2019年12月13日 (金)

「幸福路のチー」:私たちと同じ   #幸福路のチー #台湾アニメ

012 映画『幸福路のチー』は、台湾の長編アニメーション。公式サイトによると、「アニメーション産業不毛の地、台湾から突如生まれた」作品なのだそうです。実際、世界中でいろんな賞を獲っていますし、思った以上に素晴らしい作品でした。

絵は素朴というか大らかというか、精巧さや細密さとは対極のマンガ映画。小学生時代の主人公たちは、ほとんど『ちびまる子ちゃん』の世界です。男の子も女の子も、あんな感じ。お父さんやお母さんもあんな感じだと言えるでしょう。日本と台湾って似てますねえ。

 

006_20191213235201 そう、この映画、全編を通して「日本と台湾の人間って、思考もやる事も似ている」と痛感させてくれます。主人公の女性は1975年生まれという設定なのですが、風景や学生運動などの事件も含めて、日本だともっと前の世代と共通する部分も多いでしょう。でも最終的には、どの世代にも共通する普遍的な「人の営み」に着地しているあたりが、この作品の素晴らしさです。しみじみと、「ああ、おんなじだなあ」と思ったり、「あるある」「わかるわかる」と感じたりしながら、共感し感動するのです。

 

009 それにしても、政治的な変遷と社会的な事件や大地震、果ては9.11までもを背景に描きつつ、それら台湾の近代史という流れに重ねて、一人の女性とその家族や友人の生を描いていくという、ある意味「重い」話を、ほんわかしたアニメの絵で表現することによって、楽しく軽やかに進行していくというこの作品、いいです。感銘を与えてくれます。なんだか『この世界の片隅に』に似た方法でもありますね。また、家族をはじめ描かれる人々がみんなちょっとヘナチョコなキャラクター付けをされていて、そこらへんもこの作品の味やメッセージになっております。

監督・脚本のソン・シンインは、1974年生まれの女性です。きっと自分の事も反映させているのでしょうね。

 

 

 

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2019年12月 8日 (日)

「永遠の門 ゴッホの見た未来」:気持ちの良い催眠映像   #永遠の門 #ゴッホの見た未来 #ジュリアンシュナーベル #ゴッホ

4_20191208223101 映画『永遠の門 ゴッホの見た未来』は、ジュリアン・シュナーベル監督がゴッホの晩年(と言っても37歳で亡くなっているのですが)を描いたフィクション。画家対画けど)。ゴッホって、よく映画になりますよねえ。それだけ世界中にゴッホ好きが多いのでしょう。

本作のゴッホは近年再ブレイク中のウィレム・デフォー。ゴッホの自画像には似ているような似ていないような…。しかも今年64歳のデフォーですから、(いくら人々の外見が昔と違っているとはいえ)無理があると言えばあります。

 

1_20191208224301 でも、この作品において、そんなことはどうでも良くなっちゃってます。ゴッホを通して世界の見え方を描くというか…。その「見え方」ってのは、ゴッホの見た目のようにしながらも、シュナーベルの視座なのかも知れません。美しい風景もあれば、足元を見つめる一人称映像もあります。映像のルックが独特で、非常に気持ちがいいんです。気持ち良すぎて、しばしば眠くなってしまいました。催眠効果のある映像なのかしらん。「詩」みたいな映画でした。

2_20191208224201手持ちカメラの多用で、揺れてる映像も多く、色も印象的な黄色を中心にコントロールされています。 あ、それと耳。片耳を切り落とした事件の後のゴッホは、あまり左耳を写さないような工夫をして撮られていますが、カットによっては、切り取った後の状態をCGIで作り出しています。現代ならではの映像処理ですね。

 

  (以降ネタバレあり) 牧師とのキリスト談義だとか、ピストル自殺との定説を覆す展開とか、自由に脚色しているのですが、脚本はなんと、ジャン・クロード・カリエール(!)とシュナーベルともう一人。カリエールって、ルイス・ブニュエルの『小間使いの日記』とか『昼顔』なんかを1960年代に書いてる人ですよ!それが半世紀以上も前のことなんで、ほとんど歴史上の人。今年88歳だそうです。驚きましたね。

 

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2019年12月 7日 (土)

「ドクター・スリープ」:キューブリック版「シャイニング」の偉大さ   #ドクタースリープ #シャイニング #キューブリック

003_20191207231801 映画『ドクター・スリープ』は、スタンリー・キューブリックの『シャイニング』(1980)の約40年ぶりの続編的先品。原作者のスティーヴン・キングはあの傑作をケチョンケチョンにけなしておりますが、この作品(もちろんキング原作)を観ると、その理由がよくわかります。魔の者たちを出して、事の因果をしっかり辻褄合わせていくのが、キング流。そういう下世話なことはしないのが、キューブリック流です。『シャイニング』に関しては、よく「モダン・ホラー」という表現が使われておりますが、まさにそういうところが「ゴリゴリの泥臭いホラー主義者」たるキングのお気に召さなかったのでしょう。

 

008_20191207233101 とは言え、この作品、ビジュアルから音楽からキャラクターに至るまで、『シャイニング』っぽい意匠がたくさん現れます。でも、それって昨年の『レディ・プレイヤー1』で既にスピルバーグがやっちゃったからなあ。あの映画の出現は、こちらの映画の製作陣にしてみれば青天の霹靂だったことでしょうが…。

こうして観ると、キューブリックの「絵造り」が、そのデザイン感覚が、どれだけ優れていたかが改めてよーくわかります。実際、『シャイニング』のフッテージも数カット使用されております。

 

013 時代を反映して、アフリカ系の女の子(カイリー・カラン)が最重要の超能力(シャイニング)の持ち主として登場します。彼女とユアン・マクレガー(大人になったダニー少年)の交流や共闘が本作の見どころです。この女の子、将来女優として大成しそうな予感が…。

ラスト30分ほどは、あのオーバールック・ホテルでの「決戦」。迷路も含めて、キューブリック版『シャイニング』のビジュアルに完全に揃えてます。でもねえ、最終的には「やっぱり『シャイニング』を観返したい」って思いが強くなっただけの映画でした(いや、DVD持ってるから、いつでも観返せるんですけど…)。

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2019年12月 5日 (木)

「マイ・フーリッシュ・ハート」:陰鬱で楽しくない   #マイフーリッシュハート #チェットベイカー 

001_20191205222501 映画『マイ・フーリッシュ・ハート』はのタイトルとなっている名曲は、小生なんぞは「ビル・エヴァンスの」って思ってしまうのですが、そもそもは映画(邦題=『愚かなりわが心』1949)の主題歌で、多くのアーティストがカヴァーしているんですね。

というわけで、チェット・ベイカー最期の日々をフィクショナルに描いた劇映画なのですが、最期を迎えたのがオランダだってこともあり、アメリカ映画じゃなくてオランダ映画なんです。知らずに観たので、ちょっとびっくり。

 

002_20191205222801 で、とにかく暗いです。映像も暗いけど、そうじゃなくて映画の雰囲気が陰鬱で嫌になってしまうのです。そしてこのチェット・ベイカー役の俳優(スティーブ・ウォール=アイルランドのロック・ミュージシャンだそうですが)が、なんだか嫌~な感じに汚くて醜くて(まあ、ハッキリ言って臭そうで)、ダウナーな個性で、観ていてしんどいです。まあ写真で確認したら、晩年のチェットって確かにあんな感じなのですが、それはそれで辛いですね。トランペットから出る音は、あんなに美しいのに…。

 

004_20191205223801 オランダを舞台に、オランダ人俳優を出すためか、チェットの死の謎をさぐる刑事なんかを出すんですけど、これがまた暗いパートだし、映画的にヘタだし、全然面白くないし、まあひどいもんでした。それにしても、ジャズの巨人たちって、本当にみんな麻薬で滅んで行ったんですね。驚くほど誰も彼も。

本来DVDスルーのレベルって気がしますが、ちゃんと劇場公開されたっていうのは、やっぱりチェットの力(人気)なんでしょうねえ。87分と短いのが、せめてもの救いでした。

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2019年12月 2日 (月)

「ターミネーター ニュー・フェイト」:女性の時代のターミネーター   #ターミネーター #ターミネーターニューフェイト #女性の時代

003_20191202230501 映画『ターミネーター ニュー・フェイト』は、あの『ターミネーター3』『ターミネーター4』『ターミネーター 新起動 ジェニシス』を無かったことにするかのように、広告コピーが「『ターミネーター2』の正統な続編」ってことになっております。ま、ジェイムス・キャメロン御大が満を持しての「製作・ストーリー担当」になっておりますからね。

で、観てみるとまさに「女の時代」の『ターミネーター』だなあって感じ。とにかく、女性がアクションして活躍しまくります。堂々としてます。この時代の空気がしっかりと充満しているのです。

 

004_20191202231601 60歳過ぎてめっちゃクールで、ハードボイルドで、カッコいいリンダ・ハミルトンが全体を締めます。この年齢でこういう感じのカッコ良さってのは、『グロリア』のジーナ・ローランズ以来じゃないでしょうか? 72歳のアーノルド・シュワルツェネッガーとの相性、バランスも申し分なし。 でも、強化型スーパー・ソルジャーのグレースを演じるマッケンジー・デイヴィスもかなり良いのです。アクションもできるし、押し出しが良いし、(ちょっとMattに似てるけど)今後に期待が持てます。

対する男性では、すっかり「不気味な強さ」みたいなものを失ったシュワルツェネッガーも、味わいとしては悪くないんですけど、見どころはREV-9に扮するガブリエル・ルナ。梶原善が思いっきりカッコつけたような顔でした。

 

005 アクションは切れ味鋭く、延々と徹底的にやります。逃げても逃げて、やっつけてもやっつけても、まだ追ってくる感じ。まさに本来の『ターミネーター』らしさと言える感覚です。

まあ、このシリーズにほとんど思い入れはないのですが、とりあえず楽しめる(正統な)続編には仕上がっておりました。

 

 

 

 

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2019年11月28日 (木)

「閉鎖病棟 -それぞれの朝-」:物足りないが意義はある   #閉鎖病棟 #閉鎖病棟それぞれの朝 

001_20191128225501 映画『閉鎖病棟 -それぞれの朝-』は、精神科病棟の入院患者のあれこれを描くドラマ。なかなか知らない世界なだけに、「へー」と驚くことも多かったですね。今は高い塀もなく、門扉すらなくて、出入り自由。外出もできるようです(まあ、症状にもよるのでしょうけれど)。

それにしても、基本的に重く口当たりの悪いこんな映画を、よくメジャー規模でスターを起用して製作して、東映配給で公開したものです。今日びの日本映画としては、快挙と言えるのかも知れませんね。

 

006_20191128230801 笑福亭鶴瓶、綾野剛、小松菜奈という異種格闘技的なメインキャストがそれぞれ良く、監督がベテラン職人の平山秀幸なもんですから、安定してます。その安定感が、良くも悪くもこの作品。逆に言えば、思い切った飛躍はありません。そこらが大江戸には物足りなかったところです。

でも強いて挙げれば、渋川清彦のすっげー悪い奴がインパクトありましたね。こいつはやっぱり病院よりも刑務所にいれとくべきだったのでは?

 

002_20191128231801 まあ、それでも日本で「精神病院映画」ってのは珍しいので、よく作ったと思います。そして、入院患者役で出て来る脇のキャストが、ことごとくそれっぱい人たちばかりでした。平岩紙、森下能幸、水澤紳吾、駒木根隆介…日本って、この手の役者は豊富なんでしょうかねえ?(もちろん芝居の力もありますが)

でもそれよりも、小松菜奈の両親役の片岡礼子(また出た!)、山中崇の異常さの方がよっぽど狂っていて、「狂気」の線引きという意味では本作の重要なポイントだったと思います。

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2019年11月27日 (水)

「NO SNOKING」:軽妙な細野晴臣のドキュメンタリー   #NOSMOKING #ノースモーキング #細野晴臣 

T0024475p 映画『NO SMOKING』は、細野晴臣さんの音楽生活50年間を追ったドキュメンタリー。いやー、とにかくリラックスした空気に溢れていて、ゆるりといい気持ちでした。

音楽生活に至る前の子供時代から紹介してくれますし、そこから時系列で今に至るまでの細野さんの業績を見せてくれるのです。凄い人ではあるんですが、あんまり「スゴイ」って感じさせずに、いつでも飄々としているところがいかにも細野さん。星野源や水原希子など現代のファンを引きつける理由も、よーくわかります。とっても味がある、面白い人です。

そう、とにかく「面白い人」だから、このドキュメンタリーだって何も特別なことはないんですけど、とっても面白く観ていられるんです。細野さんを撮っていけば、どうしたって面白くなるんでしょうね。じわりと。なんか観ててハッピーでした。

Main_20191127225701 あれだけ世界的に音楽界の偉人として認められているのに、一方ではおじいちゃんに扮したコントをやったりして、…そこがいい所。細野さん、動きがとても軽やかなんです。そこがイメージとギャップありで、面白かったです。ご本人も言うように、「変な歩き方が得意」でもあって、それもまた軽妙なんですよねー。それを言ったら、今やってる音楽も軽妙。もう肩の力が抜けまくっていて、それは音楽も、細野さんの人生も同様に、なんです。海外のコンサートを観た観客たちが口々に絶賛しているのも、誇らしいじゃありませんか。

今年の『モヤさま』で、さまぁ~ずの二人と福田典子アナが細野さんなじみの洋食屋を訪ねたら、たまたま細野さんも来ていて合流したという回を小生は見ておりましたが、その時に店を出た時の撮影風景を捉えた映像も入ってました。その上、エンド・クレジットには「さまぁ~ず」「福田典子」の名前も入っておりました。ほんの数秒のロングショットだったんですけどね。

 

 

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2019年11月26日 (火)

「グレタ GRETA」:怪人ユペールの怪作ホラー   #グレタ #イザベルユペール #クロエグレースモレッツ #ニールジョーダン

002_20191126225701 (注意!ネタバレあり) 映画『グレタ GRETA』は、あの『モナリザ』や『クライング・ゲーム』のニール・ジョーダン監督作品なんですけど、実のところアッと驚くトンデモホラー。イザベル・ユペールとクロエ・グレース・モレッツ主演なのに、こう来ますか?!って感じです。出だしは心理ホラーなんですけど、途中から様子がおかしくなっていき、終盤には完全にゲテモノ怪作の領域に迫っております。この監督がよくこんなもの作りましたね。何かの悪いジョーダンなのかと思いました(だじゃれ)。

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怪女イザベル・ユペールとしても、これまでの自己記録更新といったぶっとび演技です。振り切れてます。あまりのことに、笑っちゃうぐらいスゴイ怪物ぶりなんです。指切れても平気だし。要するにジェイソンやブギーマンを素顔でやっちゃってる凄さなんです。ひえー。あのバレエのような回転のこわさ…。

対するクロエちゃんは、22歳になったんですね。妙に肉づきがよくなっちゃってました。ほっとくと太る体質かも知れませんね。 

 

001_20191126230901 当然もっと上品な心理サスペンスにも出来たと思うんですけど、ここまで(下品なまでに)怪作の領域に持って来たのはなぜなんでしょうねえ? だって、ラストシーンまで「続編への含み」を持たせていて、まさに怪物系ホラーの定番でしたもん。

そういえば、『クライング・ゲーム』のスティーヴン・レイがすっかりお年を召した姿で(現在72歳)出演していて、久々にお目にかかりました。この人、「死亡フラグ」立ちまくりだなーと思ってたら、案の定…でした。

 

 

 

 

 

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2019年11月24日 (日)

「わたしは光をにぎっている」:静かに味わい深い秀作   #わたしは光をにぎっている #松本穂香 #中川龍太郎

_20191124_180252768x1077 映画『わたしは光をにぎっている』は、『アストラル・アブノーマル鈴木さん』『おいしい結婚』に次ぐ、今年3本目の松本穂香主演作。その他に助演が『チワワちゃん』『君は月夜に光り輝く』『きみと、波にのれたら』(声優)と3本あり、来年の主演作も『酔うと化け物になる父がつらい』『みをつくし料理帖』+助演作『his』があるという売れっ子ぶりです。ファンとして嬉しい限りです。そして、それ以上に嬉しかったのは、この作品が秀作だったこと。松本さんも『アスアブ鈴木』とは対極の芝居をしていて、これまでの代表作になりました。あまりしゃべらずに、小さな声で、その佇まいで見せる演技が、いい味出してました。彼女の持つ「ぽわーん」感と「もったり」感が生きたとも言えるでしょう。

 

Img_01_modal 新進気鋭の中川龍太郎の作品は初めて観ましたが、素晴らしいです! 映画というものがわかってます。映像が、どのカットも映画的。ただ単に美しいというのではなく、いい感じに心にしみてくる「絵」なんです。どの場面をどのように、どんな絵で撮ればいいのか、しっかりわかっています(ドローン・ショットも効果的でした)。引きの絵が多くて、主役の松本さんもほとんど表情が分からないようなロングショットが多いんです。でも、そこに醸し出される「雰囲気」の素晴らしさは最高です。

銭湯で働く松本さんが、自分で沸かしたお湯に手を入れて、掬(すく)ってみる場面のお湯や煙と光の美しさ! 水と煙とキラキラする光の美しい場面ということにおいて、『はなれ聲女おりん』で岩下志麻が川で水浴(みあみ)する場面と双璧です。日本映画史上有数の美しいシーンです。

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失われ行くものへのノスタルジアも、本作の重要なモチーフ。銭湯、映画館、商店街、個人商店、飲食店、そして人間。この監督の描く風景に、味わいと哀惜の念があります。葛飾区立石あたりの話なんですけど、渋谷区笹塚にある古いラーメン屋「福寿」も出て来ました(福寿のオヤジさんも、3つのシーンで登場)。そもそもこの伸光湯という銭湯からして、清瀬市にあるんですってね。

ラストのほのかに心優しい感じも、じんわり素敵です(その少し前の銭湯の天井の窓を写したカットも←これぞ映画)。本当に声高に叫ばない、小声でささやくような映画なんですけど、じんわり心に沁み続けています。きっと、また観たくなっちゃうことでしょうね。

新宿武蔵野館で観たのですが、例によってロビーにある造作が、いつも以上の力作(銭湯のイメージ)でした。

 

 

 

 

 

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2019年11月22日 (金)

「ホテル・ムンバイ」:祈るな!   #ホテルムンバイ #テロリスト映画

369103_001 映画『ホテル・ムンバイ』は、実際のテロ事件をもとにしております。とはいえ、映画的な脚色を施して、大衆娯楽映画に仕立ててあります。監督・脚本・編集はオールトラリア人のアンソニー・マラス。「踊らないインド映画なのかなあ」と思ってたら、なんとオーストラリア映画なのでした。ちょっと珍しいパターンですよね、よそんちの問題に首つっこむみたいで…。(正確にはオーストラリア・アメリカ・インドの合作扱いのようですが)

それにしてもこんなに簡単に命を奪われちゃうのは、嫌ですねえ。銃器の怖さ。それよりも異教は邪悪として認めない姿勢の怖さ。台詞にも「(神に)祈るな! それがすべての元凶だ。」とかいうのがありましたが、まさにその通り。世界のほとんどの紛争は、宗教上の対立に端を発していますもんね。

 

369103_006 2時間3分の上映時間のほとんどが、テロリストたちとホテル内に隠れて逃げ通そうとする人々との攻防。テロリストたちも中盤以降は、それぞれの家族や人間味のある部分を描いていくのですが、だからと言って、親近感や事情を思ってあげる気持ちになどは、ぜんぜんなりません。

逃げている人たちの中にもいろんなタイプがいて--いい人、悪い人、態度の悪い人、心の弱い人、ヒーローのような人などなど--、なんか『ポセイドン・アドベンチャー』とか『エアポート』シリーズとかの脱出ものに近い感覚ですよね。

 

369103_005 でも、世間で言われているほど圧倒的な緊張感や、徹底的な面白さがあるかというと、大江戸としては首肯しかねるところがあります。まあ、昔から積み重ねられてきたサスペンス&アクション&ヒューマンドラマで、…普通ですね。

ただ、あるシーンを見てて思ったのは、「ムスリムのお祈りを覚えておくと、殺されずに済む場合があるかも」ってこと。確かに、今日び覚えておいた方がいいのかもね。

 

 

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