「Flow」:天才的映像センス #Flow #ギンツジルバロディス #senseofwonder #コヤニスカッティ
今年のアカデミー賞で、長編アニメーション部門の最優秀作品賞に輝いた『Flow』には、瞠目させられました。こういう映像表現に出会えるから、映画を観続けてるって感じるような眼福世界です。むしろ『Anora アノーラ』よりもこっちに、作品賞をあげたかった!
ラトビア人の監督=ギンツ・ジルバロディスが、オープンソースソフトウェアを使って少人数、低予算で創り上げたという85分の作品。動物の鳴き声のみで、セリフはありません。でも、何て豊かな映像世界なのでありましょう。映画を観ることの最大の喜びは、見たことのない世界を見ること、sense of wonder を感じることだと思うのですが、この作品にはそれがあります。
そしてとにかく映像のセンスがいい。構図やキャメラアイの動き(アニメーションにおける)や絵の個性と味わいが、ことごとく天才の仕事なのです。水の表現、逆光の表現の素晴らしさには圧倒されます。もちろん「動き」も…水の動き、動物の動きなどなどが、ひとつひとつ見事で、見飽きることがありません。動く絵を観ることこそが映画の愉しみだと思い出させてくれます。
現代社会への、特に戦争へのメタファーを感じましたが、それをあまり限定的に表現せずに、解釈の広がりを持たせたあたりにも、本作の深さがあります。人類のいない地球の姿には、黙示録的な寓意も感じ取れますが、それよりも何よりも地球の(世界の)美しさに打たれるのです。唐突な連想ですが、『コヤニスカッティ』(1983年)を思ったりいたしました。 おまけに黒猫ちゃんもかわいいし、いたいけです。
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