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2024年5月 9日 (木)

「悪は存在しない」:濱口竜介のたくらみ    #悪は存在しない #濱口竜介 

1_20240509141401 映画『悪は存在しない』は、世界の濱口竜介の新作。昨年のヴェネツィア国際映画祭での銀熊賞受賞も記憶に新しいのですが、賛否の分かれる作品でもありましょう。大江戸はちょっと戸惑いながらも、「賛」です。映画のほとんどが、実に面白かった。

映像は質が高く美しく、でもどこか不穏。石橋英子による音楽も同様で、特にゆったりと流し続けた楽曲をブツっと切る不快さをあえて複数回用いているあたりも、濱口監督のたくらみなのでしょうか。

きれいな水を特長(誇り)として持つ村の開発をめぐる物語ですが、いやー、やっぱり濱口監督作品って、すべての場面、すべての台詞が面白い。もう、ダイアローグのうまさにまいっちゃいます。中にはかなりベタな台詞も混ざってはいましたが(でも、いいこと言ってる)、なんでこんなに魅力的な会話を生み出せるのでしょうか。今回は車中の高橋と黛(グランピング施設開発担当者の二人)の会話が、めっちゃ面白かったです。笑えたし。 そういえば前作『偶然と想像』の第1話でも、タクシー内での古川琴音と玄理の会話が、スリリングに面白かったですもんねー。あ、当然『ドライブ・マイ・カー』にもあったかな。

(以降少々ネタバレあり) 面白さの先に待っていた唐突で不可解なラストに、誰もが戸惑うことでしょう(当然小生も)。でも、考えたって正解なんてないのだと思います(あるいは考えたことのすべてが正解)。しかしながら、この想像を絶する「えっ?!」って感覚はどこかで味わったことがあると思ったら、…そうか『寝ても覚めても』のあの唐田えりかの衝撃的場面と共通するものがあるのです。突然の理解不能な行動がもたらす、天地がひっくり返るほどのインパクト。なるほど、これが濱口竜介の一つの(重要な)側面なのでしょうね。むしろ「たくらみ」と呼ぶべきかも知れません。

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