2020年9月21日 (月)

「ジャズ喫茶ベイシー Swiftyの譚詩 Ballad」:「好き」の力   #ジャズ喫茶ベイシー #映画BASIE #菅原正二 #亀山千広

1_20200921215601 映画『ジャズ喫茶ベイシー Swiftyの譚詩 Ballad』は、岩手県一関市にあるジャズ喫茶とその経営者=菅原正二氏をめぐるドキュメンタリー。公開4日目のアップリンク渋谷では、(一昨日から一席飛ばしの市松模様座席が解除になって)満席でした。久々だなあ、満席状態見たの。

大江戸はジャズは好きなんですが、入口をちょこっと舐めた程度なので、何も語れません。ましてやオーディオには何のこだわりもないので、「JBLのでっかいスピーカー、1947年製造ですかー。すごいなー。」ぐらいのことしか言えません。

ジャズ喫茶というのは、世界中で日本だけの特殊な形態なのだそうですが、なるほど。それを成り立たせているのは、規律を守れて、ジャズを学究的に捉える日本人の国民性なんでしょうね。そして「生き方がジャズ」な、こういう店主たちがいるってこと。本当に上原さんの周辺のいろんな人たちやミュージシャンの言葉を聞いていると、(そんなに深いこと言ってないんですけど)好きなことにこだわって、楽しく生きていていいなーって感じなんです。

この作品、元フジテレビ社長、現BSフジ社長…というよりは、『踊る大捜査線』などのプロデューサーだった亀山千広さんの製作なんですよね。亀山さんもベイシーの客として惚れ込んだのだそうです。やっぱり「好き」から作られる作品って、愛情にあふれた良いものに仕上がりますね。

 

 

 

 

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2020年9月20日 (日)

「思い、思われ、ふり、ふられ」(アニメ版):代々木上原の風景満載   #思い思われふりふられ #代々木上原 #大山町

1_20200920234501 映画『思い、思われ、ふり、ふられ』(アニメ版)は、ひと月ほど前に公開された実写版に次いでの劇場公開。(実写版の記事はこちら↓)

http://oedo-tokio.cocolog-nifty.com/blog/2020/08/post-2f065c.html

同じ題材を同時期に実写とアニメにするとは、岩井俊二が同じ題材を中国と日本で映画化した『ラストレター』『チィファの手紙』にも通じる斬新な試みです。

このアニメ版もよくできた作品だと思います。でも、三木孝浩による実写版の方が、より繊細でより感情に訴えるものでした。また、アニメ版では内気な由奈が朱里と同等に主役を張っています。実写版は(現時点での浜辺美波と福本莉子のポジショニングの差もあって)朱里が中心だったので、多分アニメの方が原作に近いのでしょう。アニメ版の方がより恋愛のキラキラ感は強かったかな。

舞台となっている代々木上原(~大山町)は、大江戸もわけあって最近ちょくちょく訪れているので、「おお!この風景は…」「ここは、あそこではないですか!」がやたらと出てきて、個人的に盛り上がっておりました。これは実写版にはなかったところです。

また、エンドロールを見たら、実写版の4人が声のゲスト出演をしていたのですねー。どこなんだかちっともわかりませんでしたけど…。

_20200920_221921_copy_638x1013 それと、入場時に特典の小冊子(原作マンガの番外編や原作者&声優たちのメッセージ入り)をもらったのでありました。

 

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2020年9月17日 (木)

「クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者」:クレヨンで描きまくるしんちゃん   #クレヨンしんちゃん #ラクガキングダム #きゃりーぱみゅぱみゅ

1_20200917224801 映画『クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者』は、「らくがき」がテーマなので、しんちゃんが本当にクレヨンを手に大活躍します。初めて(?)「クレヨンしんちゃん」というタイトルにふさわしい物語展開となっておりました。

前作『新婚旅行ハリケーン~失われたひろし』は、久々の傑作だったのですが、今回も味わいはだいぶ違うけど、よくできた作品です。本作の持ち味は直線的というか、剛球ですね。ストーリーとテーマを力強く描き出します。その分、ゆるさや遊びが少ないし、笑いも少なめ、野原一家の登場も少なめです。でも、終盤などはけっこう感動させる場面がいくつかありました。

お姫様の声をきゃりーぱみゅぱみゅがあてているのですが、その事を忘れていたので、観てる間は全然気がつきませんでした。エンドロールで「あ、そうだったっけ。」と思い出し、振り返ってあまりの自然なお姫様ヴォイスに驚きました。きゃりーちゃん、声優としてとてもとても達者です。

いつもは4月からゴールデンウィークにかけて公開となるしんちゃん映画ですが、今年は新型コロナのために延期となり、ようやく9月11日からの公開となりました。で、エンドロール後に2021年公開の新作も告知されており、まずはめでたいのです。その頃はこの世界が落ち着いていてほしいものですね。

 

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2020年9月15日 (火)

「喜劇 愛妻物語」:ダメダメ夫と心優しい鬼妻   #喜劇愛妻物語 #愛妻物語 #足立紳 #水川あさみ #濱田岳

1_20200915213501 映画『喜劇 愛妻物語』は、脚本家&監督の足立紳が自らの夫婦のあれこれを露悪的なまでに赤裸々に描いたコメディ。昨年の東京国際映画祭で最優秀脚本賞を受賞しています。でも、大江戸は足立紳って(申し訳ないけど)あまり評価してなくて--それは『キネマ旬報』連載の小説『春よ来い、マジで来い』が長いだけで一向に面白くならないことが大きいんだけど--、この作品にもさほど期待はしておりませんでした。

ま、ハードル低くしとくとそれを越えて来るぐらいには面白かったです。何といっても、水川あさみが素晴らしい! 濱田岳のダメダメぶりとウザさは想定通りにはまっていますけど、水川さんの方は主演賞ものです。体重を増やしてこの役に臨んだというだけあって、顔も体もおなかもだいぶふくよかになっております。そこがこの役柄にぴったりなのです。夫への罵詈雑言にも迫力が出るってもんです。それでも、その裏に少しばかりの「愛」を感じさせるあたりの演技バランスも見事でした。だって、ある意味「けなげ」なんです、この人。こんな夫でも別れようとしないし、数千円の宿代を浮かすために、体を張って塀を乗り越えてホテルに侵入するし…。

いや、それにしてもサイテーのダメ男でした。凄まじい夫婦でした。道路で罵り合った末に3人で号泣するクライマックス(?)の珍奇な味わいたるや…。

あと、ごひいきの夏帆は、いかにも夏帆って役柄で、さらりといい感じなのでしたー。

 

 

 

 

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2020年9月14日 (月)

「オフィシャル・シークレット」:葛藤と恐怖と勇気   #オフィシャルシークレット ギャヴィンフッド #キーラナイトレイ #レイフファインズ

1_20200914215701 映画『オフィシャル・シークレット』は、大江戸の2016年洋画ベストワン作品『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』の監督=ギャヴィン・フッドの新作。今回もしっかりした名作に仕上げてくれました。この監督、信頼できます。

英国内で起こった実話をもとにしたイギリス映画です。恥ずかしながら大江戸は知りませんでしたが、なるほどあの時代(2003年)の子ブッシュ政権下のアメリカとブレア政権下のイギリスでならありそうな話ですし、あったのですね。ただ本作ではあくまでも、諜報職員としてのルールを破って告発したキャサリン・ガンの心理と行動を中心に展開していきます。彼女の葛藤、彼女の恐怖、彼女の正義と勇気が、我々一人一人に「あなたならどうする?」と問いかけてきます。重い問いです。そして、多くの人が「彼女の勇気を見習いたい」と思うことでしょう。大江戸もそう思いました。こういう人がもっと多ければ、世の中もっと良くなるはずですもんね。

しかし、ポリティカルで倫理的でありながら、サスペンスフルなエンターテインメントとして良くできているのです。面白くて、骨があって、ある種の格調もある・・・『アイ・イン・ザ・スカイ』もそういう映画でしたね。

主人公が高潔なだけではなく、ごく普通の人間であり、後から自分の行動に恐れおののく(けっこうビビる)あたりも描いているあたりが、リアルですし、作品に奥行きをもたらしてもいます。そんなキャサリンを演じたキーラ・ナイトレイは、よくやりました。彼女のパーソナル・ベストでしょう。

そして、弁護士役のレイフ・ファインズは助演賞ものの見事さ! ほんのちょっとの表情の変化で、多くのことを表現し、滋味まで漂わせて、作品自体の格をも引き上げてくれました。彼がからむラスト・シーンの素晴らしさといったら!! 今年の最優秀ラストシーンかも知れません。気骨を感じさせるし、映画表現としてうまいし、ちょっと小粋でもあるのです。

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2020年9月13日 (日)

「チィファの手紙」:中国版『ラストレター』   #チィファの手紙 #岩井俊二 #ラストレター 

1_20200913230301  映画『チィファの手紙』は、岩井俊二監督が今年公開された『ラストレター』を自分自身で中国でリメイクした作品。と思いきや、さにあらず。こちらの作品は2年前の2018年に中国で公開されていたのでした。こちらの方が先行していたのです。びっくりですね。

確かに同じ物語です。そりゃ細部の変更はありますが、基本的に一緒の話で、一緒のディテールです。それを中国を舞台に、中国人の俳優が中国語をしゃべりながら演じます。確かに岩井ワールドになっています。映像のルックがそうなってます。撮影監督は『リップヴァンウィンクルの花嫁』や『ラストレター』の神戸千木。ここでしっかり岩井ワールドのルックを作ることができたのは大きいですよね(でも、かつて岩井がアメリカで撮った『ヴァンパイア』では、撮影は岩井自身なのにうまくいってたとは思えませんでしたけど)。

大江戸は『ラストレター』をかなり気に入っておりますが、こちらの作品は今一つでした。『ラストレター』は夏の映画なのに、こちらは冬の映画。そしてそれ以上に、こちらは「陰」の映画で『ラストレター』は「陽」の映画なのです。『ラストレター』の主人公(福山雅治、松たか子)や姉妹(広瀬すず、森七菜)の方が、基本的に明るいのです。そこが映画を弾ませているのです。笑えるのです。対する本作は、(暗いわけではありませんが)なんか寂しくて静けさに満ちているのです。

いやいや、それ以上に、単に観てて面白くなかったんです。それは筋立てを知っちゃっているってことだけではなくて、なんか引き込まれないし、作品が私つかんでくれなかったのです。中国の人がこれを観ると、『ラストレター』よりも面白かったりするのかなあ? 映画って不思議です。

 

 

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2020年9月12日 (土)

「ミッドウェイ」:昔ながらのハリウッド流戦争映画   #ミッドウェイ #ローランドエメリッヒ #豊川悦司

1_20200912224901 映画『ミッドウェイ』は、ドイツ人のローランド・エメリッヒ監督作品。微妙な立ち位置である彼が、この日米の戦闘を監督することで、新しい何かが生まれるかもと思いましたが、いやいや、結局はただのハリウッド流物量戦争映画でした。

むしろ、実に「昔ながらの」戦争映画って趣きです。結局は(当然ながら)アメリカ寄りだし、血沸き肉躍る戦闘シーンのスペクタクルで見せていきます。まあ、そういった意味では、エメリッヒ作品らしいとも言えるわけですが…。

ただ、豊川悦司の山本五十六をはじめ、浅野忠信、國村隼らが演じる日本の軍人たちへの(ある程度の)リスペクトが見えるのは、喜ばしいこと。ハリウッド映画にありがちな「変な日本の描写」がないことにも、好感が持てます。

でも、例によって中国資本が入っていることもあり、とってつけたような中国の描写が入っていたり(米中でしっかり握手してたり)します。部分的には、日本を恐ろしい悪役として描きたかったのかと、うがった見方が頭をかすめるほどです。

映画としても、似たような空中戦の場面が延々と続くので、かなり飽きます。エメリッヒだから、VFXの質は高いのですが、でも飽きます。

この映画ほとんど宣伝されずに、いきなり昨日公開されました。世が世なら、夏や冬のハイシーズン用の大作として公開されたんでしょうにね。特に今は、見に来てくれそうな高齢者層がコロナで出てこないですもんねー。そうはいっても、新聞やテレビといったオールドタイプの媒体をもう少し使って、その層にこの映画の存在を告知しないとダメなんじゃないかなあ。

 

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2020年9月11日 (金)

「驟雨」:昔の男って…   #驟雨 #成瀬巳喜男 #原節子 #神保町シアター

_20200911_225552_copy_732x1015 神保町シアターで原節子の特集をやってまして、成瀬巳喜男の『驟雨』(しゅうう)を観ました。これ、10年前にも観てたんですけど、大まかにしか覚えておりませんでした。でも、良い映画だということは忘れておりませんよ。

(10年前の記事はこちら↓)

http://oedo-tokio.cocolog-nifty.com/blog/2010/06/post-4cbc.html

で、やはり成瀬らしい、夫婦の機微を描く繊細なニュアンスが持ち味の映画です。原節子と佐野周二が夫婦なのですが、いやー、この時代の夫婦関係ってすごいですね。まさに、ご主人様と召使。男はなんでこんなにいばっていたのかなあ。今見ると、男性の大江戸でさえ腹が立ってしょうがないような台詞が山ほどあります(いわんや女性をや)。まあ、男は男で当時の社会規範だとか男らしさの呪縛に縛られてた結果なんでしょうけど。そして、だからこそあの奇跡のようなラストが生きたんでしょうけどね。

市井の暮らしの描写がやっぱり圧倒的にうまいんです。隣家との交流、買い物、通勤、来客の光景…。それにしても、梅ヶ丘駅の(そして周囲の)あまりの古さ(想像もつかないような昔感)には、驚きますね。1956年作品ってことは、64年前ですかー。なるほどねえ。

あとは、たくまざるユーモアの数々。そば屋が間違えてうどんを持ってきちゃうことの、そこはかとないおかしさ。原節子が糾弾されるかと思いきや…の町内会におけるオフビートな笑い。その肩すかし感。とにかく、すべてが大人感覚なんですよねー。そして、繰り返しになりますが、あの序破急の「急」みたいなラスト。その鮮やかな手つきには舌を巻きます。やっぱり成瀬巳喜男の味わい、サイコーです。

 

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2020年9月10日 (木)

「れいこいるか」:じわじわとしみる   #れいこいるか #いまおかしんじ

1_20200910224701 映画『れいこいるか』は、25年間(ほとんど)ピンク一筋だった いまおかしんじ監督初の自主製作映画であり、『キネマ旬報』などでも非常に評価の高い一本。大江戸にとっては、初のいまおか作品です。

1995年の阪神大震災からの贖罪の日々、葛藤の日々を送る元夫婦の心の旅路。正直、オープニングから2-30分は、「うーん、評判ほどでもないなあ。この感じ。あまり好きじゃないかも。」と思っていたのですが、物語が進むにつれてじわじわと良くなっていきました。じわじわと心にしみて来るのです。失礼ながら「有象無象」と言っていいような、しょーもない庶民のおっちゃんたち、おばちゃんたちの生が、その人生の機微みたいなものが、じんわ~りとした感銘を与えてくれるのです。

いまおか監督の市井の人々に対する「みんなダメなやつらだけど、愛おしい。人間っていいな。」的な優しい視線が、この作品のすべてです。それをイルカのぬいぐるみやら、巨大な鉄人28号やらに仮託して描く、そこにこそ「映画」が立ち現れるのです。

_20200910_230104_copy_800x483 それにしても今年は、『アルプススタンドのはしのほう』の城定秀夫監督といい、いまおか監督といい、ピンク界の俊英が一般映画に進出して活躍してますねえ。 

今日はアップリンク渋谷で観たのですが、いまおかしんじ監督は公開当初の新宿k's シネマでも(たぶん)毎日毎回トークショーをやっていたし、こっちに移ってからもそれは続いているようです。本日のお相手は、この作品のプロデューサーである川本じゅんき さん。想定よりはだいぶヒットしたみたいで、良かったですね。

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2020年9月 9日 (水)

「ソワレ」:社会問題を通して個を描く   #ソワレ #村上虹郎 #芋生悠

1_20200909230201 映画『ソワレ』は、’70年代の日活(にっかつ)一般映画やATG映画、その流れを汲む’80年代の一部の日本映画が持っていた香りをまとった作品。ロードムービーでもあります。アメリカン・ニューシネマの匂いもありますね。

テーマ的には社会派です。性暴力(それも近親間の)、オレオレ詐欺、介護といった問題を、社会の中のマクロ的視点ではなく、あくまでも個の問題としてミクロの視点で描き出します。今年40歳にして、本作が長編デビュー作となった外山文治監督(脚本も)は、邦洋の映画的遺産を下敷きにして、しっかりした映画を作り上げました。カメラマン(池田直矢)の手柄かも知れないけれど、海辺の二人をロングショットで捉えた絵のサイズ感は、よく見る構図よりも更に引きの絵になっていて、そこにセンスを感じました。

2_20200909232701 村上虹郎は、いかにも彼らしい役柄なのですが、対する芋生悠が新鮮。当世なかなかいないタイプで、その個性やリアリティが輝きます。今後に注目しておきたいと思います。

作品全体としては、今一つ弱いんですけど、もっと圧倒的に心を締めつけてくれたらとも思うんですけど、つまりもっと名作にでき得た可能性を夢想したりするのですが、まあこれはこれで今日び貴重なタイプの映画です。こういう作品が常に作られ続ける日本映画界であってほしいと思います。そういった意味では製作に携わった豊原功補と小泉今日子は、いい仕事をしましたね。

 

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