「箱男」:執念の企画だというけれど… #箱男 #安部公房 #石井岳龍 #白本彩奈
映画『箱男』は、安部公房の1973年作品の映画化。『砂の女』も『他人の顔』も『燃えつきた地図』も映画になっているけど、これは初の映画化。そもそも1997年に今回と同じ石井岳龍(当時は石井聰亙)監督・永瀬正敏主演でクランクイン前日に中止となった企画だそうで、ようやく27年後に念願かなったわけです。執念の企画ですね。
しかーし、出来上がったものはかなりドイヒーなのでありました。何を隠そう小生は安部公房のファンで、学生時代にあらゆる作品を読み尽くしたのだりますが、「これって違うよねえ」という感じが終始つきまといました。まあ、その分石井岳龍作品になっているということかも知れませんが、この人もいい時と悪い時の振幅が大きい人で…、今回は悪かったですねえ。
石井監督が昔、安部公房から「コメディ―にしてほしい」と言われたそうですが、うーん、こういうことではないんじゃないかなあ。やはり石井監督のテイストと、安部公房の(あるいは、この作品の)テイストがミスフィットだったんじゃないかという気がしてなりません。
でもそれはそうとして、箱男同士のバトルシーンなんか、あまりにも滑稽で笑えましたよ。シュールだなあ。
オーディションで選ばれたという白本彩奈が、永瀬正敏、浅野忠信、佐藤浩市という只ならぬメンツを相手に堂々とした役者っぷりでした。今後伸びる人だとと思いますよ。
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