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2024年8月28日 (水)

「マミー」:疑わしきは…どうなっているのか?    #マミー #映画マミー #二村真弘 #林眞須美 #和歌山毒カレー事件 #疑わしきは被告人の利益に

Mommy 映画『マミー』は、1998年の和歌山毒カレー事件の“犯人”として2009年に死刑が確定した林眞須美が、本当に犯人だったのかという疑義を問いかけるドキュメンタリー。

確かに動機もなく、決定的な証拠もない事件です。有罪のポイントとなった目撃証言の不確かさや疑わしさ、鑑定の信憑性を、関わった人たちの証言によって、「決定的ではない」と思えるように観客を導いていきます。そういった意味では、非常に公平性を欠くドキュメンタリーですが、本作にはその姿勢が必要だったこともよくわかります。メディアによる誘導や、先入観、思い込みの危険性についても考えさせてくれます。

顔がうっすらわかる程度にボカシを入れた林夫妻の長男が、父である林健治(林眞須美の夫)と共に(二村真弘監督とも一緒に)、謎を追い、疑義を提示していきます。観ているうちに我々観客も、彼らと同じ側に立っている。そんな作品です。でも、健治氏が保険金詐欺については堂々と認めてあっけらかんと話すあたりには、唖然としてしまいます。

ただ、目撃と鑑定という大事な部分は疑わしいと示してくれるものの、「完全にシロ」だと示す証拠もないということにおいて、さらに大きなカギを握っている次女(長女は自殺してしまった)が出て来ない点も、どうにもモヤモヤする所であります。とはいえ、「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の原則からすると、「これで死刑にはできないだろう」という思いは強く沸き上がってきます(現在、林眞須美は大阪拘置所に拘留中)。

石井輝男監督の『地獄』(1999年)に、麻原彰晃や宮崎勤と並んで林眞須美が地獄で残酷ショーのような責め苦に遭う場面が出てきましたが、石井輝男が生きていてこの作品を観たらどう思ったでしょうか? 大江戸自身の思い込みも含めて、そんなことを考えさせられもしました。

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