「国宝」:圧倒的傑作 #国宝 #映画国宝 #李相日 #吉田修一 #歌舞伎映画 #それでもやるの
映画『国宝』は、圧巻の一言。原作者の吉田修一氏は、本作に「100年に1本の壮大な芸道映画」という賛辞を送っていますが、それが大げさではないと思えるのがこの映画の凄さ。映画としてのクォリティが、十年に1本レベル。しかも、これだけ予算をかけた大きい娯楽映画の範疇でそれを成立させているというのが、只ならぬ偉業なのです。
しかもエンタテインメントとして一級で、2時間55分を長いと感じさせず、一気に駆け抜けます。ちなみに2時間55分というのは、『ゴッドファーザー』(第1作)と同じ長さです。どちらも娯楽性と芸術性を両立させた、堂々たる年代記です。もちろん李相日監督の最高傑作でもあります。もの凄い難事業に挑んで、成功させました。
吉沢亮、横浜流星、渡辺謙、田中泯の演技および歌舞伎の舞踊と発声が、只ならぬレベルです。しっかり時間をかけて練習したことが、密度濃く出ています。その演技の質に感動して泣いちゃうことが何度もありました(最近、ますますもって涙もろい大江戸です)。寺島しのぶの「鬼の形相」にも、ふるえながら落涙しましたもん。
そして中盤から終盤にかけては、別に泣かせ所でもないのに、「映画」の質に感動して落涙したことが何度もありましたよ。泣ければいいってもんじゃありませんけど、冷静に見ても、映画表現としての「格」の高さが感動を呼ぶ作品ですし、エモーショナルな部分にも訴えかけてきます。もともとバックステージものが大好きな大江戸ですが、稽古に、本番に、裏方に…深く感動しました。
まあ、欠点がないわけではありません。やはりどうしてもダイジェスト的になっていることは否めません。でも、商業用映画としてはこれ以上の尺にすることは無理。 また、女性たちの描写が薄くて添え物になっていましたが、それは割と原作でもそうだったし(新聞連載時に読んでいました)、歌舞伎界のお話なので、しょうがないところです。
この作品、歌舞伎界の映画なのに(というか、「だから」なのか?)松竹はほとんど協力していないんですよね。美術や衣裳はノータッチのようですし、俳優部と撮影所の協力だけがクレジットされています。そういった意味でも本作のスタッフさんたち、よくやりましたねえ。
今年の各映画賞で、この作品より上に行くことは難しいのではないでしょうか? 演技賞もスタッフ部門も、総なめにしそうな気がします。 付け加えますと、予告にも使われている田中泯さんの「でも、それでいいの。それでもやるの。」は名セリフですねえ。
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