「オッペンハイマー」:オトナの人間ドラマ #オッペンハイマー #クリストファーノーラン #IMAX #アイマックス
長く公開を待ち望んだ『オッペンハイマー』をようやくIMAX GTテクノロジー@グランドシネマサンシャイン(池袋)で鑑賞。1:1.43の画角のガチIMAXなので、印象としては巨大スクリーンがむしろ縦長ぐらいに感じられるのです。これで、クリストファー・ノーラン作品は、『ダークナイト』『ダンケルク』『テネット』『オッペンハイマー』と、4作連続ここで観ています。今回も、プラス800円の特別料金に値する映像体験(音響も)でした。
会員先行販売の開始時間(夜9時)から熾烈な席取り競争に参戦したものの、「只今大変つながりにくくなっております」みたいな表示が出て、なかなかつながらず、「チケットぴあでコンサートのチケットを取る時」状態になっておりました。それでも20分ぐらいでつながったのですが、今度は(たぶんタッチの差のタイミングで席を取られて)何度もエラーになってしまい、やり直し。9時半過ぎにようやく後ろから2列目を確保できました。あとは前から5列目ぐらいになってしまっていたので。
ガチIMAXは日本に2館、東日本に1館だけなので、その魅力を知ってる人たちでどうしても激戦になってしまいます。本当はTOHOシネマズさんとか大手が新設してくれればいいのですが、それをやると自社の一部劇場でやっている(1:1.43ではない横長の)IMAX(口の悪い方々は「ニセIMAX」とか「LIEMAX」とか言っているようですが)を自ら否定してしまうことになるので、できないんでしょうね。今のやつでIMAX特別料金を取っているわけですし。
いずれにせよ本作はアクション映画でもスペクタクルでもないので、視覚的興奮でわくわくしたり圧倒されたりする場面は、ほとんどありません。核兵器のエネルギーを表現するための炎の映像や、中盤の爆発実験シークェンスぐらいでしょうか。確かにそこらは、圧倒的な迫力です。でも大学構内の風景や砂漠の町の風景も、大画面の中で実に魅力的なのです。ああ、こういう作品を見せながら、スマホで映画を見る人を一人一人説得して善導したい、そんな気分です。
それはともかく、かなりオトナの映画でした。日本のメジャー系大作のようにわかりやすさを旨としておりませんし、台詞ですべてを説明するようなレベルの低い表現ではありません。しっかり聞いて(字幕を読んで)、頭を働かせて考えないと(いや、考えてもかな)理解できない部分は多いと思います。台詞の分量もハンパなく多いです。時制だって、いろいろと交錯します。でも面白い。面白いと言ってはちょっと違うかな。映画の密度の高さで、映画ならではの感銘を与えてくれるのです。こういう作品をアカデミー賞に選ぶって、やっぱり大したもんです(昨年の『エブエブ』の揺り戻しか?)。
役者ではキリアン・マーフィー(オッペンハイマー)はもちろんのこと、フローレンス・ピューも印象的。ロバート・ダウニーJr.はそんなに凄い芝居ではないのですが、これまでの(アイアンマン的な)印象とあまりに違うのでオスカー助演男優賞に輝いたのでしょうね。
大江戸としては『ダンケルク』の方を高く評価します。でも、『オッペンハイマー』の方がはるかに「人間を描いた作品」なのでありました。
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