2025年6月11日 (水)

か「」く「」し「」ご「」と「 : みずみずしい「今」の感覚    #かくしごと #映画かくしごと #中川駿 #出口夏希 

Kakushigoto 映画『か「」く「」し「」ご「」と「』のタイトルが表記しにくいー。特に「」なり『』なりに入れて表現するのが、大変な難度です。何でこんな表記になっているんですか、原作の住野よるさん?

それはともかく、予想を大いに上回ってきました。広告ビジュアルからも予告編からも、普通よりちょっと上質な学園ものキラキラ映画に見えるのですが、まあそれは嘘ではないのですが、でもそれ以上のものがありました。超えてきました。まさに「今の映画」だという感覚がありました。監督・脚本は『少女は卒業しない』(2023年)の中川駿。

別に、登場人物の気持ちが「!」「?」「…」などの記号になって画面に登場するのが新しいわけではありませんよ。それよりも、高校生たちのダイアローグや、行動、ふるまいが今っぽいなあと感じさせるのです。さらりと泥臭くないところ、深入りせずに手を引くあたりも、今っぽいし、恋愛対象の性別とかも今っぽい。全体的に、ピュアでみずみずしい! メインの5人のキャラクターをけっこう丁寧に描いているのも、評価の高い所です。 でも奥平大兼が自己評価の低いかなりのヘタレで、終始ヤキモキ(むしろイライラ)しましたけどね。

そして出口夏希は、やっぱりノッてますねえ。今すでに23歳の彼女ですが、無理なく高校生に見えてますし、とにかくキラッキラしてます。いやー、まぶしいです。

こういう現代的で繊細な作品が松竹(TBSとの共同製作)から出て来たってのが、不思議なのでありました。

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2025年6月 5日 (木)

「昭和から騒ぎ」@世田谷パブリックシアター    #昭和から騒ぎ #三谷幸喜 #松本穂香 #大泉洋 #竜星涼    

Dsc_2842_copy_948x1206 三軒茶屋の世田谷パブリックシアターで、ウィリアム・シェークスピア原案、三谷幸喜翻案・演出の『昭和から騒ぎ』を鑑賞。1次、2次の抽選販売には外れたので、一般売り出し日にネットで何とか確保した席。でも、3階の最後列(といっても2列目ですが)。とは言えこの劇場は3階でも近くて、よく見えます。 あ、もちろん松本穂香目当てでございます。

1時間45分なので、休憩なしのコンパクトな芝居。ウェルメイドです。笑えます。場内もずっとお客さんが声を上げて笑いっぱなし。やっぱりコメディーは、こうじゃなければいけませんね。てなわけで、幸せな時間が送れます。大衆娯楽劇の鑑(かがみ)です。

Dsc_2843_copy_1219x937 松本穂香嬢は、可憐な若い女性役で、タイプ・キャスティングですし、他の役者さんに較べると見せ場が少ないのですが、今後のために良い経験にになったと思います。今度は三谷さんの映画で主役を演じてほしいなあ、そうすると、ふかっちゃん(深津絵里)の後を継ぐ大江戸好みの三谷ヒロインになるのですが…。

で、やっぱり大泉洋がうまいんですよ、喜劇役者として。彼のおかげで笑えた場面や台詞がどれだけあったことか。大江戸は正直言って、映画やテレビの大泉洋をあまり好いてはいないのですが、舞台の喜劇俳優としてはやはり出色でした。三谷さんが重用するわけですね。

それにしても、竜星涼がまたしてもバカでトラブルメーカーの困ったちゃん役。いやー、実にイラっときますねー。久々に『ちむどんどん』の「にーにー」を思い出して、合わせ技で腹が立ちましたよ。 最初と最後のナレーションが安住紳一郎アナだったことにも、びっくり&ニヤリとしました。

 

 

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2025年4月26日 (土)

「Page 30」と唐田えりか舞台挨拶    #Page30 #ドリカムシアター #堤幸彦 #唐田えりか #唐田えりか舞台挨拶

Page30 映画『Page 30』を、渋谷の「ドリカムシアター」で観ました。ドリカムシアターは4/11-6/1の期間限定で、渋谷警察署のそばにできた仮設テント小屋の劇場。その名の通り、DREAMS COME TRUEの中村正人さんが仕掛け人のようで、この映画のメイン館を担いながら、その他のイベントもやったりするようです。

Dsc_2655_copy_2000x1500 テント小屋の映画館ってことで、1980年代のシネマ・プラセットを思い出したりした大江戸は古い人間です。外は黒塗りで、見せ物小屋のような雰囲気を湛え、グッズショップやホットドッグ売店なども併設。

Dsc_26562_copy_2000x1500 中は天井が高く、人口芝が敷いてあり、数十人規模のキャパ。イスはキャンプチェアみたいなのや、ヨギボーの大型クッションみたいなのが、何種類もあり、自由席制で好きなのを選んで座ります。大江戸が入ったときにはもう残り少なかったので、最後列中央のヨギボーに座りましたが、ふんわり自分の形になってくれるものの、やはり長時間の映画鑑賞にはシネコンの椅子の方が適してますね。


で、映画は堤幸彦監督による、「演劇」や「ドキュメンタリー」の味も濃厚な実験的作品。キャストはほぼ4人だけ。場所と時間も限定的。かなりの閉塞感を感じるのですが、不安感を作中の俳優たちと共有するって感じです。 (以降少々ネタバレあり)  謎が多く、終始ミステリアスで、作中の俳優たちが追い詰められていくのと同期して、観ている我々も精神的にしんどくなっていきます。ただ、その修羅場の先にはなぜだか感動させる、不思議な結末が待っているのでした。堤さんは映画も舞台も演出する人なので、こういう世界もリアルに(ちょっと誇張しながらですが)描いていました。昔のようなおふざけは無しで(そこがちょっと寂しくもあるけれど、まあこういう作品ですからね)。

大江戸は当然唐田えりかさん目当てで観たのですが、彼女を含む4人それぞれが切磋琢磨して、見応えのある作品にしたという印象です。唐田さんは、けっこう性格の悪い役ですし、クライマックスでは老婆の役で老けメイクだったりするのですが、しっかり演じていたと思います。終盤のあの「叫び」の表情が素晴らしかったなあー。

 

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そして映画が終わると、突然サプライズのような舞台挨拶が始まりました! 唐田えりかさんと林田麻里さんの登壇。劇場のSNSなどでは告知されていたそうですが、大江戸は全く知らずに来たのに、たまたま巡り合ってしまいました! やっぱり持ってますねー。

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唐田さんは、作中のショートカットよりは髪も伸び、林田さんともども{PAGE 30」と大書された黒Tシャツ。唐田さんの顔が小さいのは知ってましたが、足も長いですねえ。お綺麗でした。おこういう意地悪な役はやったことがなかったので、楽しんで演じていたそうです。

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最後に観客も撮影していい時間があったので、ラッキー! 知ってれば、デジカメを持って来るとか、もっと前の席を取ったのに。でも、知らずにこのチャンスに来場できただけでも儲けものでしょう。

Dsc_26652_copy_1370x977 実はこの舞台挨拶にMAAKIII(マーキー)さんも来る予定だったのですが遅刻したそうで、舞台挨拶が終わって大江戸が出てきたらちょうど劇場に到着したところで、出て来た観客たちにしきりに謝っていらっしゃいましたー。

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2025年3月26日 (水)

「御上先生」「ホットスポット」「べらぼう」    #御上先生 #ホットスポット #べらぼう #詩森ろば #バカリズム #小芝風花

この1~3月クールの日曜夜のTVドラマについて。

 

先の日曜に最終回を迎えたTBS『御上先生』は、日曜劇場に新しい風を吹かせましたね。見事な学園…、いや教育ドラマでした。映画『新聞記者』の脚本家・詩森ろばによる革命的な脚本で、すっごくチャレンジングな企画だったと思います。何しろ文科省とかいろんなもんに喧嘩売ってますからね。しかもあの『金八先生』を生んだTBSで、『金八』の呪縛に喧嘩売ってるわけですから(何しろ確か第1話から、『金八』の生んだ熱血教師像がその後に与えた悪影響を看破していました)。その賭けに勝った。そういうドラマだったと思います。教科書検定とか、生理の貧困とか、永田町文学とか…、よくドラマにしましたねえ。

最初は吉岡里帆目当てで見始めたのですが、このドラマの吉岡はそんなに良くありませんでした。でも、クラスの面々を演じた若手俳優たちがことごとく素晴らしかった。『金八』同様、これから多くのスターを輩出していくことになるのでしょうね。とにかく、感動して涙する回が多かったと告白しておきましょう。

 

その前週に最終回を迎えた日テレの『ホットスポット』は、とにかくバカリズム・ワールドの面白さ。いや、小生は前作の(と言っていいの?)『ブラッシュアップライフ』を見ていなかったのですが、今回はそのオフビートな笑い、抜群のダイアローグを堪能させてもらいました。本当に女性の思考と言動をどうしてこんなにわかっちゃってて、このように表現できるのか不思議です。そもそも主演が市川実日子ってとこからして独特。それに、夏帆とか鈴木杏とか平岩紙とか木南晴夏とか、大江戸好みの女優が次々と出て来ましたもんね。もちろん宇宙人・高橋役の角田晃広も達者な芝居で見事でした。

 

大河なのでまだまだ続きますが、約1/4が終了したNHK『べらぼう』も結構好きです。まあ、昨年の『光る君へ』も面白かったし、毎年それぞれに楽しませてもらっているのですが、今回は江戸の町人世界ってのがユニークです。大江戸は武将ものよりもこっちの方が好み(まあ、武将ものもそれはそれで面白いのですが)。そもそも、吉原遊郭というセックスワーカーの世界を堂々舞台にして、初回から全裸を登場させたり(死体だけど)するあたり、NHKさん攻めてます。腹を据えてます。脚本家が女性(森下佳子)というのも、戦略的に正しいと思います。ジョン・グラムの音楽も『麒麟がくる』同様、勇壮でお見事。 そして主人公・蔦重を演じる横浜流星も演技巧者だけに、軽みを湛えた芝居で健闘しております。 あとは石坂浩二の「眉毛ジジイ」ぶりにびっくりしました。

で、花魁役(もう身請けされたけど)の小芝風花! これは当たり役です。小芝風花がこんなに素晴らしいアクトレスだったとは知りませんでした。だって、映画『レディ加賀』とか、ランチパックやモビットのCMを見てたら、ここまでできるとは思えませんもん。艶っぽさ、粋と意気、純情、哀感などを、こちらの心に波風立てるような表現で毎回演じてくれるのです。彼女と流星の二人芝居に、「ああ、ここまで成長したのか」と涙ぐんじゃった大江戸ですよ。いやー、一皮も二皮も剥けましたねえ。この役の今後にも要注目です。

 

今クールは、日曜夜にこの3作品を夜8時~、9時~、10時半~と続けてみなきゃならないので、大変でした。ようやく終わってホッとしたというのも、正直な所だったりするのです。

 

 

 

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2025年3月14日 (金)

今年も日本アカデミー賞    #日本アカデミー賞 #正体 #横浜流星 #吉岡里帆 #侍タイムスリッパ―

毎年文句を言いながら、なんだかんだ見てしまう日テレの『日本アカデミー賞授賞式』。でもまあここ数年はそんなにドイヒーな結果で腹立たしいってことはなくなりました。こっちが馴れきってしまったのか? それとも、いろいろ改善されてきたのか?

とはいえ、相変わらずショーとしては低レベル。むしろ「芸能番組」です。新人賞、助演賞(男女)、主演賞(男女)だけをたっぷり。あとは監督賞も作品賞もそこまではしっかりやらないし、技術賞や名誉賞は「ほんとにそれでいいの?」ってぐらいに上っ面を撫でるだけの短い扱い。映画を観てない人をターゲットにしているんだろうなあ…と思うと実に情けない気分になります。でもそれが現実なんだろうなあ。

昨年の岸井ゆきのの超ヘタな司会ぶりに較べると、今年は安藤サクラなので、危なげなくこなしていました。でも主演女優賞を獲った人が翌年の司会者っていう謎の風習、そろそろやめた方がいいんじゃないでしょうか?

『キングダム 大将軍の帰還』が技術賞を多く獲り、河合優実(『あんのこと』 ※『ナミビアの砂漠』は無視)の主演女優賞、八木亜希子(『ラストマイル』)の脚本賞、『ルックバック』のアニメ―ション賞はやはりテッパン。そして、『正体』が助演女優賞(吉岡里帆)、主演男優賞(横浜流星)、監督賞(藤井道人)を獲り、「この流れだと、最優秀作品賞も『正体』だな」と思ったら、なんと『侍タイムスリッパ―』だったという結末。うーん、良い作品だけど、そこまでのものかなあ? いやー、でもある意味うまく分散しましたね。『夜明けのすべて』チームだけが、苦杯をなめたって感じでした。

スピーチは新人賞の若手の方々をはじめとして、皆さんかなり良かったですよ、今年は。横浜さんも吉岡さんも心に残る感動的なスピーチでした。ただ、吉岡さんは(前撮りのVも流れましたが)能登で公演している芝居の扮装(なんか鶴女房みたいな雰囲気のやつ)だったので、それでスピーチするとなんかギャグにしか見えませんでしたー(笑)

 

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2024年12月22日 (日)

「推しの子 The Final Act」:荒唐無稽を超えるパワー    #推しの子 #映画推しの子 #齋藤飛鳥 #櫻井海音 #齋藤飛鳥

Oshinoko 映画『推しの子 The Final Act』は、ほとんど期待していなくて、あのちゃんを見ようかぐらいにハードル下げておいたら、意外と面白かったのです。原作マンガ、アニメ、アマプラの実写ドラマのどれも見ていませんでしたが、特に困りはしませんでした(まあ、見ていたらもっと楽しめたのかも知れませんが)。

齋藤飛鳥を使って、リアルなアイドルグループの歌唱シーンを入れ込むことによって、この世界がしっかりと構築できています。アイドルの世界にしても、映画製作の過程にしても、けっこう「それらしく」撮れていて、それによってもともとの荒唐無稽さをねじ伏せています。良く出来た実写化です。映画版しか知らないのですが、単体としてまずまず良く出来ています。

とはいえ、荒唐無稽には違いありませんし、アラを探せばいくらでもあります。でも虚構のパワーで突き進んで行くので、まあいいかと感じてしまいます。一番弱いのは、二宮和也の部分。あのキャラはさすがに無理あるなー。

櫻井海音がなかなか雰囲気のあるイケメン君で、何者?と思ったら、ミスチル桜井さんのご子息なんですってね! 知らなかったので、驚きました。来年の大ブレイク必至と見ました。

一方でルビー役の藤なぎさって、苗字が同じだから齋藤飛鳥の妹??と思ったのですが、こちらは違いましたー。よく見れば、「サイ」の字も違いましたー。

(追記) 妊娠3-4か月であんなにまあるいおなかってのはないだろー。 あと、冒頭に東映マークが出たのにもびっくりしましたー(東映っぽいイメージがぜんぜん無かったので)。 

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2024年12月12日 (木)

「私にふさわしいホテル」:山の上ホテルが美しい    #私にふさわしいホテル #山の上ホテル #のん #堤幸彦 #滝藤賢一 

Non_hotel 映画『私にふさわしいホテル』(12/27公開)を試写会で観ました。試写会なんてすっごく久しぶり。コロナ前にさかのぼりますもん。今日はホールではなく、新宿ピカデリーが会場。残念ながら舞台挨拶はナシです。

堤幸彦×のんということで期待しておりましたが、これは堤さんじゃなくてあくまでも「のん」の映画ですね。今回、堤さんの個性は抑制されており、職人的に撮っていました。一方ののんは、かなりのはっちゃけぶりで、この「性格の悪い主人公」を嬉々として演じておりました。

でも序盤は、あまりのおふざけトーンと寒いギャグに「これからどーなっちゃうんだ?」と思いましたが、だんだんこの世界に脳が慣れていき、映画も軌道に乗り、十分楽しませてもらいました。笑えました。

有名な小説家役の滝藤賢一さんがいいんですよ。芸達者だし、しかもカッコいい。彼とのんのバトルが実に面白くて、そここそがこの作品の勝因です。一方ののんの芝居は、ちょっとバランスを崩してるところもありましたが、こういうドイヒーな人をチャーミングに演じ切れるのは、やっぱり彼女ならではでしょう。 橋本愛とのんの共演シーンがあるっていうのも嬉しいじゃありませんか! 『あまちゃん』ファンとしては感無量です。 髙石あかりも出ていて、朝ドラヒロイン伝承の儀でもありますし。

冒頭とエンドクレジットに、山の上ホテルの美しい館内の映像が流れます。アタマの数分なので、ポップコーンなんか買って遅れて来るヤツらは見られないのです。ザマーミロ!

それはそうと山の上ホテル、明治大学さんが買い取ってくれてホテルとしても復活できそうだというニュースが先月流れましたけど、ホント良かったです。

(休館中の山の上ホテルを今夏見に行った時のレポートはこちら ↓ )

休館半年後の山の上ホテル    #山の上ホテル #ヴォーリズ #アールデコ建築 : 大江戸時夫の東京温度

 

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2024年8月13日 (火)

久方ぶりの末廣亭    #末廣亭 #新宿末廣亭 #末広亭 #春風亭昇太 

Dsc_15672_copy_1024x774 新宿の末廣亭で12時から4時15分の昼の部を見ました。コロナ以降一度も行ってなかったなあ、と調べてみたら2019年以来5年ぶりだったのです。たっぷりの落語の合間に、漫談、コント、紙切り、浪曲なども楽しませていただきました。

今日は2階席まで大入り。大江戸は開演を1-2分過ぎて入場して、1階サイドの桟敷席(畳敷き)でした。しかしながら、実は今右膝裏の腱を痛めているので、そしてもともとあぐらは苦手なので、体育座りを基本としながらずーっと長時間、体勢を変えながら苦闘しておりました。ずっと斜めの姿勢で高座の方を見ているので、しまいには首や肩も痛くなってくるし。もっと早く来て、椅子席を確保すべきでしたー。

Dsc_1565_copy_522x800 でも今日の出しものには面白いのものが多く、満員の観客からしばしば爆笑が起きていて、演者の皆さんもノッてました。

かなり久々に見たらかなりご年配になっていた(あたりまえ)、コント山口君と竹田君もかなり笑えましたし、春風亭一門の若手の方々も生きのいい芸でかなり笑わせてくれました。

「浅草国際通りの三平ストアーでチーズと豆腐が抗争を繰り広げる」というシュールな浪曲の玉川多福さんが、ユニークかつめっちゃ面白くて、目からウロコでした(こんな浪曲もあるんだー)。観客からの拍手も一番多かったかも。

まあ、中には昔のまま時代に取り残されちゃった年寄りの噺家がいて、あまりにセンスが古くて全然笑えなかったりもしましたが…。だって、サングラスかけて石原裕次郎の『錆びたナイフ』と『嵐を呼ぶ男』をそれぞれフルコーラス歌うんですよ。それだけで、何のオチもないという…(唖然)。その後の「裕次郎」という語を使ったダジャレオチにも唖然。お客さんの空気もかなりドン引きしてました。しかもこの人、声が小さすぎて、末廣亭の音響設備だとあんまり聞こえないのです。そろそろ隠居なさった方がよろしいんじゃないでしょうかねえ。

Dsc_1568_copy_1024x800 トリ(主任)は春風亭昇太師匠。30分の持ち時間の半分が枕だという…(笑)。でも、がっちり客席をつかんで、どっかんどっかん笑わせてくれました。この人も貫禄がついてきましたね。

只今、絶賛夏休み中お大江戸ですが、特に旅行とか行かないときには(今回がそう)、だいたい都内散策と映画鑑賞とJリーグ観戦と末廣亭ってのが定番です。今日は久々に大笑いできて、満足です。

5年前のレビューを探してみたら、なんと昇太師匠がトリだってのを含めて、同じような感想をもっていたことに我ながら驚きました。うーん、ぶれない大江戸です(進歩がないってわけではありませんからね)。

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2024年7月30日 (火)

「ふくすけ 2024 ―歌舞伎町黙示録ー」@Theater MILANO-Za    #ふくすけ #松尾スズキ #TheaterMILANO-Za #松本穂香

Dsc_1537_copy_768x977 Bunkamura Challenge「COCOON PRODUCTION 2024」の『ふくすけ 2024 ―歌舞伎町黙示録ー』(長っ!)を、東急歌舞伎町タワーに昨年オープンしたTheater MILANO-Zaで観ました。この劇場は初めて入りましたが、渋谷のBunkamuraにあったシアターコクーンと似た作りで、大きすぎず見やすいですね。

『ふくすけ』は松尾スズキが20代で書いた戯曲で、1991年の初演以来4度目(12年ぶり)の公演だそうです。小生はもちろん松本穂香目当てで観たわけですが、とにかくキャストが豪華。松本さんのほかに、阿部サダヲ、黒木華、岸井ゆきの、荒川良々、秋山奈津子、皆川猿時、伊勢志摩、内田慈、松尾スズキなどなどですもん。

大江戸は先攻チケットにハズレて、チケット発売日の争奪戦で何とかギリギリこの日の3階席最後列が手に入った次第。それでも見やすかったですよ。オペラグラスも生きました。

ほぼ定時開演で、第1幕1時間30分、休憩20分、第2幕1時間10分の計3時間と書いてあったけど、実際はカーテンコールまで入れるとこれプラス5分ってところでした。

Dsc_1536_copy_574x977 いやー、なかなかヘヴィーというか、松尾スズキらしい闇と毒のある作品でした。前半はともかく、後半の展開でなんか黒いモヤモヤを体内に孕んだまま帰路に着かされるという…。狂気がありますね。そこらが歌舞伎町のこの劇場に似合うと言えば似合うのですが…。でもこの劇場、なんか顔がないというか、エスカレーターで6階に上がるといきなりエントランスだし、広いロビーはないし(PARCO劇場にしても紀伊国屋ホールにしても、ビルの中の劇場はしょうがないのかもしれませんけど)、なんかつまんないなあ。

松本穂香さんは、曲者役者だらけの中で、ピュアに健闘していました。役柄のイノセンスと悲哀をきちんと演じていたと思います。これからも舞台で観てみたい人です。

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2024年5月18日 (土)

「ミッシング」:石原さとみの凄さに震えよ!    #ミッシング #吉田恵輔 #石原さとみ 

1_20240518225701 映画『ミッシング』、想像以上に傑作でした。やっぱり吉田恵輔監督は、現在日本の映画監督の中で5本の指に入る才人、むしろ異才の人です。脚本も吉田恵輔。現代日本の抱えるさまざまな社会問題や人間の在りようへの問題をぶっこんで、観る者に突きつけて来ます。そのえぐ味、容赦のない飲み下しにくさもまた、彼の持ち味です。

とにかく石原さとみが、震えるほどに凄すぎます! 想像のはるか上を翔んでいました。ほとんどすっぴんで、これまでのかわいさを取り払った彼女ですが、過去にそのようにしてイメージチェンジや脱皮を図った女優たちの比ではありません(シャーリーズ・セロンや長澤まさみよりもスゴイ)。息が止まるほどの演技を見せてくれる場面が何か所かあり、観ているこちらも動揺して、感動して、激しく揺すぶられました。あの警察署に駆けつけた場面の圧倒的な凄まじさは、必ずや映画史に残るものです。 もう本年度の主演女優賞は、彼女以外に考えられません。

もちろん、それを引き出した吉田恵輔の脚本と演出手腕も見事です。そして、共演した俳優陣もまた素晴らしいのです。青木崇高の抑えた芝居からにじみ出る深い愛。中村倫也の誠実そうな芝居が放つ、多くの観客にとっての当事者感覚(観客に一番近いのは、たぶん複雑な心情を抱えたこの人)。そして森優作の個性を生かした曲者芝居。

(以降少々ネタバレあり) 『空白』同様、微かな希望の光が感じられるラスト(今回は本当に光が輝いていますが)。この空気、この塩梅もまた吉田恵輔らしさであり、映画だなあ、いいなあと感じさせるものでありました。

てなわけで、1,200円のパンフレットを買ってしまいましたが、これが表紙を含む100ページ(無線綴じ)の大充実パンフ。うち37ページは、シナリオ決定稿がまるまる載っています。これもまたある種の覚悟のようなものが伝わる、素晴らしい仕事だと思いました。

 

 

 

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