「プロスペローの本」(1991年):グリーナウェイ美学との再会 #プロスペローの本 #ピーターグリーナウェイ #マイケルナイマン
映画『プロスペローの本』(1991年)を、シアター・イメージフォーラム(渋谷)の特集上映『ピーター・グリーナウェイ レトロスペクティヴ 美を患った魔術師』で観ました。初公開時に2度観て、その年のベストテン第1位に選び、今回が多分3度目の鑑賞です。
グリーナウェイ4作品の特集とは、良いことをやってくれますね。昨今の「個性の薄い」映画監督に飽き足らない気がしていて、強烈な美学を欲していたんですね、大江戸は。
CGが今ほどには多用されていなかった時代なので、この作品もほとんどCGなしだと思います。むしろ単純な合成をちょっと使うか、あとは実際のままに撮った映像。それでこの絵作り、この壮麗な美学ですから、凄いですよねえ。
今回の特集上映では「無修正」も売りの一つなのですが、この作品、そもそも裸の老若男女が大量に出ているのでありまして、最初から最後までほとんど共同大浴場状態。これ、初公開時には修正するのが大変だったろうなーと、今更ながら思いました。オープニング場面から、タイトルバックの延々と続く横移動を観るだけでも、どんだけ裸の人がいて、どんだけブラブラしてるのを見せられたんだろ?と、ちょっと胸焼け気味になりました。
そしてマイケル・ナイマンの音楽! グリーナウェイの映像にナイマンの音楽が重なって初めて、この美と狂気の世界が屹立するのです。やっぱり、圧巻でした。あと、ワダエミの衣装ももちろん見事なのです。
長年鳴りを潜めていたグリーナウェイですが、新作の情報もあるようで楽しみですよね。ただ、『ピーター・グリーナウェイの枕草子』みたいなトンデモ・ドイヒー映画も作った後なので、過度に期待せずに待つといたしましょう。
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