「ぼくのお日さま」:映画的な美しさと繊細さ #ぼくのお日さま #奥山大史 #池松壮亮
映画『ぼくのお日さま』は、繊細で美しい名作。実際に観るまでは、こんなに愛おしくも感銘深い作品だとは思いませんでした。さすが、カンヌの「ある視点」部門で絶賛されただけのことはあります。
監督・脚本・撮影・編集を担当した奥山大史って、凄い才能だと思いました。この人の長編デビュー作『僕はイエス様が嫌い』(2019年)を観落としていたことを大いに公開した大江戸です。1996年生まれ、今28歳ですからね。びっくりです。
とにかく撮影が美しいのです。単に美しいというよりは「映画的」。スケートリンクを捉えたロングショットをはじめ、構図がいい。カメラポジションがいいのです。観ていて、「これは監督の功績なのか?それともカメラマンの力なのか?」と思っていたのですが、なるほど一人で両方やっていたのですね。逆光の美しさ(学校の廊下で女の子が躍る場面!)も圧巻ですし、白く飛んだような画調も映画としての意味合いを持って迫ります。雪の中の青と赤の自動車なんて絵も、すっごく印象に残りました。
そして、ドビュッシーの『月の光』って、なんでこんなに人を感動させるんでしょうね。さらに、挿入歌のゾンビーズ“Goin Out of My Head”が流れるシークェンスの多幸感ときたら…。音楽と映像の結合においても、幸せな映画です。
幸せなだけではなく、苦さや痛みをしっかりと描き、そこに映画的な深みが加わっています。そしてラスト。やはり、人と人とがしっかり向き合うことから、何かが始まっていくのでしょう。
少年少女を演じた越山敬達と中西希亜良が(スケーティングを含めて)ピュアで、良い素材。いつもは不機嫌そうだったり暗くてめんどくさそうだったりする池松壮亮も、ほとんど初めてと言っていいぐらいに好感を持つことができました(そんな役柄でした)。
ああ、やっぱり映画として美しい。そして、胸に静かに沈殿し、しっかり留まる作品なのでした。
| 固定リンク
« 幸せなクリーム・スイーツ #クリームスイーツ #ふんわりロールケーキ #ホボクリム #ミルククリームボックス #丹波大納言小豆使用クリーム生どら焼き | トップページ | 湘南、東京Vに完勝! #湘南ベルマーレ #ベルマーレ #湘南対東京V #東京V湘南 #鈴木章斗 #上福元直人 »
コメント