「彼方のうた」:説明されない物語 #彼方のうた #中村優子
映画『彼方のうた』は、とにかくミニマムで、ひたすら繊細な作品。めっちゃ観る人を選ぶ映画です。
「わからせるようには撮っていない」いません。でも長回しによる現代的なワビサビが、なんだか気持ちよくもあります。人に見せる映画として、とても不親切な作りではありますが、だからこそ立ち上(のぼ)る情感ってものもあるわけです。
大江戸は近年の日本映画のメジャー作品が、あまりにも台詞ですべてを説明していてバカみたい(というか観客レベルを非常に低く設定している)シンドロームにはまっていると思いますが、本作はその対極です。でもここまで不親切で他人にわからせようとしないってのも、さすがに自慰的過ぎるだろうと考えます。一応は商業映画(の極北)なんだから。
それにしても、意地になっているように「物語を説明しない」ので、とにかく想像力を働かせ続けるしかありません。それでも、自分の解釈が合っているのかどうかはわかりません。不安です。最後の最後まで答はでません。それどころか、最後の一言で新たな謎の沼に引きずり込まれます。でも「凄みのある一言」ではありました。
ここ2年ほどですっかり保険(ニッセイ)のCMのお母さんになってしまった中村優子さん、ナチュラルないい味出してました。この人は『ストロベリーショートケイクス』の頃から好きなのです。
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