「入国審査」:他人事でない恐怖 #入国審査 #映画入国審査
映画『入国審査』は、77分ほぼ一場面(出だしだけは違うけど)の舞台劇になりそうな作品。でも映画のためのオリジナル脚本で、しかもベネズエラ出身で今はバルセロナで活動中のアレハンドロ・ロハスとフアン・セバスチャン・バスケス二人の実体験をもとにしたものだうです。
いやー、リアルに怖い。日常から地続きで、私たちにも他人事とは思えない恐怖。しかも冒頭のラジオ音声で示唆されたように、トランプのアメリカではこれが現実に近いものになっているわけでしょうから。そういった差別、排他、権力の横暴への静かな怒りが感じられる作品になっています。
その上、ある種のミステリーでもあって、我々観客には真実がわからないだけに、そのあたりは妻の方の立場でものを考えるようにもなりますし、間髪を入れずに投げかけられる多量の質問と合わせて、もう頭がぐちゃぐちゃになってしまいます。これ、当事者だったらと思うと、ほんとに耐えられません。泣いちゃうかもしれません。
演出に関しても上出来で、クロースアップの切り返しの多用により、狭さや威圧感を強調。音楽を使わずに、現実音で不安や不快感を醸し出し、緊迫感を高めます。もちろん数少ない登場人物それぞれの芝居も見事でした。「なるほど、そうきたか」というラストもなかなかでした。
それにしても、審査する職員って毎日何人もにこういうことを行っているのですから、逆のストレスというか、精神にダメージ受けますよねえ。いくら慣れるとはいえ、人間なんですから。こういう審査こそAIにやらせればいいのに、って思っちゃいました。
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