2018年9月16日 (日)

「この世界の片隅に」最終回&松本穂香「negative pop」

TBS日曜劇場『この世界の片隅に』が最終回を迎えました。始まる前から「なかなか映画(アニメ)版には勝てないよねえ」と思っていたのですが、まあそれはそうとして健闘したのではないでしょうか。これまた始まる前から、(アニメ版ですず役の)のんさんを主役に推す声が多く、小生も当然推していたのですが、松本穂香に決まったというニュースを読んで、「ああ、それも悪くないなあ」と思った次第。松本さんものんさんばりにぽかんとした人なので、すずさんには合っていました。そして、彼女なりのすずさん像を作り出しておりました。原作マンガの雰囲気に較べると、ちょっと美少女過ぎるきらいはありましたが、それでも「しみじみニヤニヤしとるんです」とか、終戦の後に大泣きするところとか、良かったですねえ。

岡田惠和の脚本でしたが、現代の人物からの視点を入れたあたりが賛否両論あると思います。でもそれ以外は、原作(というかアニメ版)に忠実に9話分を組み立てました。そして実写でこの時代の再現という高いハードルに挑んだスタッフですが、これまたかなりいい線で健闘したと思います。 岡田さんが『ひよっこ』の脚本家でもあったご縁なのか、松本穂香をはじめ伊藤沙莉、古館佑太郎と『ひよっこ』キャストが出演。プラス、なぜか『あまちゃん』キャストの宮本信子、塩見三省、木野花も出ておりましたね。

全体的にじんわりと良くって、戦争って辛い物なんだ、多くの悲劇を生むものなんだということと、平凡な生活のかけがえのなさを、庶民レベルの暮らしの中で描くという、原作の精神をしっかり受け継いで表現したドラマとなっておりました。それが辛い苦しい一辺倒ではなく、ユーモアたっぷりに、重くなりそうな場面も軽く描くところがこの作品の素晴らしさですよね。視聴率は振るわなかったかもしれないけど、作ることに意味があるドラマだったと思います。

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ところで今日は渋谷のTSUTAYAで、松本穂香1stフォトブック『negative pop』の「お渡し会」イベントがあり、行ってまいりました。数日前に整理券を受け取っていた大江戸ですが、200番台でしたので、開始後30分ぐらいたって、順番が来ました。

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ちゃんとサイン入りで(事前には「ランダムでサイン入り」となっていたのですが、彼女のインスタを見ると、頑張ってみんなサインしてくれたみたいでした)、それを手渡ししてくれます。「サイン入りがもらえて感激です」と伝えたら、「ピンクがお似合いですね」と言ってくれました(小生はピンクの麻シャツを着ていたのです)。わーい。

ほんの10秒足らずのことでしたが、とにかく、すっごくかわいくてキレイでしたよ! ナイス、松本さん!

あ、フォトブックの写真(撮影:丸谷嘉長)もバリエーションに富んで、とても魅力的でありました。

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2018年9月10日 (月)

「このサンドイッチ、マヨネーズ忘れてる  ハプワース16、1924年」

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J.D.サリンジャーの『このサンドイッチ、マヨネーズ忘れてる  ハプワース16、1924年』(金原瑞人訳/新潮社)がこの6月ごろに刊行されました。8つの短篇と1つの中篇を合わせた9篇入りの作品集。9つの・・・というと、当然『ナイン・ストーリーズ』が想起されますが、あの短編集の作品とはかぶっておりません。まあ、なかなか入手困難な作品を集めたってやつなんですけど、実のところ日本では作品集的な形でそういう短篇を集めたアンソロジーが、昔から発行されております。かく言う大江戸も、卒論がサリンジャーだったもんですから、もちろん読んでおります。

てなわけですが、こうして新訳で読んでみると、やっぱり面白いですね。現代の言葉になっているので、刊行当時の「気分」が甦っている感じがいたします(たぶん)。そして、前半はホールデン・コールフィールドものが続きます。ホールデンってこんなにあれやこれやに登場してたっけ?と、ちょっと新鮮な驚き。そして、それらに、いやそれ以外の短編にもみんな戦争(第二次大戦)の影がしっかり落ちています。それは近年の大著『サリンジャー』(角川書店)や『サリンジャー 生涯91年の真実』(晶文社)を読むと、なるほどと納得できる話なんです。

短篇はみな洗練されていて、いわゆる『ニューヨーカー』スタイルです。そして、中篇『ハプワース16、1924年』は、サリンジャーが発表した最後の小説。7歳の天才児が両親にしたためた手紙という驚くべき着想の作品であり、「グラース家サーガ」の重要な1篇です。

うーん、こうして読むと改めてサリンジャーの未発表作品の発表を心待ちにしたくなりますね。でも、2年以上前にこんな記事が出てからも、音沙汰ないですからねえ↓

https://matome.naver.jp/odai/2145837326327011501

いったいいつになるのでありましょうか。

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2018年7月23日 (月)

「羽海野チカの世界展」&「林明子原画展」でほっこり

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松屋銀座で開催中の『羽海野チカの世界展 ~ハチミツとライオンと~』(~7/29)を観ました。小生は『ハチミツとクローバー』は実写版映画化作品を観ただけ、『3月のライオン』はNHKのアニメと実写版映画化作品を観ただけで、本筋大元のマンガを読んでいないんですが、それでもやっぱり楽しめました。

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展覧会全体に、「アットホームな手作り感」があるんですね。羽海野さんの手書きによるメッセージやコメントが随所に散りばめられていて、彼女の私物も多数展示されていて、絵のやさしさ、温かみと相まって、非常にほっこりした気分になってしまうんです。

映画やアニメ版の『3月のライオン』コーナーだとか、コラボレーション・コーナーだとかもあって、盛りだくさんの内容でした。

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会場出口にあった版画販売のコーナーでは、手ごろな価格で今観て来た絵を版画にしたものが販売されており、かなりの数の売約マークがついておりました。だって、大江戸だって勢いでちょっと欲しくなっちゃったぐらいのものですから。ファンなら絶対(何枚も)欲しくなりますよねえ。買えない人のためには、ポストカードが用意されておりましたよ。

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そして最後の壁面には、羽海野チカさんから直接来場者へのメッセージが黒マジック(?)で描かれていました。こんな感じです。 実は会場の最期のコーナーには羽海野さんへのメッセージを書き込むノートが何冊も用意されていて、ファンがじっくりと言葉を綴っていました。この展覧会を媒体として、作家とファンの理想的な関係が築かれているようで、素敵だと感じました。

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で、隣接会場で同時開催の『絵本のひきだし 林明子原画展』も観ました。この人はそんなに知らないのですが、おぼろげに知っている『はじめてのおつかい』や『こんとあき』よりも、なぜか『おふろだいすき』の絵を覚えておりました。

絵本を見開きにした横長原画の展示が多数ありましたが、その構図はまさに天才的でした。尖った個性のない、普通の絵なのですが、そこが優しい持ち味となっておりました。こちらもほっこりといたしました。

p.s. あ、そうそう。『羽海野チカの世界展』入口で、入場者に小冊子のプレゼントがありました! その名も『3月のライオン 13.1 あかりの銀座物語』という書き下ろしで、いやー面白い! ポテトサラダ喰いたい! そんなステキな(あかりさん大活躍の)1冊でした。

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2018年7月11日 (水)

「BELLMARE 50th MEMORIAL BOOK 1968-2018」:堂々の五十年史

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何か月も前に買った本ではありますが、『BELLMARE 50th MEMORIAL BOOK 1968-2018』、その名の通り湘南ベルマーレの創設50周年を記念した180ページ・オールカラーの豪華本です。これで2,000円とは、安過ぎます!

前進である藤和不動産サッカー部以来フジタ~ベルマーレ平塚~湘南ベルマーレという半世紀の歩みを、写真と文章で綴った五十年史。選手や元選手、そしてチーム関係者へのインタビューが充実しています(高田保則の顔なんか久しぶりに見たな)。もちろん中田英寿のインタビューもありますよ。セルジオ越後さんも、藤和時代に在籍していたんですよねえ。

巻末の記録集(チーム記録、個人記録、選手一覧、背番号の変遷)も、じっくり見てしまう面白さと懐かしさです。

歴史を通して、このクラブは「自由」だったし、攻撃好きの「暴れん坊」だったんだなあと再確認もできました。愛すべきクラブです。

今年はライザップとの提携で大きなターニングポイントを迎えたベルマーレ。新たなスタジアム構想も含めて、これからがますます楽しみです。

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2018年4月30日 (月)

「“のん”ひとり展 女の子は牙をむく」

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渋谷スペイン坂のGALLERY X BY PARCOで開催中の『“のん”ひとり展 女の子は牙をむく』(~5/8)を観てきました。

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昨年来「創作あーちすと」という肩書をつけて、数々のクリエイションを発表しているのん。今回はいちおうその集大成的な作品展です。

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会場内には、タブローをはじめ、壁画あり、衣服の作品あり、巨大ハムスター(?)あり・・・と、にぎやか。

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300円のガチャガチャで売ってる「牙ッヂ」なる缶バッヂもありました。販売グッズとしては、他にもトートバッグやらマグカップやら絵はがきやらTシャツやらキーホルダーやらクリアファイルやらがありましたよん。

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のん画伯の絵は、具象、抽象、マンガ風など取り交ぜていろいろ。きれいな色で描かれた抽象作品なんかは、結構好きでした。色彩に才能が感じられなくもないのです。

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入口そばでいきなり目立っていた赤い恐竜が牙をむいているような作品などは、かなり力のある秀作でした。

そうそう、この展覧会は入場料500円(おみくじ付)ってことなんですが、入口でもらった栞(しおり)みたいなおみくじには「大牙凶」とありました。ひえ~。

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PARCO出版による展覧会図録(税込2,700円)を買いましたが、この表紙が牙の生えた口の形に切り抜いてあって、そこからのんの顔がのぞいているというもの。作品と共に、のんの写真も数多く登場し、インタビューもありました。なかなか結構なご本です(帯に「自信作!」と書いてありました(笑))。

展覧会最終日の5月8日には、渋谷クアトロで「のんシガレッツ」のワンマンライブです(行きます)。そして翌9日にはファーストアルバム『スーパーヒーローズ』の発売です(CD+DVD予約しました)。 のってます、のん!

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2018年4月12日 (木)

曺貴裁監督の新刊×2

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最近出た2種類の曺貴裁(チョウ キジェ)本を読みました。あ、曺さんはJ1湘南ベルマーレの監督です。J1で現在最長の7年目という長期政権を継続中です。

まずは(株)カンゼンの『育成主義』。サブタイトルに「選手を育てて結果を出すプロサッカー監督の行動哲学」とありまして、中身も「組織論」「育成論」「蹴球論」の3章から成り立っているという、かなりビジネス本的な色合いがあります。熱い言葉で語る人ですし、ぶれない姿勢で「人を育てる」ことに情熱を傾けているので、ビジネス本としてまとめやすいのでありましょう。

まあ小生のように、必ず試合後の監督インタビューをネットで読んだりしているベルマーレ・ファンには、特に目新しい内容はないのですが、それでもまとめて読むことによって曺監督の思想が明快になります。この人、本当にぶれないですね。 あと、選手の名を挙げて実例たっぷりに語られるあれこれは、ファンとしてはやはり興味深いものでした。

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そしてもう一冊は、産業能率大学出版部の『監督・曺貴裁の指導論』です。こちらのサブタイトルは、「選手を伸ばす30のエピソード」。やはり「育成」ってことですね。だから2冊とも、内容的にはほぼ一緒。監督在任期間6年間(昨シーズンまで)の、選手の指導法や成長を記してあります。こちらも多分にビジネス本的でありますが、曺さんっていう題材は、どうしてもそうなっちゃうんですよね。書いているのがベルマーレ番的なサッカー・ジャーナリストの隈本大吾さんなので、戦術や試合の話も書きますけど(まあそれは『育成主義』にも出て来るんですけど)、基本的にはチーム・マネージメントやリーダー論の方が中心になります。

もうこうなったら、曺さんにはファーガソン監督(マンチェスター・ユナイテッド)の27年間を目指していただきたいものだと思います。

ライザップの傘下にベルマーレが入ることになりましたが、金銭面で泣かされ続けたクラブなだけに、とてもありがたいことです。でも、これからも「お金じゃない」チームや選手を育て上げていってもらいたいものだと切に願います。

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2018年1月23日 (火)

「家康、江戸を建てる」:人が作った現代東京の礎

_20180120_231759先日『銀河鉄道の父』で直木賞を受賞した門井慶喜さんが2年ほど前に上梓した『家康、江戸を建てる』(祥伝社)を中古で買って読んだのですが、面白かったですよ。 出た頃に書評などで評判で、面白そうだなと思っていた作品です。

「流れを変える」「金貨を延べる」「飲み水を引く」「石垣を積む」「天守を起こす」の5話に分かれていて、これがまさに家康が江戸の地に移って来て成した大事業。 利根川の流れを変えて、質が良く信用できる貨幣を作り、上水道を整備し、江戸城の石垣と天守を建造したってことで、それらを入府から17年でやっちゃったんですから、スピード感がありますね。

それぞれのプロフェッショナル(治水工事のプロとか、貨幣鋳造のプロとか・・・)が、大事業を意気に感じて精魂を傾け、失敗を乗り越えて成功に至るというストーリーです。誰かが「江戸の『プロジェクトX』とか評してたのは、的を射た表現だと思います。裏返せば、どんな大事業もそれを成し遂げたのは一人一人の個人なのだということを雄弁に語っている物語なのです。

時代物のテイストや風格や考証はしっかり持ちながら、とても読みやすい文体なのもいいですね。面白さも相まって、すらすらと読めちゃいました。東京の今があるのも、これらのおかげなんですねえ。

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2018年1月20日 (土)

のん in 『SWITCH』

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本日発売の『SWITCH』2月号は「のん 7つの冒険」ってことで、表紙+合計60ページの大特集!

7人のフォトグラファーによる7つの切り口ののんさん、そしてロング・インタビュー。

メガネののんもいるし、男性もの着物ののんもいるし、テレキャスター弾いてるのんもいるし・・・いいですねえ。表紙ののんも、のんらしからぬのんで、でもカワユス。

『文藝春秋』1月号には、小松成美さんの、「女優・のん『あまちゃん』からの四年半」と題するレポートが掲載されたし、先日の『週刊朝日』の「2018年を彩る100人」のトップものんでしたし(もちろん『映画宝庫』もありましたね)。

レプロに圧力かけられてテレビ局が弱腰になっても、出版関係はのんさんの味方になってくれてますね。今年はテレビにもその力が及んでいってほしいと切に願います。もちろん映画界にも!

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2017年10月31日 (火)

「わたしを離さないで」 by カズオ・イシグロ

_20171029_170233ノーベル賞に敬意を表してって感じで、先日古本屋で買って、カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』(早川文庫/土屋政雄訳)を読みました。

これ、映画化されたもの(2011年公開)は観ていますが、今一つ印象が薄くてほとんど忘れちゃってました。 (その時の当ブログの記事はこちら↓)

http://oedo-tokio.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/post-f87f.html

名人芸というか何というか、見事な筆の運びです。ある「謎」を孕みながら進行する物語。少しずつ小出しに秘密を明かしながら、じれったいほど徐々に核心に迫って行く筆致で、小説の面白さを堪能させます。先が知りたくなって、ぐんぐん読み進むのです。

これ、何の予備知識もなく読んだなら、さぞや驚くことでしょうねえ。それぐらいオールド・イングランド調の設定とSF的な謎とがかけ離れていて、でもリアルなキャラクターや精緻な心理描写が、そのギャップを感じさせないのです。そこらが小説家の腕ってもんですね。さすがです。

終盤からラストに漂う無常観は、映画も小説も同様です。静かに胸を打つものがあります。そして読む者(観る者)は、人間というものについて、人の生について、深く哲学せざるを得なくなるのであります。

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2017年5月 8日 (月)

「みみずくは黄昏に飛びたつ」by川上&村上

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川上未映子が村上春樹にロング・ロング・インタビューを行った本『みみずくは黄昏に飛びたつ』(新潮社)を読みました。

4つの章に分けたインタビューで、少女時代からの村上作品の熱心な愛読者でもある川上さんがぐいぐいと村上さんに迫ります。時として「村上さんたじたじ」といった様子になるあたりが、結構スリリングです。

川上さんは縦横無尽に過去作品からの事例や引用を持ち出しますが、村上さんの方では大抵「そんな事書いたっけ?」って感じで、のれんに腕押し感たっぷりです。そんな所を含めて、とにかく面白いQ&Aの連続です。川上さん、鋭いです。ファンとしての視点、小説家としての視点、フェミニストとしての視点から、ズバズバと聞いたり、村上さんの答にのけぞったりしています。

中心となるのは『騎士団長殺し』なのですが、やはりこの作品の謎はきっちり解き明かされるわけもなく、謎のまま残ります。大江戸としてはこの作品、きっと1年後ぐらいに第3部が出るんだろうな(『ねじまき鳥クロニクル』や『1Q84』のように)と思っていたのですが、これを読むと「あ、あれで終わりなんだ。村上さん、基本的には続きをつくらないでいいと思ってるんだ」と感じずにはいられません。

まあ、それにしても村上春樹って、長編でも短編でもエッセイでも悩み相談でもインタビューでも、金太郎飴的にどこを切っても村上春樹だなあ。

帯に「ただのインタビューではあらない」と書いてあるあたりに、いい感じのセンスですね(『騎士団長殺し』を読んだ人には響くってことで)。

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