2018年4月 2日 (月)

「与 勇輝展 創作人形の軌跡」@松屋銀座

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松屋銀座で開催中の『与 勇輝展 創作人形の軌跡』(~4/10)を観ました。この会場での与勇輝さんの展覧会は2010年以来8年ぶりということですが、常に長蛇の行列ができるほど混雑するのが(特に会期後半は)習わしとなっております。なので、早いうちにと思いつつ、やけに多忙で行くことができず、ようやく本日行ったのです。午後7時半近く(入場締め切りギリギリ)に入ったので、思った通り会場内はガラガラ。高齢のご婦人方が観客のメインなので、夕方以降は一気に空くのですね。

タイトルの前に「パリ凱旋・傘寿記念」とありましたが、与さんも昨年で80歳になったようです。でも、会場内のモニター映像に映る姿は以前と変わらず、お元気そうです。 会場内にある作品も2015~18年に作られた新作がけっこうな数存在し、枯れることのない創作意欲が想像されて、「やっぱり手先を使う人って、元気で長生きするよなあ」と思ったのでありました。

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会場内の映像で印象的だったのは、与さんが人形を作りながら、目を入れた後に、「だんだん自己主張するようになってするようになって来る」 と語るところ。本当にそうだと思いました。どの人形もそれぞれに、何かを語っています。陳腐な表現ですが、「魂を吹き込まれている」としか思えないのです。

とは言え、魂の吹き込まれ度合いには多少のばらつきがあるような気もいたしました。どれも高いレベルなのですが、中でも傑作はこちらへの迫り方がスゴイですよ。まさに天才の仕事です。

出口近くにテーブルがあったので、係の人に訊いたら、与さんはほぼ毎日会場に詰めて、1日何度もサイン会を行っているのだそうです。うーん、恐るべき80歳ですねえ。

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2018年3月22日 (木)

「展覧会 ポスターでみる映画史Part3 SF・怪獣映画の世界」

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京橋のフィルムセンターに行って、『展覧会 ポスターでみる映画史Part3 SF・怪獣映画の世界』(~3/25)を観ました。1月4日からやっていたというのに、閉幕ギリギリで訪れるというアドベンチャラーぶりです。

邦洋のSF・怪獣映画のポスターと一部資料を総計117点集めての展示。各章のタイトルは「SF映画の古典から」「キューブリックの登場」「ヨーロッパ産SF映画」「新時代の幕開け-『スター・ウォーズ』の時代」「SF映画の世界征服」「国産SF映画の興隆」「ゴジラは吼える」「本多猪四郎の世界」「“怪獣”花盛り」「1970年代以降の国産SF映画」。ねっ、面白そうでしょ。

で、やっぱり面白いんです。この分野って、変なポスターができることも多いし、もちろんカッコいいポスターができることだって多いし、それを1927年の『メトロポリス』から2004年の『ゴジラ FINAL WARS』まで、80年近くのレンジで、しかも日本、海外取り交ぜて展示してくれているのですから。

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会場内に2カ所だけ、撮影OKエリアがありました。そのうちの「古典」エリアで撮った写真がこれ。『原子怪獣現わる』とか『海底二万哩』とかのポスターが展示されてます。各作品のキャプションも、まずまず読ませてくれます。

やはりキューブリック(特に『博士の異常な愛情』の立て看板用ポスター)・コーナーと怪獣コーナーには興奮しましたね。『キングコング対ゴジラ』や『モスラ』のポスターは特大版で、そのデカさにびっくり! そして大江戸は、『ガメラ』シリーズが大好きなのです。

こんなに楽しいのに、Part1(西部劇の世界)と2(ミュージカル映画の世界)を観逃していました。それが何とも残念です。まあ、SF&怪獣映画の方が小生にはなじみ深いので、どこまで楽しめたろう?ってのはありますけどね。

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2018年2月 6日 (火)

「デヴィッド・リンチ:アートライフ」:若き芸術家の肖像

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映画『デヴィッド・リンチ:アートライフ』は、デヴィッド・リンチのドキュメンタリーでありながら、映画フッテージの引用は皆無だし、映画への言及もほとんどない(わずかに『イレイザーヘッド』のことを語っている)という珍しいアプローチの作品。じゃあ何なのかと言うと、リンチが田舎の家で、延々とミクストメディアのアートを作っていて、そこに本人のナレーションで誕生から『イレイザーヘッド』に至る若き日々が語られるというもの。まあその頃の自主映画短編(『グランドマザー』など)については、触れられておりますけどね。

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てなわけで、映画監督デヴィッド・リンチではなく、アーティスト(画家)デヴィッド・リンチをフィーチャーした映画なのですが、 そういうこととは露知らずでした。 でもその昔、表参道の東高現代美術館で『デヴィッド・リンチ展』を観て、その後もリンチのアートを結構追っかけてた小生としては、むしろ懐かしい感じ。あの怪異で異様な世界を今もなおリンチは創り続けているのだなあと、ちょっとした感慨もありました。

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それにしても、リンチやっぱりヤバイです。若い日にアトリエで、動物やら食べ物やらを腐敗させて、それを観察していた(しかも父親にまで誇らしげに見せていた!)という異常性(グリーナウェイみたい)。父親が心配したように、一歩間違えば大変な世界に堕ちていったかも知れないですもんね。こういう人だから『イレイザーヘッド』を創れたってことに納得しました。

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撮影当時4歳だかのリンチの娘(4番目の夫人との間の)がちょこちょこと出て来ますが、この子も普段からあんな暗く怪しい絵に接したり、あんなダークな音楽を聴いて育ったら、もう普通の人生は送れないんだろうなあ・・・なんて、要らぬ心配までしてしまいました。罪な人です、リンチパパ。

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2018年1月14日 (日)

「マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年」:チャーミングなマノロさん

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映画『マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年』は、近年急増したファッション・ドキュメンタリー映画の中でも、「靴のデザイナー」を扱ったということで珍しい一品。クリスチャン・ルブタン、セルジオ・ロッシと並んで「世界三大ハイヒール・ブランド」と言われるマノロ・ブラニクのマノロさんをフィーチャーしたドキュメンタリーです。

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若い頃は細身のイケメンだったことも写真などで紹介されるマノロさん。現在は貫禄のあるお姿ですが、靴のデザインから、工房での原型作りから、デパートや書店でのサイン会から、精力的に活動している様子です。何より婦人靴作りが好きで好きでしょうがないってことが、よーくわかります。そして丸メガネにボウタイにスーツというクラシカルな格好が、その色彩センスも含めて、実にチャーミングな紳士です(オネエ入ってますけど)。

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アナ・ウィンター、ジョン・ガリアーノ、リアーナをはじめ、ファッション界の人々もみんなマノロが大好き。靴も本人も愛されていて、実に幸せな人です。 ところがこのおじさん、センシティヴなアーティストなので、他人と暮らすなんて耐えられないと公言しております。まあ、そんなもんなんでしょうね。

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この映画は愛すべきマノロさんの人間像に焦点を当てていて、彼の作品=靴については通り一遍にしか描かれません。映画作家の興味はそこにはなかったのでしょうね。ただ作品あっての彼ですので、そこが(この映画の魅力ということを考えても)ちょっと残念なところです。 それにしても見事な豪邸にお住まいでございます(ドリス・ヴァン・ノッテンもそうでしたけどね)。

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「ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男」:美の探求者

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映画『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』は、孤高のファッションデザイナー=ドリス・ヴァン・ノッテンのドキュメンタリー。ごくごく真っ当なファッション・ドキュメンタリーでありまして、でも極めて面白く興味が尽きない作品です。

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ドリスのメンズウェア&ウィミンズ・ウェアのショー及びその製作過程を追い、一方でその美しい生活を描き出します。本人の言葉と、ファッション業界の人々のインタビューを交えるあたりも正攻法です。その中で彼の長年のパートナーが男性だということもわかりますが、極めて自然なスタンスで描いていきます。全篇を通した無理の無さ感もリラックス感も、まさにドリスって感じです。

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ベルギーのアントワープにあるドリスの家ってのがまた植物に囲まれたクラシカルな豪邸でして、その庭に咲いている美しい花を取って来て生け花のようにアレンジしてテーブルを飾る様子など、いやー、見事に美しい生活ですね。彼のデザインする服の美しさや無理のない華やかさとも合致しているように感じました。この人の人格や内面の魅力が、作品ににじみ出ているのでしょうね。

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この映画で目にすることのできるドリスのクリエイション(特にウィミンズ)は美しくて素晴らしくて、見ていることがとてもハッピーです。あれだけ色を使ったり装飾を加えているのに、あれだけ「品」があるというスタイルは、まさにドリスならではです。この映画自体も、そのドリスらしさを乱すことなく品を保ちながら、観ることがとてもハッピーである、そんな作品になっていました。

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2018年1月11日 (木)

「謎の天才画家 ヒエロニムス・ボス」:ただただ凄い絵

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映画『謎の天才画家 ヒエロニムス・ボス』は、ボスの代表作であるトリプティック『快楽の園』の謎に迫るドキュメンタリー。でも結局上映時間90分のほとんどにわたって、この絵の部分部分を眺めているという稀に見る(教育的な)アート・フィルムです。

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まあ絵を写してるだけではさすがにしょうがないので、美術界をはじめとする各方面のお歴々がこの絵について語ります。でもその感想や解説が意外と普通のことを言っていて、面白くありません。もっと型破りな意見とか、おっと思うような感想を聞きたかったですね。

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X線を使って、この絵の具の下を解き明かしたパートなんかは、普通なら大変興味深くなりそうなものなんですけど、意外と面白くなかったですねー。やっぱりボスの絵自体の尽きない謎と面白さには勝てないのです。もしかしたらやっぱり、ひたすら絵の細部を映し続ける90分の方が魅力的だったかもと思ってしまいます。

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全編を通して浮かび上がって来るのは、改めてボスがいかに凄い天才、いや鬼才であるかです。500年以上前の作品が、まったく古びずに今日の我々に謎を投げかけ、我々はその絵に魅きつけられて、ただただ驚嘆するのみ。宇宙人と交信したかのような超絶イマジネーションにあっけにとられるばかりです。 映画としてどうこうっていう作品じゃあなくなってますよね。

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2018年1月10日 (水)

「ジャコメッティ 最後の肖像」:かばいきれないろくでなし

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映画『ジャコメッティ 最後の肖像』は、あのマーク・ストロングと間違えやすいボールドヘッドのスタンリー・トゥッチによる初監督作品(脚本も)。彼自身は出演せず、大真面目で監督業に徹しています。そして完成した作品は、極めて抑制の効いた(作家的主張を抑えた)及第点の職人仕事でした。コンパクトに90分にまとめたあたりも、新人らしくって好感が持てます。

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数時間で終わるという言葉に乗せられて肖像画のモデルを引き受けたら、1週間たっても十日たってもいっこうに終わらないという、極めてカフカ的な状況。そんな状況下の芸術家とモデルを描いただけの映画です。シンプルきわまりないお話。そして、映画的にも室内が多く、見せ場や起伏にも乏しく、盛り上げようがない作品です。まあ、20世紀美術好きの大江戸としては、結構おもしろく観ておりましたけど。

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それにしても、天才芸術家ってやつは困ったもんです。 他人のことなどこれっぽっちも考えず、気まぐれで、常識はずれなろくでなし。あまりお近づきにはなりたくない感じですね。 この映画は、そんなゲージツ家のろくでなしな面をあれこれ描いたものの、その作品の素晴らしさやアートとしての圧倒的な凄さ について、ほとんど描いていないのが欠点です。その両面を描かないと、限りなく「ただのろくでなし」になってしまいますからねえ。

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まあジェフリー・ラッシュがうまいのは当たり前ですけど、モデル役のアーミー・ハマーも無表情な中に結構いい味を出しておりました。

そして本作のラストも、急にエスプリの効いた小粋な味わいを出してくれました。もっとこういしなやかさが全編に出てたらなあ・・・。

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2017年12月30日 (土)

「草乃しずか展」@松屋銀座

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松屋銀座で『草乃しずか展 煌く絹糸の旋律』を観ました。日本刺繍の第一人者である草乃しずかさんの集大成的な展覧会。いつもながら、正月の展覧会ってのはまだ空いている年末のうちに観ちゃうってのが得策だと思いますね。正月になると、ましてや会期終盤になると混んで混んで・・・。

芸術性もデザイン性も非常に高い刺繍作品の数々(約200点の展示)に圧倒されます。わあ、きれい!の世界ではありますが、何せ刺繍ですから、一針一針の積み重ねです。華麗さの陰に、気が遠くなるほど忍耐強い作業が隠れています。その創作の様子は、会場内のモニター映像でも見ることができました。うーむ、これは大変だ。

帯から着物から屏風からクッションから・・・見事な作品が並びますが、題材的にも日本の古典柄を中心にいろいろ。世界の歴史上の美女たちに題材をとった作品なども、非常に華やかな世界でした。華やかであると同時に、「品」と「格」が備わっている、そんな作品たちです。帯の見せ方とか模様の大集合なども良かったですね。

なので、(せっかくの銀座でもありますし)正月に着物など着て観に来るのもいいんじゃないかなあという展覧会でした(さっきと言ってる事が違う・・・)。

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2017年12月 5日 (火)

安藤忠雄展@国立新美術館

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六本木の国立新美術館で、『安藤忠雄展 挑戦』(~12/18)を観ました。

小生はさほど安藤のファンと言うわけではないのですが、さすがに住吉の長屋とか光の教会とか直島プロジェクトとか渋谷駅とか代表作は知っています。ああ、でもそれ以外にも仙川のプロジェクトだとか国立子ども図書館とか21_21デザインサイトとか表参道ヒルズとかも知っているじゃあないですか。やはり安藤さん、しっかり実績残してます。街に溶け込んでます。

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ベネッセと組んだ直島プロジェクトのインスタレーション(大型ジオラマ×映像)もありました。

フランス、イタリア、アメリカなど海外での仕事も多く、それらはまたコンクリート打ちっぱなしとは「別の貌(かお)」を持っています。国内でも、北海道は真駒内の大仏の丘などはテイストが違って、面白かったですねー。

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会場隣接の屋外に、あの「光の教会」が仮設してあってびっくり。さすがは建築家の展覧会です。平日の閉館近くに行ったので、ここなどもゆったりと観ることができました。

ただ展示品の量がかなりあったので、最後の方はちょっと駆け足になってしまいましたけどね。

そういえばしばらく前のTV番組で、安藤さんが「コンクリート打ちっぱなしの家は寒い。マンションは楽。」と、ご自身はマンションに住んでいることを明かしてました。そりゃないよ、安藤さん(笑)。

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2017年11月17日 (金)

リトゥンアフターワーズのファッションショー@庭園美術館

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東京都庭園美術館で展覧会『装飾は流転する 今と向きあう7つの方法』が開催されるのを記念してということでしょう、同展に参加しているファッションデザイナー山縣良和のブランド「writtenafterwards リトゥンアフターワーズ」の2018春夏シーズンのファッションショーが、庭園美術館の建物前スペースで開かれました。

(展覧会のリポートはこちらの記事↓)

http://oedo-tokio.cocolog-nifty.com/blog/2017/11/11-0e83.html

Dsc_2086あたかも陸上競技トラックのような楕円形ランウェイのまわりを取り囲むように客席が設置され、目検討だと立ち見を含め千人を超える観客が集まりました。ホントいつもながら、山縣人気は凄いですね。

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18時開演予定だったのに、その時点でまだ入場することもできず、結局33分押しでスタート。ランウェイが長いこともあり、ショーは長めの25分でした。

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ショーのタイトルは『After Wars』。相変わらずと言うか、色々とやってくれました。

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モデルを取り囲むスーツ姿の芸能レポーターたち。 モデルの乗った大八車を引く軍人。 巨大なぼろ布の塊。 赤ずきんちゃんの集団みたいな女の子たち。 棺を引っ張る男。 千羽鶴風ドレスのモデルに率いられた詰襟学生服の男子学生たち。 歩く木! 歩く山!!

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もう、木や山に至ってはどこがファッションなのかと頭を抱える展開ではありますが、まあそこが山縣さんなので、しょうがないですね。だから、現代美術として観れば、ぜんぜんアリなんです。

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オーディエンスの空気を観察すると、「期待通り変なものが観られた」「伝説的な場に立ち会えた」という熱気と興奮が大勢を占めた感じでした。特に若い層においては。

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木とか山とかが通ると、結構(ペンキみたいな)塗料の匂いが漂ってまいりました。

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フィナーレの最後には山縣さんが登場し、陸上ランナーのように長いランウェイを1周しました。

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この山縣人気はまだ当分続きそうです。良くも悪くも。まだ「ファッション村」の中の話ではありますけどね。

 

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