「ゆきてかへらぬ」:美術や映像はいいけど… #ゆきてかへらぬ #田中陽造 #根岸吉太郎 #広瀬すず #岡田将生
映画『ゆきてかへらぬ』は、『ツィゴイネルワイゼン』『セーラー服と機関銃』『陽炎座』『魚影の群れ』などで、1980年代前半を代表する脚本家と言っていい田中陽造が40年ほど前に書いたという脚本を、根岸吉太郎監督が映画化。根岸監督も16年ぶりの監督作です。考えてみれば、その16年前の作品『ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~』も脚本は田中陽造であり、太宰治を扱った作品。今回は中原中也と小林秀雄です。
本作最大の見どころは、大正時代の再現と映像の素晴らしさ。セットやロケで、実に映画的な「いい絵」が撮れてます。細い路地を進む蛇の目傘を俯瞰で撮った絵とか、狭い路地の奥だけが開けている画角とか、たまりませんね。家屋や建築物を含む美術の良さは言うまでもなく、衣装、照明、撮影もさすがです。市電も出て来るし、よく今どきこうい贅沢な映画を作れましたね。木下グループさんが太っ腹なのでしょうか?
女優・長谷川泰子(この人、知りませんでした)を演じる広瀬すず、がんばってますけど、うーん、無理してる感じだなあ。彼女の熱演に、感動はしませんでした。 岡田将生はエレガントで、この領域の地位を完全に固めましたね。 そして中也役の木戸大聖ですが、うーん、芝居や発声があまりにも現代的で、浮いてました。重要な役なんですが、それだけに作品世界をぶっこわしちゃってました。天才のきらめきが見えず、チンピラ感ばかりが強いのです。残念過ぎるキャスティングでしたねえ。
そもそもが面白い話ではない上にそこにあるべき「コク」ってもんがほとんど薄い。40年映画化されなかった訳がなんとなくわかる、そんな作品でありました。
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