハムとタマゴ部分を食べるって…、手がべちょべちょになりそうでイヤですね。それなのにカッコつけてるあたりも本郷播です。
とはいえフィンチャーだけに、ひりひりするサスペンスや激しいアクションや容赦のないバイオレンスは、さすがです。でもそれよりも、この殺し屋さんの準備とか後始末とか日常とかのディテールをを丹念に描く部分が秀逸です。銃器とか普通にゴミ箱に捨てちゃうしね。
(以降少々ネタバレあり) ファスベンダーとティルダ・スウィントンが対峙する場面のサスペンスが「人生」すら感じさせて、これまた秀逸(ダイアローグを含めて)。ティルダだからこれぐらいできるとはわかっていますが、ほんとに凄い女優ですよね、この人。
| 固定リンク
« 「ザ・クリエイター 創造者」:話術がヘタで… #ザクリエイター #ザクリエイター創造者 #ギャレスエドワーズ | トップページ | kino cinema 新宿、オープンしました #kinocinema #キノシネマ新宿 #木下グループの映画館 »
コメント