2022年9月26日 (月)

「手」:しみじみとした佳作    #手 #映画手 #ロマンポルノナウ #松居大悟 #福永朱梨 #金田明夫

1_20220926222101 映画『手』は、日活のロマンポルノ50周年企画「ロマンポルノ・ナウ」3作品の一番手。5年ほど前にも「ロマンポルノ・リブート」と称して5人の監督がチャレンジしてましたが、まああれと同じ企画ですよね。 本作の監督は松居大悟。まさに日本映画の良さって感じで、狭い範囲で小さく悩んだりして、最後はちょっといい感じにしみじみとします。松居大悟作品の中でも、かなり上出来なのではないでしょうか。

ポスターや予告を見る限りでは若い男女の物語かと思えますが、実態は若い女性の物語であり、家族の物語であり、父と娘の物語でもあるのでした。 主人公のさわ子を福永朱梨が、「どこにでもいそうな」リアリティで好演してます。最終盤の父との会話で見せる表情が、もう絶妙なのでした。

彼女が「おじさん好き(おじさんマニア?)」という独特な趣味嗜好を持っているってところが、物語の原動力として効いておりまして、まあ津田寛治もそんなおじさんの下心を好演しているわけです、「かわいい」と言われたり、ハラスメント的思考を指摘されたりしながら。ジェンダー差別などの現代的なテーマを、いい塩梅に&上手に描いています。

(以降ややネタバレあり) で、終盤に父親役の金田明夫の出番が増えて来ると、娘のさわ子とのギクシャクした関係が雪解けしていく見事なドラマが展開します。そこらへんがあたかも小津安二郎の父娘ものを観るかのようで、しみじみ、そくそくと胸に沁みるのです。いつもは特に目立たない金田明夫が、やはりポーカーフェイスで好演してます(妙に好演だらけですね)。あのオヤジさんの発する「さわちゃん」の件りは、最高でしたね。

というわけなので、特にロマンポルノである必然性がなかったようにも思うのですが(実際、からみ場面も多くないし)、まあ都市の大人の物語として、それ以上に家族や父娘の物語として、愛すべき佳作となっているのでした。

 

 

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2022年9月25日 (日)

「よだかの片想い」:ルッキズム<シスターフッド    #よだかの片想い #安川有果 #松井玲奈 #中島歩 

1_20220925222401 映画『よだかの片想い』は、島本理生の小説を城定秀夫が脚本化し、長編2作目の安川有果が監督した作品。松井玲奈・中島歩主演でルッキズムを描く、メ~テレ製作の佳品です。

ほぼ全編を「顔にあざ」状態で演じる松井玲奈ですが、彼女は『ゾッキ』では助清みたいな白塗りスキンヘッドで怪演してましたもんね。それに比べれば…

で、この主人公が「遅くかかったハシカ」状態で恋に落ちるため、妙にグイグイ行きすぎちゃって、けっこうイタイ人になっちゃってます。また、その相手が「天然色悪」をやらせたら当代一の中島歩ですから、めでたしめでたしでは済みませんよね。それにしても中島歩の声や話し方って、竹野内豊に似てますよね。顔はむしろ金城武ですけど。

でも終わってみれば、むしろ松井と藤井美菜のシスターフッド的な部分の方が心に残ります。そういう作品なのです。(以降ネタバレあり) メイクアップであざを隠すことで問題解決!って感じのラストには、ちょっと「え? そんなんでいいの?」と思いもしましたが、このポジティブで救いのある感じと光の使い方でオッケーにしちゃってます。

撮影がなかなか繊細で良いと思って撮影監督を調べたら、「趙聖來」という人。ググっても、本作以外には当たりません。何者?

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2022年9月24日 (土)

「グッバイ・クルエル・ワールド」:もっとアクションをうまく!    #グッバイクルエルワールド #大森立嗣 #バイオレンス映画

2_20220924224801 映画『グッバイ・クルエル・ワールド』は、1984年のエルヴィス・コステロのアルバムと同タイトルです。また、伊藤銀次の1984年のアルバム『ドリームアラベスク』の3曲目と同タイトルでもあるのですが、そんな事を知る人は数少ないことでしょう。

それはともかく、実に日本版タランティーノみたいなバイオレンス・エンタテインメントに、大森立嗣監督がトライしました。ただご本人は、タランティーノっぽくならないよう意識していたそうなんですけど、でもやっぱりタラちゃんですよねー、これ。こういう日本映画がときどきあってもいいんじゃないの?とは思います。

ただ、大森立嗣の持ち味に合っていなかったかなあとも思います。それにしても(持ち味に合っていなくても成功作となった)『日日是好日』と同じ監督の作品とは、とても思えませんね。『日日』と『グッバイ』の2本立てとか観たら、アタマおかしくなりそうです。そんな番組を組むコヤがあるとは思えませんが…。

ドラマ部分はまあ悪くないんですよ。だけど、肝腎のアクションがうまくない(カッコよくない)んですよねー。もっとアクションの撮り方がうまい監督が作れば良かったんじゃないかなー。終盤の「炎をバックにしたシルエットの二人」は良かったんだけど…。

でも役者たちは頑張っていて、芝居合戦としては見どころがありました。監督の弟=大森南朋や、鶴見慎吾、玉城ティナが、特に良かったかな。その一方で西島秀俊がどうにもおとなしい善人にしか見えなくて、何をやっても元ヤクザのコワイ男には見えなくて、これだけはミスキャストでした。

(以降少々ネタバレあり) 銃弾を浴びボロボロ状態の二人が横並びで地面に座りながら話すラストは、『明日に向って撃て!』のラストのようでしたね。そういえば、あれも強盗たちの破滅の物語でありました。

 

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2022年9月23日 (金)

「リバティ・バランスを射った男」:ジミー×デューク→両雄並び立つ   #リバティバランスを射った男 #ジョンフォード #ジェームズスチュアート ジョンウェイン

Libertyvalance シネマヴェーラ渋谷のジョン・フォード特集で、『リバティ・バランスを射った男』(1962)を鑑賞。大昔にTVで短縮版(たぶん吹き替え版)を見たことがあり、かなり気に入っていたのでスクリーンで観る機会を得られて良かったです。ちょうど開映1時間前に劇場に着いて、チケットの整理番号が85番。開映時には満席だったのではないかと思います。かなりの人気。

ポスターはカラーですが作品はモノクロ・123分。昔の記憶の方がもっと素晴らしかった気もするのですが、それでもやはり名作です。なにしろジョン・フォード×ジョン・ウェイン コンビ最後の西部劇であり、ジョン・ウェインとジェームズ・スチュアート初の共演作なのです。ジミー・スチュアートと“デューク”ジョン・ウェインの対照的な個性ーー都会派と西部の男、知性とマッチョな男らしさ、細身のスマートさとがっしりした巨体、真面目そうな顔とジャガイモみたいなゴツゴツ顔、腕っぷしの弱さと強さ、女性性と男性性ーーの対照が効いているのです。

プラス、悪役(リバティ・バランス役)リー・マーヴィンの獰猛で悪辣な個性も効いてます(なんかギラギラと郷鍈治みたいで)。もちろんそれ以外のキャラクターもそれぞれに血が通っています。ここらはさすがにジョン・フォード。

(以降少々ネタバレあり) そして、終盤のちょっとトリッキーな展開と情感。大江戸はここが大好きです。対照的な二人の、不思議な友情や絆が心に迫る作品なのです。ジェームズ・スチュアートがいい所を持ってってるようでいて、最終的にはジョン・ウェインもかなり印象に残る役なのです。両雄並び立っているのです。

イーディス・ヘッドが衣装を担当しているのにも驚きました。彼女はあまり西部劇を手掛けていないと思うのですが、これでオスカーにノミネートされているんですね。そしてこの7年後に『明日に向って撃て!』を手掛けるのでありました。

 

 

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2022年9月22日 (木)

「地下室のヘンな穴」:日常の中の奇天烈    #地下室のヘンな穴 #12時間進んで3日若返る

1-1_20220922230701 映画『地下室のヘンな穴』は、タイトルを聞いて『マルコヴィッチの穴』を連想した人も多いと思うのですが、あの作品ほど奇妙奇天烈な感じではなく、むしろビジュアル的には退屈なほど平凡。一般的な日常の風景ばかりです。でも、ありえないヘンな設定で見せる作品。

(以降ネタバレあり) その穴に入ると「12時間進んで、3日若返る」ってことなんですけど、それ以上のことは教えてくれません。穴を戻ると12時間さかのぼるのか?とかね。もしそうなら、こんなチマチマした若返りよりも、12時間後の世界から競馬やトトの結果を持ち帰って、巨万の富を築けるのに。でもそこらへんには一切触れずに、物語は展開します。

まあ、フランス映画ですよね。夫婦の会話とか夫婦と友人の会話とかで成り立っております。コメディとしてはそんなに笑えるわけじゃないし、ドラマやSFとしてはシリアスじゃないし。で、正直あんまり面白いとは思えません。「時間」だとか「若さと老い」とかを考えさせる哲学的側面もあるわけですが、どこまで本気なのやら…。 「穴」と対比させたもう一つの下ネタ部分も、ほとんど笑えないしね。

何にしても上映時間が74分ってことで、苦痛になる前に終わるのは助かります。これぐらいの長さの映画がもっと増えるといいんですけどね。十分にいろんなことが描けますし、ちょっとした空き時間や仕事帰りに行きやすくなりますから。

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2022年9月21日 (水)

「川っぺりムコリッタ」:死を考察する荻上直子    #川っぺりムコリッタ #荻上直子 #ムロツヨシ

1_20220921222001 映画『川っぺりムコリッタ』のタイトルにある聞き慣れない言葉「ムコリッタ」とは、仏教における時間の単位で48分(1/30日)のことだそうです。この作品の主要登場人物たちの住まいが「ハイツ・ムコリッタ」という名前になっております。

予告編を見ると、『かもめ食堂』の荻上直子監督ということで、おいしそうな食べ物満載ののんびりした作品って印象だったのですが、実際は食べ物はほとんど白飯&イカの塩辛と味噌汁と漬物と生野菜が繰り返される感じです(すきやきはおいしそうでしたけどね)。まあ、のんびりゆったりしたテンポなのは、やはり荻上監督作品。でもこれまでとは違って、本作ではかなり「人の死」を中心的なテーマに据えています。というわけで、「らしくない」不気味描写もあったりします。

死、骨、葬儀、お墓などを重要なモチーフとしているのは、やはり荻上監督に近年そういう個人的体験があったからなんじゃないかなあと推測してしまいました(実際どうなのかはわかりませんが…)。

松山ケンイチ、満島ひかり、吉岡秀隆らも、期待通りの好演ですが、本作で瞠目したのはムロツヨシ。いつものムロとは、ぜんぜん違うのです。『神は見返りを求める』のムロも、いつもと違うムロをイメージしていたようですが、その実かなりいつものムロでした。しかし、本作の彼は別人のようにムロ臭を消しています。その上で突飛なキャラクターに命を通わせ、複雑な味わいを持たせているのです。演技賞ものだと思います。

でもこの作品、最終的にはゆったりし過ぎていて、あんまりノれませんでした。 それはそうと、荻上監督の映画作品、2012年『レンタネコ』、2017年『彼らが本気で編むときは』、2022年『川っぺりムコリッタ』と5年に1本ペース! 寡作(を余儀なくさせられているのかな?)ですねえ。

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2022年9月19日 (月)

「LOVE LIFE」:なんかこわい    #LOVELIFE #映画ラブライフ #深田晃司 #木村文乃

1_20220919215201 映画『LOVE LIFE』は、深田晃司監督の最新作。先ごろヴェネチア国際映画祭のコンペ部門にも出品されておりました。大江戸はたまたま時間の関係で「日本語字幕付きバージョン」を鑑賞したのですが、この映画は聴覚障害者が重要な役で出演しており、韓国手話も使われていることもあって、字幕バージョンも上映されてるわけですね(これまでにもそういう作品は時々ありましたが)。でも、字幕が出てると思わず読んじゃって、そうするといつもの映画体験とは違う感覚になってしまうというか、画面への注意が散漫にになるので、大江戸の場合は字幕をほとんど読まない技を身につけました。これって、例えば日本語もわかるアメリカ人の観客が日本でハリウッド映画を観る時に、これと似たような感覚を味わうのかも知れませんね。

それはどうでもいいのですが、この作品、あまり好きにはなれませんでしたねー。力作ではあるのですが、かなり居心地が悪い。なんか観ていて、不安で気分が良くない、そういう苦みが続く作品なのです。もっとも、それは深田作品の多くに言えることですけどね。『さようなら』『淵に立つ』『よこがお』『本気のしるし』など、どれもが観ていて不安になったり嫌な感じに包まれたりする作品でした。

深田作品には「人間の狂気」が常に描かれているからかも知れませんね、この居心地悪さは。今回も木村文乃のひそかな狂気が、怖かったです。(以降少々ネタバレあり) その先にあるラストシーンも、希望があるようには見えず、不安な緊張に包まれておりました。なのに“LOVE LIFE”なんていう美しく温かいタイトル・・・なんか、こわいです。

韓国手話といえば、『ドライブ・マイ・カー』にも出てましたね。今、40過ぎの気鋭の映画監督で国際的にも評価が高い深田、濱口の二人が韓国手話を扱ったというのは、興味深い偶然ですね。さらにいえば、今年のアカデミー作品賞『Coda コーダ あいのうた』も聴覚障害者と手話の物語でしたよね。なぜかなあ?

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2022年9月16日 (金)

「石子と羽男」「拾われた男」などドラマのこと    #石子と羽男 #拾われた男 #有村架純 #松尾諭 #北香那 #夏ドラマ

TBSのドラマ『石子と羽男』が最終回となりました。良いドラマでした。今クールのピカイチです(最後まで続けて見たのは、2作だけだったけど)。西田征史の脚本がヒューマンでハートフルで、気分良かったです。主要人物のキャラクター設定が成功していましたし、中でも有村架純と中村倫也のコンビネーションは(もともとの二人の個性を生かして)素晴らしかったです。一話完結型ながら、ラストで次回につなげたり、全10話を通して流れているストーリーがあったりして、しかも感動あり笑いあり家族の確執ありちょこっとラブありと、申し分のない娯楽作に仕上がっておりました。極端にいたたまれないような描写や辛すぎる場面がほぼ無かった(あってもライトなタッチなので救われる)あたりも、大江戸の好みでした。大傑作ではないけれど、好きですねえ。有村さん、やっぱりステキでしたねえ。マジメで一所懸命な(でもちょっとヘンな)役は、やっぱり彼女に似合います。

NHK-BSプレミアムでやはり全10話やっていた『拾われた男』もなかなか悪くなかったですよ。俳優・松尾諭の自伝的ストーリー(これが実に波乱万丈)。松尾役(劇中では「松戸」ですが)は仲野太賀。ただ、この作品、面白い部分とそうでもない部分があって、薬師丸ひろ子、鈴木杏らが出て来る事務所関係と、伊藤沙莉、安藤玉恵らが出て来るバイト関係はかなり面白いのですが、草彅剛や風間杜夫らが出て来る家族パート、アメリカ・パートはノれませんでしたねえ。なので、終盤がダメでした。それにしても、ほかにも夏帆、要潤、石野真子、井川遥、そしてゲスト的に岸井ゆきのや松本穂香、もちろん松尾諭本人も など、隅々まで豪華なキャスティングでした。北香那が演じたレンタルビデオ店バイトのオタク女子、その挙動不審さがサイコーでした(彼女は『バイプレイヤーズ』での中国なまりもサイコーでしたね)。脚本は、ダメ男を書かせたらこの人って感じになって来た足立伸(今度NHK朝ドラも手掛けるんですよね。小生はあまり好きではないんですけど)。

その他には脚本が坂元裕二ってことで2話まで見た日テレ『初恋の悪魔』ですが、少なくとも1・2話はとてもつまらなくって、3話にたどりつかずに脱落してしまいました。 TBS日曜劇場の『オールドルーキー』も2話まで見てやめてしまいました。いかにも近年のこの枠のあの感じだったので…。

NHK『鎌倉殿の13人』は、最初の4ヶ月ぐらいは物語を掴みかねて(歴史に弱いもんで)、ノれずにいたのですが、その後どんどん面白くなり、夏ごろからはもう面白くってしょうがありません。 そして、朝ドラ『ちむどんどん』。言うまでもなく(世間を騒がせている通り)史上最低の脚本(&かなり問題のある演出)です。毎日腹を立てながら見続けております(それなら見なけりゃいいとおっしゃるかも知れませんが)。あと2週も続くのかあ…。

 

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2022年9月13日 (火)

「アキラとあきら」:ザ・池井戸潤エッセンス    #アキラとあきら #池井戸潤 #上白石萌歌 #三木孝浩

1_20220913140801『アキラとあきら』は、「いかにも」な池井戸潤原作の映画化。これまでTBS日曜劇場や映画『七つの会議』『空飛ぶタイヤ』などでさんざん目にして来た池井戸潤らしさが、たっぷり充満しています。

「さんざん目にして来た」と書いたのは、小生が池井戸作品を一冊も読んでいないから。ま、読んだら読んだで面白いのでしょうが、どうも日曜劇場で刷り込まれた悪人がたくさん出て来るギトギトの濃いドラマを思うと、ちょっと遠慮したくなってしまうのです(勧善懲悪は好きなのですけどね)。

今回も「町工場の倒産」「大銀行の出世争い」「家族間の確執と連帯」「仕事を通しての絆や友情」「土下座」といったゴリゴリの池井戸エッセンスが溢れております。役者陣も、竹内涼真&横浜流星(アキラとあきら)をはじめ、皆さん熱演です。「紅一点」(なんて言っちゃあ良くないんでしょうねえ、今は)の上白石萌歌も、いつもとは違う大人な役柄で、良い芝居でした(こんな芝居ができるんだから、『ちむどんどん』なんかで評判下げてる場合じゃない)。

まあ「講談」とか「浪花節」として、面白いお話でした。2時間ちょっとのお楽しみとしては、よろしいのではないでしょうか。高橋海人演じる弟くんの社長就任とかその専横とか、いろんなツッコミ所は当然あるのですが、まあいいでしょう、講談なんですから。 それよりもキラキラ映画の人というイメージだった三木孝浩監督が、こういうシャシンを難なく撮ったことに驚きました。

この作品、2017年にWOWOWで連続ドラマになってたんですね。その時は、竹内の役を斎藤工が、横浜の役を向井理が演じていたのです。今回よりだいぶオトナですね。ってゆーか、本来そうなんでしょうね。今回が妙に若いキャスティングなのでありましょう(でも新人として入行した頃の描写かあるので、間違いとは言えませんけどね)。

 

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2022年9月12日 (月)

「百花」:チャレンジングで技巧的    #百花 #川村元気 #原田美枝子 #KOE

1_20220912223701 映画『百花』は、映画プロデューサー・小説家として知られる川村元気の初(長編)監督作品。自作の小説を脚本にし(平瀬謙太朗と共同)、演出も務めたわけです。なるほど、チャレンジングな作品にして、古典的で堂々たる作品になってもいました。

アルツハイマーで記憶を失っていく母をめぐる物語。主要登場人物は4人。かなり地味です。川村プロデューサーのこれまでのヒット作とは全然違います。普通ならミニシアター系、都内3-4館での公開が妥当でしょう。大江戸は今でもそう思います。しかしながら、本作はシネコンで拡大公開され、『ONE PIECE』や『ブレット・トレイン』と並んで、初登場週で興行ランキング5位に入っておりました。川村元気、おそるべし(ただ、大江戸が観た日曜夕方の新宿ピカデリーは、ガラガラでしたけど)。

カメラの移動を伴う長回し撮影が多く、「アルツハイマーの風景」を実験的に表現した撮り方なども色々と工夫されています。ぐるぐると繰り返すあのスーパーマーケットの場面なんかは秀逸でしたねえ。

原田美枝子が女優賞ものの熱演。現在と20数年前の自分(ほとんど二役ですね)を見事に演じています。20数年前の顔にはCGIによる画像処理が施されておりました。現在の顔は、むしろ老けメイクをしていたのでは? でもいろんな意味で、原田さん、女優冥利に尽きたのではないでしょうか。

コンピューターの生んだバーチャル・キャラクター=KOE(劇中にも登場)の歌う主題歌がオシャレかつアンニュイでカッコイイっす。

ただ、映画全体としては大江戸はそんなに感動したわけではありません。むしろ技巧に走り過ぎかもと思わなくもありません。まあ、体質とかテーマとかが合う合わないの問題だったのかも知れませんね。それでも、2作目を観てみたいと思わせる新人監督ではありました。

 

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