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2026年6月 1日 (月)

「廃用身」:重くて深い問題作    #廃用身 #久坂部羊 #染谷将太 #吉田光希 

Haiyoushin 映画『廃用身』は、医師兼小説家である久坂部羊のデビュー小説(2003年)の映画化。変異センセーショナルなのではなく、何とも重い問題作です。問いかけの重さからすると、十年二十年に一本級かも知れません。

身体に関する問題があって、それを医療、看護、介護の面から見ても有益な解決法があって、それが患者本人にも周囲の人にも社会にも良い影響を及ぼす…というこの「Aケア」に、作品前半で小生も「賛同」の思いを抱きました。染谷将太の医師が言うことには、それだけ説得力がありますし、別に彼はマッドドクターではなく、「判断基準」5か条を設けるなど、極めて真っ当な気がします。ただ、「なんとなく」の倫理的胸騒ぎが起こることも確かですし、これが自分だったら、家族だったらというときに、まだ世の中に広がる前の段階だったら、多少腰が引けることもありそうですよね。映画を観て、これだけ深く考えてしまう命題を与えられるのも、なかなかないことです。

ただ、後半~終盤になっていくと、いろいろ物語を終わらせるための仕掛けが発動して、リアルさが薄れたり、特殊な例過ぎたり、いかにもお話だよねって感じになっていきます。まあ、小説とか映画としてはしょうがないところですが、ここがもっとうまくいけば更に傑作になったのに、とも思います。でも、大いに評価すべき力作です。もし実際にAケアが行われた場合には、家族や周囲の人たちからの「見えない圧力」が問題になるでしょうね。つまり、安楽死の場合と同じことです。 

監督は吉田光希(こうき)。大江戸は知らなかったのですが、非商業映画的な所で映画作りを続けていて、各国の映画祭にも出品したり受賞したりしている方です。本作でも、正統派のそつがない演出力を見せております。これからは、「『廃用身』の吉田光希監督」と呼ばれるようになるのでしょうね。

 

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