2020年8月 4日 (火)

日時指定制の「ミッフィー展」@松屋銀座   #ミッフィー #ミッフィー展 #松屋銀座

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松屋銀座で開催中の『誕生65周年記念 ミッフィー展』(~8/10)を観ました。このご時世なんで、日時指定制を取っております。

15965473460324 おかげで距離をあけながら、快適に観ることができました(いつもはかなりの混雑になるので)。ま、写真のように入口のあたりは記念写真の人とかでそれなりに混んでますが…。あと会場内やグッズ売場にも、ともすると密になりそうな場所がないこともないので、我々は自覚をもって行動せねばなりません。

この会場での「ミッフィー展」は何度目なのでしょうか? ちょくちょくやってますが、今回も「安定の」かわいさ。デザイン性も高いので、松屋銀座という会場との相性が良いのでしょうね。当然のように、女性客ばっかりでした。

ディック・ブルーナさんの原画、スケッチ、映像、プロダクツなどの展示なのですが、終盤に日本のあの人やこの人とブルーナさんやミッフィーとの関わりを見せるコーナーがあって、石井桃子さん、さくらももこさん、酒井駒子さんのあれこれが展示されておりました。

15965472346132 毎度書いてますが、グッズ・コーナーの充実ぶりは圧巻で、衣食住+αに及ぶミッフィー・グッズの数々には、(買うつもりがなくても)かなりそそられてしまいます。

そして店内随所には、床や壁を使って「ミッフィーをもっと知る,65のこと」という企画が。「大きなインスピレーションを受けた作家はマティス」とか「家族は妻、3人の子ども、5人の孫」とか、ブルーナさんのことが書いてるかとおもえば、ミッフィーの本に関する知識だとか、キャラクターの紹介だとか、ブルーナさんの言葉(「日本は、暮らしの中にシンプルが根ざす、世界でも数少ない国」)などもありました。15965472905673

 

そうそう、会期前から松屋銀座の白い外壁がミッフィーになっておりました!_20200723_192908

数年前の展覧会でもそうなってましたけど、面白いなー。かーいーなー。素晴らしいアイディアです。

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2020年7月23日 (木)

村上春樹の「一人称単数」   #一人称単数 #村上春樹

15955070096723 7月18日に刊行された村上春樹6年ぶりの短篇集『一人称単数』(文藝春秋)を、さっそく読みました。やっぱり村上さんは短篇の名手ですね。いろんなタイプの8篇が収められており、7篇は『文學界』に2018~19年にかけて掲載されたもの。最後の『一人称単数』(本書のタイトルでもあります)だけが書き下ろしです。

すべて一人称の小説です。村上さんなので、「僕」なんですけど、『一人称単数』だけは「私」となっていて、最初のうちは「女性が主人公なの?」って思っちゃいました。 「僕」って書かれていると、村上さん自身が語っているような気がして、フィクションであることを忘れてしまうのですが、気がついて、「おっと、小説だよな」と軌道修正するのです。『「ヤクルト・スワローズ詩集」』だけは実際村上さんの話で、小説というよりはエッセイですね。

タイトルにチャーリー・パーカーやビートルズが入る作品があったり、シューマンの『謝肉祭(Carnaval)』をタイトルにした作品があったりというのも、村上さんらしい。

そして、すべての作品にいつも以上に寂寞感や喪失感が感じられました。そういった中で、『品川猿の告白』のとぼけたユーモア(と『「ヤクルト・スワローズ詩集」』のゆるさ)に、ほっとするところはあります。

さて、『騎士団長殺し』以来の長篇は、いつ目にすることができるのでしょうか? 村上さんのことだから、新型コロナをメタファーにした傑作を書いてくれそうな気もするのですが…。

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2020年6月18日 (木)

「センスは知識からはじまる」水野学   #センスは知識からはじまる #水野学 #センス 

15924833931690 クリエイティブディレクターの水野学さんの本『センスは知識からはじまる』(2017年/朝日新聞出版)を読みました。タイトルが示す通り、「センス」というのは生まれついての特別な才能ではなくって、さまざまな知識の蓄積から生み出されるものであり、心掛けやトレーニングで獲得できるものだということを、丹念に説明してくれる本です。「あいうえお」の5文字しか知らない人より、50音全部を知っている人の方が、素敵な文章を書けるでしょって感じのお話が続くのです。

各セクションのタイトルも、「美術の授業が『センス』のハードルを高くしている」「センスのよし悪しが個人と企業の存続に関わる時代」「時代は『次の利休』を求めている」「技術がピークを迎えるとセンスの時代がやってくる」「日本企業に必要なのはクリエイティブディレクター」「客観情報の集積がその人のセンスを決定する」「『幼児性』で新鮮な感性を取り戻す」などなど、大江戸的には相当気になっちゃうような言葉が並んでいるのです。

これまで大江戸が思っていたのと同じだ!というような考えも多々ありまして、こういう形で論述してくれると「なるほど」感でいっぱいです。ところどころには「?」な例えがあったり、完全に首肯できかねる話もあります。大江戸もこの本で水野さんが言っていることには賛同しますが、でも一方では学習や知識を越えた領域の「センス」ってのもあるよなあと思うのです。ある地点までは知識で獲得できても、トップの部分ってのは、それ+αがあるように思うんですよねー。

でも全体的には拍手を贈りたい一冊です。水野さんも知識と集積の先の「精度」を上げていくことが大切だとおっしゃっています。その精度こそが、一流の領域なのだと思います。

 

 

 

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2020年5月13日 (水)

「茶聖」伊東潤:ドラマの深さと娯楽性   #茶聖 #伊東潤 #千利休 #利休と秀吉

15891977218311 この2月に刊行された伊東潤『茶聖』(幻冬舎)を読みました。本文7~519ページの長編。千利休と秀吉の確執をめぐるエンタテインメントです。これまで何冊もの利休小説を読んできましたが、本作はエンタテインメント性において一番かも知れません。

利休の行動原理を「(戦乱を遠避け)世の静謐を求める」ということに絞って、それゆえに秀吉と対立したという解釈が、これまでのどの解釈よりもわかりやすく得心できるものでした。それゆえに危険な橋を渡り、それゆえに命まで賭けたわけです。秀吉と利休の丁々発止のやり取り、言葉の裏の本心の読み合い、互いへのあてつけ…いやー、面白い。小説の力を見事に生かしました。これ、映画化されるんじゃないでしょうかねえ。人間ドラマの深さとエンタテインメント性がしっかり両立していますので。

難ありとまでは言いませんが、ちょっとどうかなと思ったのは、冒頭に切腹を持って来て、ラストがその手前まで(+数行の切腹後)という構成。普通に切腹ラストで良かったんじゃないかなあと思いました。

いずれにせよ、伊東潤さんの骨太にして流麗な筆でぐいぐいと引き込まれ、読み進みました。見事な「お点前」でした。

 

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2020年5月 5日 (火)

「猫を棄てる」:静謐な哀しみのようなもの   #猫を棄てる #村上春樹 

15885562163231 村上春樹の新刊『猫を棄てる  父親について語るとき』(文藝春秋)を買って、すぐ読んじゃいました。発売日の夕方にはもう書店で売り切れていたので、取り寄せたのです(取り寄せも一時欠品)。思ったより小さくて薄い本で、新書サイズに近いですね。本文は9ページ~97ページで、その後に4ページのあとがきがついてるだけ。その間にけっこう挿絵も入っているので、速読の人なら、あるいは本屋のはしごをすれば、立ち読みで読めちゃうんじゃないかと思います(そういうことはしないでね)。

村上さんの父親について書いた、とても私的な覚え書きで、こういう本がたくさん売れるってのは、驚くべきことではあります(それが現在の「村上ブランド」ってことでありますが)。文章は、いつも以上に静謐な哀しみのようなものに充たされておりました。この本を読んで思い当たるのは、彼が父から受け継いだ漠然とした戦争に関する澱(おり)のようなものが、『ねじまき鳥クロニクル』を書かせたのだろうなあということ。

15885561046550 表紙カバーを取った本体はグリーンの布目調で、昔の本みたいなクラシカルなデザインです。たぶんこの本で主に語られている時代(戦前から昭和30年代ぐらい)を意識したんでしょうね。表紙や本文中の挿絵は台湾の高妍(ガオ・イェン)さんという若い女性イラストレイターで、絵の中にとても寂しい空間があるのです。今回の村上さんの文章と相まって、とてつもなく孤独な世界が立ち現れて来ます。でも、そこまで寂寞とさせなくても良かったんじゃないかなあ。

まあ、それにしても、・・・猫の話は不思議でした。そこらの「人知を超えた謎の顕現」みたいなことも、村上作品のルーツになっているのでしょうね。

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2020年4月28日 (火)

「食の軍師」第8巻   #食の軍師 #泉昌之 #本郷播

15880811915770 泉昌之のコミック『食の軍師』、とうとう第8巻です。全巻持ってます。

今回は、「ランチを攻めよ!」ってわけで、「〇〇の昼食」を16本収録。銀座、赤坂あたりがある一方で、御徒町、蒲田あたりもあり、神泉、池上なんかも押さえています。その上、本川越、東村山、前橋あたりまでの遠征も行っていて、バリエーションは豊か。

中折れソフトにトレンチコートの主人公・本郷播とライバル・力石との闘いは、永遠に続くのだなあ(本郷は決して勝てないけど)。 今回も、大いに楽しませていただきました。バカバカしくていいよね。

有楽町のあのお店とか日比谷のあそこのお店とかには、今度行ってみようと思ったのでありました。

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2020年1月29日 (水)

「芦川いづみ 憂いを含んで、ほのかに甘く」:貴重ないづみ本   #芦川いづみ

15800357306184050010323532 昨年末に刊行されたスチル写真&ポスター集+インタビューやその他のコンテンツで盛りだくさんの『芦川いづみ 憂いを含んで、ほのかに甘く』(高崎俊夫・朝倉史明 編/文芸春秋)を刊行ほどなく買ってはいたのですが、ようやく紹介させていただきます。

「デビュー65周年記念出版」と銘打っておりますが、彼女の場合活動期間は短くて、十年かそこらの活躍を経て、藤竜也との結婚を機に引退しちゃいましたから。それ以降はまったく表舞台に出ていないだけに、永遠に若い日のまま…ということで、いまだにファンも多いのです。もちろん小生は後追いで日活アクションなどを観るうちにファンになったのですが、日活の女優さんの中ではいちばん好きです。ってゆーか、「往年の女優」というくくりでも一番でしょう。可憐でキュートで透明感があって、まじめでけなげでしっかりしていて、すてきですよねー。

有馬稲子に似てるけど色が黒いから「稲」じゃなくて「麦」だ、ってことから「おムギ」という愛称をもらっていた芦川さんですが、現代では吉岡里帆に似てると思うんですよねー(この表紙の写真はそんなに似てないけど)。

白眉は、近年になって芦川いづみを「発見」して大ファンになったという江口寿史による、いづみさんのイラスト。神保町シアターなどで既に目にしていたものですが、いやー、素晴らしいですねー。キレイです。

そして現在の彼女へのインタビュー(20ページ)は楽しく、貴重です。今はカラオケで竹内まりやの歌を歌ってるなんて!

フィルモグラフィーを見てると、まだまだ未見の作品だらけなので、小生もこれからまだまだいろんな発見ができそうで、楽しみなのです。 ネットで検索する限り、彼女の本って他にはないみたいなので、作ってくれてありがとうございました。

 

 

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2019年12月29日 (日)

「つつんで、ひらいて」:物質としての本を支える装幀   #つつんでひらいて #菊地信義 #装幀

001_20191230002901 映画『つつんで、ひらいて』は、ベテラン装幀家・菊地信義の仕事ぶりを追ったドキュメンタリー。なにしろ40数年の間に1万5千冊を超える本の装幀をしたというのですから、驚異的な人です。

この人のブックデザイン作業は、実に古典的。アナログな手作業の世界です。写植文字(まあ、今はさすがにパソコン文字でしょうが)を切り貼りする世界。PCの操作はオペレーターに任せて、自分は判断と指示に徹するというスタイルなのです。長い年月続けて来たやり方なのでしょうね。

 

002_20191230003701 実に細かいニュアンスの微妙な差異にこだわっての仕事が続きます。99と100のせめぎ合いだとか、1mm上げるとか下げるとか、4文字中2つの文字にだけ長体3%をかけるとか、感知できるかできないかギリギリのラインで、作品の精度を上げる試みが繰り広げられます。ただただ経験に裏打ちされた「感覚」の成せる判断。観ていて、とても興味深く引き込まれます。

弟子にあたる切れ者の装幀家・水戸部功のインタビューも、かなりの尺で収めれれているのですが、この人の作品も菊地氏の作品に負けず劣らず素晴らしいものです。この二人の関係性や、言葉も面白かったなあ、互いを認め合っていることがわかりますし、だけどライバルとして火花の散る部分もあるという…。

 

003_20191230005101 監督の広瀬奈々子さんは、今年『夜明け』で監督デビューしたわけですが、あの作品にはさほど感心しませんでした。でもこちらは素晴らしいです。題材の面白さが大きいとは思いますが、しっかりした手際で94分の映画にしてあります。「お仕事映画」です。

終盤に印刷会社の工場や製本所で立ち合いをする場面がありますが、いやー、これがまた面白いんです。物質としての本を作り上げるために、ここまでの技術とここまでのこだわりがあるという、多くの人々の真摯な努力があって、書店に並んでいる本があるという説得力のある映像が撮れています。もっとも、最近は書店に並ばないで、直接倉庫から届けられる本が多いわけですが…。 この作品を観ると、やっぱり紙の本はいいもんだと改めて認識せざるを得ません。本ってコンテンツだけじゃなくて、紙の手触りや本の重さや紙をめくる音やフォントや、パラパラと見られる「一覧性」などを含めて素晴らしい物体ですもんね。スマホやタブレットだけでは、味気なくって・・・そんなの文化じゃありませんやね。

 

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2019年12月 6日 (金)

「ちくわぶの世界」って本!   #ちくわぶ #ちくわぶの世界 #丸山晶代 #小野瀬雅生

_20191206_2222251024x1350 先日発売されたこの本を買いました。『ちくわぶの世界』っていう魅惑のタイトル! 著者は丸山晶代さん。この人、TBS『マツコの知らない世界』の「ちくわぶ」の回に出てた人です。「ちくわぶ料理研究家」の肩書もお持ちのようです。

大江戸はちくわぶが大大大好き!(ついでにいえば、ほうとうもすいとんも白玉もトッポギもニョッキも好き)  なので、「待ってました!」って感じの本です。B6変型判というのかしら、小ぶりな本です。この表紙で、上の方が角丸になっているあたり、絵本を思わせます。

で、中身はカラーやモノクロの画像を豊富に使いながら、あらゆる角度から「東京下町のソウルフード」である「ちくわぶ」に迫ります。大江戸は実は東京山の手の人間なのですが、子供の頃から大のちくわぶ好き。東京圏は「ONE TEAM」となって、ちくわぶを振興させてまいりましょう!

工場見学レポートやら、おでん屋レポートやら、ちくわぶの歴史やら、小麦粉と粉もの文化の考察やら、ちくわぶ料理のレシピ集やら、まじめに研究してくれちゃってます。マニアックな愛に満ちた本です。

そして、クレイジーケンバンドのギタリスト=小野瀬雅生さん(のっさん)と丸山さんとの対談も! ちくわぶ愛に溢れた素敵な対談でありました。「ちくわぶ」は「CKB(クレイジーケンバンド)」ならぬ「CKWB」なのだと聞いて、うーむと思いました。

ああ、読んでるとちくわぶを食べたくなります。レシピが載っている「ちくわぶのからあげ」「ちくわぶチリソース」「ちくわぶチップス」「ちくわぶのアヒージョ」あたりは、特に食べてみたいですね。専門店作ってくれればいいのに!

 

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2019年10月30日 (水)

「ドリーミング村上春樹」:さらっとした60分   #ドリーミング村上春樹 #村上春樹 #かえるくん

368445_001 映画『ドリーミング村上春樹』は、デンマーク人翻訳者の村上春樹作品との格闘を軸に、デンマークと日本での彼女を追った60分のドキュメンタリー。60分なんで、当日大人料金1,600円/特別鑑賞券1,300円と、通常料金より200円ほど低めの設定です。

ドキュメンタリーとはいえフィクショナルな要素も取り入れて、ちょっと不思議な作品です。かなりリアルな人間サイズの「かえるくん」(『かえるくん、東京を救う』)がところどころに登場しますし、ブリッジの向こうの空には二つの満月が浮かんでいます(『1Q41』)!。

 

368445_003 翻訳者のメッテ・ホルムさんの仕事を追ったドキュメンタリーとしては、結構中途半端です。作業の総てを網羅的に描くのでもなく、かといってそんなに深くまで掘り下げることもしません。翻訳の困難さや日本語の難しさを描く部分も、割と通り一遍でさらっとしてます。最後まで淡々とし過ぎていて、ラストなんかも「あれっ?本当にこれで終わりですかい??」って感じでした。

 

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(以降ネタバレあり) この作品、最後まで村上春樹は出て来ません。講演会で投影される画像だとか、新聞に載った顔写真だとか著書の表紙などに顔が写っている程度です。まあ、これはそんなもんだろうと思っていた通りなので、特段の肩すかし感はありませんでした。

ただ作品自体のありように疑問があるというか、「いったい何を描きたかったの?」って感じが拭えませんでした。村上作品にも大して迫っていかないし。「翻訳って難しいものです」と「謎のかえるくん」だけじゃ、しょうがないでしょ?

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