「孤獨の人」(1957年):皇族の人権 #孤獨の人 #孤独の人 #芦川いづみ #学習院 #藤島泰輔
映画『孤獨の人』(1957年)をシネマヴェーラ渋谷で観ました。いや、芦川いづみが出演しているレア作品だってことが主目的で行ったのですが、これはなかなか興味深い作品でした。だって、学習院高等部にいた頃の平成天皇(当時は皇太子)とそのご学友をめぐる物語ですから。
皇太子はみんなから「殿下」と呼ばれ、後ろ姿や腕と白手袋だけで描写されます。どうも製作中に右翼からの脅迫状が日活に届いたりしたそうで、その影響もあってのことのようです。それにしても、こんなに殿下、殿下と呼ばれている人って、ウメ星殿下と『太陽にほえろ』の“殿下”(小野寺昭)ぐらいしか知りませんです。
自由のないお立場の殿下の孤独な青春。前々から思っていたことですが、本当に哀れだと思います。こんなに自由のない人生って、普通の人にはとても耐えられません。少なくとも大江戸には一日二日であっても、無理ですね。そこを「立場として」こなしていくのがが立派なところであり、それ以上に残酷なところです。本当に人権問題ではないのでしょうか?
こんな映画、よく作れたものです。学習院が協力していないのに、大学正門前とかラグビーグラウンドでロケをしちゃってますし。当時の皇太子を扱ってるわけですし。ある意味、侍従とか大夫とかを批判していますし。今では考えられませんね。ま、ちょっとした『ローマの休日』みたいにしてあるので、素直に哀感のあるいい映画だと思いました。監督は安定の西河克己。
主演格は津川雅彦ですが、小林旭がまじめな学習院の学生役で出ていてちょっと笑っちゃいます。 芦川いづみさんは、実に添え物的な何てことのない役でした(小林の彼女役)。
それはともかく、この原作小説の作者の藤島泰輔って、なんとメリー喜多川の夫だったそうでびっくり! ああ、だから娘は「藤島」ジュリー景子なのですね。彼は学習院で昭仁親王殿下のご学友だったそうで、学習院大学を卒業して東京新聞の記者になり、すぐにこの小説を世に出したのだそうです。いやー、映画の内容を忘れちゃうぐらいインパクトのある事実でしたー。
(シネマヴェーラに貼ってあったこのポスターの下部の「値下断行」って、いったい何なんでしょうかね?)
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