2022年9月15日 (木)

「彼女の思い出/逆さまの森」J.D.サリンジャー    #逆さまの森 #サリンジャー #倒錯の森 #彼女の思い出逆さまの森

Dsc_1123_copy_600x823 この7月25日発行の『彼女の思い出/逆さまの森』(J.D.サリンジャー 金原瑞人訳/新潮社)を読了。1941~48年にかけて、サリンジャーが『Good Housekeeping』や『Cosmopolitan』などの雑誌に発表した作品を集めた短編集。アメリカ本国では、ずーっと出版されていないのに、なぜか日本では出版しているという謎の短編集です。ちょうど9篇を収録しているってことで、帯にも「9つの物語 ナイン・ストーリーズ」って書いてあります。

これ、昔は『倒錯の森』というタイトルでした。荒地出版社版(刈田元司・渥美昭夫訳)を大江戸も持ってます。“The Inverted Forest”が原題ですが、確かに「倒錯」だと言葉が強過ぎるので、今回のタイトルの方が妥当に思えます。

ごく短い作品から、109ページの中編『逆さまの森』まであります。サリンジャーらしい都会派センスは共通していますが、その一方で粗削りな部分も多いと言えるかも知れません。やはりサリンジャーが出版を許可した作品の方が洗練されていて、完成度が高いのです。でも、どの作品も面白い。やっぱりサリンジャーって、(自分でも言っているように)短編作家なのですね、基本的に。実際、長編は『キャッチャー・イン・ザ・ライ』しか書いていませんし。その中にいろんな技巧(時にはトリック)を使ったりしているのです。

やはり白眉は『逆さまの森』。この展開と結末には唸ってしまいますね。人間って、そして人間を描く小説って、不思議で面白いものですねえ。小説って、すごいものですねえ。←淀川さんか?

結局、この(幻の)短編集のサリンジャーも、えらく魅力的なのでありました。

 

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2022年8月18日 (木)

「絶対悲観主義」楠木建    #絶対悲観主義 #楠木建

Dsc_1000_copy_499x720 講談社+α新書の『絶対悲観主義』(楠木建)ってのを読みましたが、かなり面白かったです。

「こと仕事に関していえば、そもそも自分の思い通りになることなんてほとんどない」という見地に立っていれば、逆境も困難も挫折もないというお気楽な考え方なんですね。「絶対うまくいかないと思っていれば、失敗しても当たり前。うまくいったりしたらすごく嬉しい。」とまあ、そんな考え方が綴られていきます。

世間に山とある根性系、前向き系の人生本、ビジネス本の逆張りですね。筆者が、役職に全く興味がなかったり、社交パーティーが大嫌いだったり、独りをこよなく愛したりしているあたりの記述が、これまた一般的なビジネス本の裏を行っていて、ある意味痛快でした。その筆致も、全体的にゆるくて、ユーモアたっぷりなのです。

本筋とは関係ないけど、興味深かった記述がこちら  ~ 戦争防止法の私案があります。条文はひとつだけ。「第1条 戦争状態に入った時点で内閣を構成する大臣および副大臣の二親等以内かつ18歳以上の健康な者は全員直ちに身体的危険を伴う最前線の戦闘業務に従事しなければならない」 --滅茶苦茶に聞こえるかも知れませんが、これは相当に実効性があると思います。 ~ なんてのもあって、なるほどと感心しました。

写真にもある「心配するな、きっとうまくいかないから」って帯もいいですねえ。ゆるくパワフルです。

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2022年7月17日 (日)

「破戒」:小中学生に観てもらいたい    #破戒 #映画破戒 #間宮祥太朗 #矢本悠馬

1_20220717222801 映画『破戒』は、島崎藤村の名作(初出=明治39年)を、1962年の市川崑監督作品以来60年ぶりに映画化したそうです。悪い出来じゃないけれど、少々物足りなさを感じなくもありません。

真面目に、端正に、画面作りをしていきます。衣装や美術も、ロケーションや撮影もしっかりしていて、ケチをつけるパートはありません。でもなんか普通過ぎて、通俗過ぎて、映画として突き抜ける魅力が足りないなあと感じました。でも用語の問題とかでテレビドラマとしては作れないのでしょうから、制作の意義はあると言えましょう。むしろ小中学校の人々にはできるだけ観せたい作品です(いや、高校生、大学生にだって)。今は学校単位の映画鑑賞会なんてないんでしょうけど、何らかの形で届いてほしいですね(どうせ原作を読む人は、極めて少数なんでしょうから)。そしていろんな形の差別やいじめの問題に関して、話し合ったり考えたりするきっかけになってくれるといいなと思います。

終盤のカミングアウト場面以降は、子供たちや志保さんのからませ方などが非常に通俗的になっています。原作は大昔に読んだきりですが、こんな感じじゃなかったですよね。もっと厳しかった。でも、大衆に訴える映画として、こういう作りにした判断もよくわかります。個人的にはちょっと甘口だなあと思っておりますが…。

主人公・丑松を演じた間宮祥太朗は、そのクラシカルなイケメン顔が似合っておりました。石井杏奈の志保は、なんかちょっと違うんじゃないかなあ。もっとはかなげな感じが欲しい気がします。そして、矢本悠馬は矢本悠馬史上最も「いい役」(男気を感じさせて、終盤にカッコイイ見せ場のある役)だったのではないでしょうかね?

子供たちの顔が汗や泥で汚れているのが、実にリアルで結構でした。

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2022年7月 1日 (金)

Number増刊「イビチャ・オシム 日本サッカーへの遺言。」    #オシム #イビチャオシム #ナンバー増刊オシム特集

Dsc_0800_copy_768x941 「スポーツグラフィック Number」の増刊号『永久保存版 イビチャ・オシム 日本サッカーへの遺言。』(文藝春秋)。この5月1日に逝去したオシムさんのサッカー人生とサッカー哲学を、過去の「Number」掲載記事と新たな記事でまとめ上げた一冊です。

(大江戸のオシム逝去時の記事はこちら ↓ )

オシムさんの死を惜しむ #オシム #イビチャオシム #オシムジャパン: 大江戸時夫の東京温度 (cocolog-nifty.com)

大江戸は本当にオシムさんを敬愛していたので、その死には自分の父親が死んだときよりも落胆しました。まあ一方では、「人は誰も皆死ぬのだから、惜しまれながら良い死に方だったじゃないか」と思う心もあります。

中村憲剛、鈴木啓太、中村俊輔、遠藤保仁、阿部勇樹、巻誠一郎、ドラガン・ストイコビッチ、佐藤勇人、羽生直剛…といったオシムの教え子たちが語っています。それ以上に、示唆に富んだ自分の言葉でオシムがインタビューに応えています。その言葉はまさに「日本サッカーへの遺言」でした。

オシム・ジャパン全20試合の記録も、JEFユナイテッド千葉時代の話も、ユーゴ時代のあれこれもあります。そして極めつけは、選手時代の若きオシムの写真! 思えば、1964年東京オリンピックで日本の地に降り立ったオシムがその後この国の代表監督になった奇跡は、私たち日本人にとってまさに僥倖でした。「日本サッカーの日本化」を、これからも日本サッカー関係者と我々ファンは、忘れずに追究していかねばならないと思います。 改めてご冥福をお祈りいたします。

 

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2022年6月 1日 (水)

「マイ・ニューヨーク・ダイアリー」:主人公が甘ちゃん    #マイニューヨークダイアリー #マーガレットクアリー #シガニーウィーバー #サリンジャー

1_20220601230201映画『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』は、実話に基づく作品というか、ジョアンナ・ラコフの回想録『サリンジャーと過ごした日々』の映画化。本も映画も原題は“My Salinger Year”です。サリンジャー・マニアの大江戸としては当然読んでおりました。

出版業界版『プラダを着た悪魔』と言われてますが、まあそうですよね。アン・ハサウェイとメリル・ストリープが、マーガレット・クアリー(アンディー・マクダウェルの娘なんですってね。確かに似てます。)とシガニー・ウィーバーに置き替わったわけですね。でも、そうなるとあの二人ほどのインパクトはないし、二番煎じになった分不利ですよねえ。大江戸の評価としても、あの作品を超えていないことは明白です。

でもそれなりに健闘はしています。原作を上手に映画化したなあとも思います。でもこの主人公、最後まで結構ダメじゃん。どう成長したのかもはっきりしないし。そもそもあの状況になって、かなり長いことサリンジャー作品を読んでないってのが信じられません。仕事に誠実じゃないってことですよね(まあ、原作がそうだからしょうがないんですが)。甘ちゃんです。まるで『ちむどんどん』の主人公です。

シガニー・ウィーバーの方は、さすがの貫禄。素晴らしい芝居を見せております。でも、メリルが見事にやっちゃってますからねえ。そこの比較になると、辛いところです。

大江戸的には、職場の壁に飾ってあるサリンジャーの肖像写真や顔を隠して登場するジェリー(サリンジャー)の姿よりも、職場の棚にLittle Brown社版のサリンジャー作品がずらりと並んでる風景にぐっと来ましたね。

 

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2022年2月 3日 (木)

「キネマ旬報」2021ベストテンの発表    #キネマ旬報 #キネ旬ベストテン #2021年キネマ旬報ベストテン

Dsc_0074_copy_600x838 昨年同様のスタイルで、『キネマ旬報』の2021年ベストテンが発表されました。同様のスタイルとは、日本映画/外国映画両部門ともベストテンの第1位作品と個人各賞を発表し、2位以下がどういうことになったかは、直後に発売される最新号を買って確認してくださいよ、というもの。今年で言うと、2月2日の夜7時からYouTubeで発表式典のライブ配信があり(大江戸は、後から飛ばし見で見ました)、翌々日の4日にベストテン号発売。ただ、大江戸は定期購読者なので今日3日に届いたんです。昨年は「発売日まではSNS等に書いちゃダメ」って紙がはいっていたので控えましたが、今年は入ってないので、この記事もすぐにアップしちゃいます。

邦画も洋画も1位作品の圧勝でした。『ドライブ・マイ・カー』と『ノマドランド』。特に洋画は対抗馬がなかったんだと思います。だって2位がワイズマンの『ボストン市庁舎』ですからね(大江戸も3位に入れた作品とは言え)。ワイズマンとしても過去最高位。 でも、邦画も洋画も入るべき作品が入った印象。近年の中では「えー?!」とか「そりゃないでしょ」といった感想の無い順当な年だったと思います。強いて言えば、邦画で9位の『いとみち』が落ちて、11位の『BLUE ブルー』が繰り上がってくれると良かったなあとか、洋画10位の『少年の君』は、両部門のテンの中で唯一観逃していた作品だなあとかです。 それにしても、1位『ドライブ・マイ・カー』、3位『偶然と想像』(および監督賞、脚本賞)の濱口竜介さんは凄いですね。 ちなみに大江戸の洋画第1位『ラーヤと龍の王国』は、誰一人として(1点たりとて)投票しておりませんでした。…わかっとらんねえ。

(大江戸の2011年邦画/洋画トップテンはこちら ↓ )

2021邦画トップテン    #2021年日本映画ベストテン #2021年邦画ベストテン #シンエヴァンゲリオン #偶然と想像 #庵野秀明 #濱口竜介: 大江戸時夫の東京温度 (cocolog-nifty.com)

2021洋画トップテン    #2021年外国映画ベストテン #2021年洋画ベストテン #ラーヤと龍の王国 #春江水暖: 大江戸時夫の東京温度 (cocolog-nifty.com)

そして読者選出ベストテンも、まあ順当な印象。こちらも『ドライブ・マイ・カー』と『ノマドランド』の圧勝でした。1年前の邦画部門のような変事(三浦春馬ファンの組織票と思われる『天外者 てんがらもん』の第1位)は起きずに、ほっとしました。

個人賞もみんな妥当なところ。でも今年は男女とも「新人賞」が不作気味でしたね。

さて、これを読んで気になった人は、4日発売の『キネマ旬報』ベストテン特別号を買ってください。経営的にずっと苦しい会社ですから。「キネ旬ベストテン」を未来につなぐためにも、よろしくお願いします(小生はまったくの部外者ですが、ずっと応援してますので)。

 

 

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2021年10月30日 (土)

「そして、バトンは渡された」:もっとドライに!    #そしてバトンは渡された #映画と原作

1_20211030205201 映画化された『そして、バトンは渡された』ですが、小生は珍しく原作小説を読んでいて、その感想と夢想キャスティングを記しました(キャスティングでは、岡田健史だけが今回の映画と一致していたんですよね)。↓

http://oedo-tokio.cocolog-nifty.com/blog/2020/11/post-decb6a.html

うーん、永野芽郁、田中圭というキャスティングで監督が普通の娯楽職人=前田哲だと聞いた時点で、あまり期待するのはやめてしまいましたが、まあ、それで良かったって感じの出来でした。いや、別に悪くはないんです。でも期待を上回ることはなかったというか、「やっぱり原作の方が上」を覆せなかったというか…(原作と映画とは別物だということは、理解しておりますが)。この原作なら、もっと名作にできたのかも知れないのになあと思ってしまいました。

脚本が(腕を見せようと張り切ったのか?)ずいぶん大胆に時制を原作から改変したり、妙にトリッキーな構成にしたり、あれやこれやをいじってます。全体的に原作のカラッとしたドライな味が、かなりウェットなものになってしまいました。あのあっけらかんとしたドライさが原作の良さだったし、新しさだった思うのですが、映画でもTVでも昔からメインストリームであり続けている「感動の物語」になっております。まあ、確かにけっこう泣かされはしましたが(涙腺弱いもんで)、それって「感動ポルノ」とまでは言わないけど、昔ながらの「お涙頂戴」劇ですよねえ。そこがちょっと…。 それはそうと大江戸は、はじめに『そして、バトンは渡された』というタイトルが画面に出ただけで、その言葉に感動して泣きそうになってしまいましたもん(笑)。

でも映画を最後まで観ても、「やっぱり森七菜のが良かったんじゃね?」「やっぱり田中圭じゃなかったんじゃね?」という思いは、変わりませんでした。あ、それと子役の稲垣来泉(くるみ)ちゃんが、かわいいしウマイったらありませんでしたよ。

 

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2021年10月 6日 (水)

「謎ときサリンジャー 「自殺」したのは誰なのか」:驚愕の名探偵的文学評論   #謎ときサリンジャー #竹内康浩 #サリンジャー

Center_0001_burst20211006222502962_cover 新潮選書の『謎ときサリンジャー 「自殺」したのは誰なのか』(竹内康浩 朴舜起)は、なかなか刺激的な文学評論でした。帯に書かれた文章を見ても、興奮すべき一冊だということがわかりますよね。

著者二人はアメリカ文学者にして北海道大学大学院助教授の竹内氏と、北海道大学大学院生である朴氏。そして果敢にチャレンジしたのは、J.D.サリンジャーの短編集『ナイン・ストーリーズ』冒頭の『バナナフィッシュにうってつけの日』のラストで拳銃自殺したと思われていたシーモアの死への疑問提起。果たしてそれは自殺だったのか? そもそも死んだのはシーモアだったのか? そして、その現場にはもう一人の男がいたはずだと言うのです。

ほとんど「たわごと」です。でも、読者はすぐにそれがたわごとではないことに気づかされます。そして、そこからは多くの「証拠」と大胆な推論に驚きあきれながら、ページを繰っていくことになるのです。作品も『ナイン・ストーリーズ』の最後の作品『テディー』をはじめ、サリンジャー最後の発表作『ハプワース16,1924年』などにも飛び、最後には『キャッチャー・イン・ザ・ライ』につながっていきます。その魔術的展開は、スリリングそのものです。評論ってもんは、実の作者ですら気づいてないことに気づいたり、作者が意識していなかったことをきちんと形にしてあげる作業なんですねえ。

その中で重要な位置を占めるのは「禅」の要素。英文学科出身で、卒論が『J.D.サリンジャーの作品におけるイノセンス』だった大江戸としても、これには唸りました。目からウロコでした。竹内氏のあとがきにある「やはりサリンジャーは禅なのだ」と言う言葉に、大いに納得しました。 一方ではこれだけ死を扱いながら、サリンジャーの戦争体験の方には目もくれてないあたりにも驚きました。うーん、やはり小生なんぞとはレベルが違います。おそれいりました。

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2021年8月29日 (日)

「ドライブ・マイ・カー」:良作以上傑作未満   #ドライブマイカー #濱口竜介 #村上春樹 #西島秀俊 #ワーニャ伯父さん

1_20210829223801 映画『ドライブ・マイ・カー』は、前作『寝ても覚めても』が大江戸のその年のベストワンだった濱口竜介監督の新作だし、カンヌ映画祭をはじめ評判は高いし、大江戸は村上春樹のファンでもあるし、ってことで期待ヒートアップ気味で観ました。何しろチェーホフの『ワーニャ伯父さん』を、予習として読んでしまったぐらいです。

確かに素晴らしい作品でしたし、あの短編がこういう風に濱口映画になるんだなあって感じに翻案されておりました。でも、『寝ても覚めても』や『ハッピーアワー』に較べると、理詰めに計算された感じが強過ぎて、アラはないんだけど衝撃や深い感動は少なかったんです。あくまでも小生の中で、ってことですけど。

ワンカットごとの完成度は非常に高いと感じました。撮影監督の四宮秀俊の見事に映画的な絵が、作品のクォリティや緊密さを支えてくれています。もちろん役者たちの演技も素晴らしいです。西島秀俊、三浦透子、岡田将生は誰もが称賛しておりますが、大江戸的には、『ワーニャ伯父さん』でソーニャを演じたパク・ユリムに感銘を受けました。清楚で感じが良くて、一所懸命に生きている人の美しさがにじみ出ておりました。彼女が(手話で)西島と演じた『ワーニャ伯父さん』のラストは圧巻でした。感動しました。

あと、西島をはじめキャストたちの「喪失感を抱えた」感じと、下世話な生活感がない感じが、いかにも村上春樹作品の登場人物でした。中でも西島の妻を演じた霧島れいかは、いかにも村上作品に出て来る女性の顔です。小説だけど、絶対にそういう顔なんです。と思ったら、彼女はトラン・アン・ユン監督の『ノルウェイの森』にも出てたんですって!(全然覚えておりませんでした。)ほら、やっぱり村上作品的な顔なんですよ。

広島のゴミ焼却所の映像は、なんか良かったなあ。なぜなんだろう? それが映画ってもんかな。 一方で、ラストの韓国シークェンスの意味はよくわかりませんでした。ああとかこうとか想像はできるんだけど、あまりにも観客の想像力に委ね過ぎでは? もう少し観客を導くためのヒントが欲しかったですね。

本作のオープニングタイトルは、物語が進行して45分ほどたったところで出て来ました(もうオープニングじゃないけど)。2時間59分の作品とはいえ、大胆にやってくれましたよね。車の走る映像にかぶせて「西島秀俊」と出て来た時には、何が起きたのかと一瞬驚いてしまいました。

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2021年8月 4日 (水)

「イラストレーター 安西水丸展」@世田谷文学館   #安西水丸展 #イラストレーター安西水丸展 #世田谷文学館 #村上春樹

Dsc_03503_copy_675x576 芦花公園にある世田谷文学館で開催中の『イラストレーター 安西水丸展』(~8/31)を鑑賞。2014年に急逝された安西水丸さん(享年71)の回顧展です。

Horizon_0001_burst20210803152901239_cove 文学館の入口がいつになくゆるくてポップな水丸調になっておりました。

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水丸さんって、小生なんぞには村上春樹作品の挿絵や表紙絵をはじめとする仕事が一番なじみ深いのですが、小説、エッセイ、絵本、マンガなど幅広くやっておられたんですねえ。

Dsc_0344_copy_1024x576 村上春樹本に関しては、「おお、みんな持ってるぜ」って感じでしたが、懐かしいですね。

Horizon_0001_burst20210803161331743_cove 会場の壁面が多くの部分で、ベニヤ板むき出し(無塗装)なんですが、そういう感覚がいかにも水丸さんです。壁の上に春樹さんの頭が出ているのなんかもあったりして…。

 

 

Dsc_03452_copy_951x576 全体的に遊び心に溢れた展示となっています。順路もどう見たらいいんだかわからない! まあ、ぐるぐるとご自由にどうぞって感じなんでしょうね。

 

Dsc_03462_copy_1024x513 今まで気づかなかったけど、切り絵の作品なんかもあったんですよね。マティスの影響ですね。だから、彼の色彩って、キレイなんですね。

Horizon_0001_burst20210803155928221_cove 水丸さんにとって重要な三人がフィーチャーされていて、それは春樹さんと嵐山光三郎さんと和田誠さん。和田さんとの合作シリーズなんて、楽しいですよー。

 

Horizon_0001_burst20210803160434853_cove 広告とかデザイン関係のお仕事が多かった水丸さん。デザイン関係のパーティーなどで、お姿をみかけたことが何度かありました。

Horizon_0001_burst20210803155806601_cove でも、旅好きで、酒好きで、お土産物やおもちゃが好きで、スノードームも大好きで、スタイリッシュにおしゃれ。ステキな大人でしたよね。

出口付近に展示してあった彼の愛用バッグが、カッコ良かったなあ。

 

 

Dsc_03472_copy_576x946 意外なほど見どころが多くて、楽しい展覧会でした。ショップで売ってた水丸グッズも、なかなかカワイイものが多かったですよ。

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