「ミッシング」:石原さとみの凄さに震えよ! #ミッシング #吉田恵輔 #石原さとみ
映画『ミッシング』、想像以上に傑作でした。やっぱり吉田恵輔監督は、現在日本の映画監督の中で5本の指に入る才人、むしろ異才の人です。脚本も吉田恵輔。現代日本の抱えるさまざまな社会問題や人間の在りようへの問題をぶっこんで、観る者に突きつけて来ます。そのえぐ味、容赦のない飲み下しにくさもまた、彼の持ち味です。
とにかく石原さとみが、震えるほどに凄すぎます! 想像のはるか上を翔んでいました。ほとんどすっぴんで、これまでのかわいさを取り払った彼女ですが、過去にそのようにしてイメージチェンジや脱皮を図った女優たちの比ではありません(シャーリーズ・セロンや長澤まさみよりもスゴイ)。息が止まるほどの演技を見せてくれる場面が何か所かあり、観ているこちらも動揺して、感動して、激しく揺すぶられました。あの警察署に駆けつけた場面の圧倒的な凄まじさは、必ずや映画史に残るものです。 もう本年度の主演女優賞は、彼女以外に考えられません。
もちろん、それを引き出した吉田恵輔の脚本と演出手腕も見事です。そして、共演した俳優陣もまた素晴らしいのです。青木崇高の抑えた芝居からにじみ出る深い愛。中村倫也の誠実そうな芝居が放つ、多くの観客にとっての当事者感覚(観客に一番近いのは、たぶん複雑な心情を抱えたこの人)。そして森優作の個性を生かした曲者芝居。
(以降少々ネタバレあり) 『空白』同様、微かな希望の光が感じられるラスト(今回は本当に光が輝いていますが)。この空気、この塩梅もまた吉田恵輔らしさであり、映画だなあ、いいなあと感じさせるものでありました。
てなわけで、1,200円のパンフレットを買ってしまいましたが、これが表紙を含む100ページ(無線綴じ)の大充実パンフ。うち37ページは、シナリオ決定稿がまるまる載っています。これもまたある種の覚悟のようなものが伝わる、素晴らしい仕事だと思いました。
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