2025年10月27日 (月)

「Renarrate」by のん    #Renarrate #のん #ひぐちけい 

Rennarate 9月3日発売の「のん」のニューアルバム『Renarrate』を今ごろレビュー。予約して早々に入手していたのですが、聴き込んだりなんだりで遅くなってしまいました。

うーん、聴き込むほどに良さが増します。これ、けっこうな傑作じゃないでしょうか。やっぱり2017年のバンド・デビューから8年、アルバム1作ごとに成長していますよね。ガレージパンクみたいだった音が、その勢いや感情は失わずに上質なロックに成長しているのです。みんな同じように聴こえた曲調が、多くのバリエーションを獲得してきました。美しいメロディーラインもあります。幅も深みも出てきたのです。良い曲揃いです。

これまでのアルバムのように憧れのアーティストからの楽曲提供はなく、のんとギタリストのひぐちけいさんの作品が12曲収められています。それがいいんだ。ロックかつポップ。聴き惚れちゃうようなひぐちけいのギターソロがいろいろあって、それも素晴らしいのです。

『Renarrate』は、ナレーションなんかのnarrateにreをつけて、「語り直す」ってことだそうです。インタビューなどを読んでも、その意味、意図はいまいちピンと来ないのですが、これまでの彼女の楽曲にあふれていた攻撃的な「怒り」から、本作では「切なさ」や「やわらかさ」を感じることが多かったので、そういう意味では「のん」という人の世界を語り直しているのかも知れませんね。

12曲目(ラスト)は、「BONUS TRACK」扱いになっていて、アコースティックの『子うさぎ』という曲。確かに、ボーナストラック以外のなにものでもない感じ。これを含めて、のんさん、自分の歌唱世界を確立させましたねえ。やっぱりやり続けることって大切なんです。

 

 

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2025年10月11日 (土)

「ザ・フー キッズ・アー・オールライト」:1979年作の日本初公開    #キッズアーオールライト #ザフー #TheWho #老いる前に死にたいね

Kidsarealright 『ザ・フー キッズ・アー・オールライト』(1979年)は、The Whoのデビューから1978年のライブまでの映像を集めたドキュメンタリー映画の日本初公開。ただ、大江戸はずいぶん前に輸入盤のDVD(だったかな? どこかにあるはずなんだけど)を買って、見ております。

先日、ザ・フー全盛期のライブである『ザ・フー ライブ・アット・キルバーン1977』を観たばかり( ↓ )ですが、こっちの作品にもキルバーンのライブ映像が使われています。

「ザ・フー ライヴ・アット・キルバーン1977」:ピートがスゴ過ぎ!!    #ザフー #ザフーライヴアットキルバーン #TheWho #ピートタウンゼント : 大江戸時夫の東京温度

いやー、改めてザ・フーは特殊ですねー。4人それぞれの個性の強さと演奏の凄まじさ(ロジャーはマイクぶん回しだけど)。キース・ムーンやっぱり狂ってるわー。ピート・タウンゼントのロックスター的な(ワルな)持ち味と風車奏法とジャンプ。ジョン・エントウィッスルのベースがザ・フーの音をかなり形作っています。そして、ロジャー・ダルトリ―は一番普通ですよねえ。

ケン・ラッセルまで登場するインタビューとか、リンゴ・スターとキース・ムーンのドラマー対談とか、ライブや演奏クリップ以外の映像もあるにはあるのですが、そこは映像の少ない時代だけに食い足りないところ。まあライブの方も、結局ウッドストックとキルバーンになっちゃうあたりが、映像の少ない時代の限界なんですよね。

本作の広告コピーは、「老いる前に死にたいね」。はい、“My Generation”の一節の日本語訳でございます。まあ、ピートもロジャーも80歳を超えちゃったけどね。

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2025年10月 7日 (火)

「ばけばけ」が良き    #ばけばけ #ハンバートハンバート #笑ったり転んだり #ふじきみつ彦 #髙石あかり #朝ドラ

先週スタートしたNHK朝ドラ『ばけばけ』。思った以上に色々と良いです。

〈主題歌〉 ハンバート・ハンバートの『笑ったり転んだり』に癒されると、ネット界隈(って好きな言い方じゃないけど、便利なのでつい…)でも評判なようです。ハンバート・ハンバートは昨年公開の映画『ぼくのお日さま』の主題歌も良かったし、独特でいいですねえ。昔の唱歌みたいな覚えやすさ。でも、しみます。二日目にはサビのメロディーを覚え、1週目の金曜には全メロディーを覚えていました。歌詞もいいし。何しろあの酷評されたラッドウィンプスの『賜物』の次ですから、よけい良さが際立ちます。日によって、曲の違う部分を使っていますね。

<タイトルバック> 主題歌の流れるオープニングのタイトルバックには、(写真家)川島小鳥さんの写真が使われています。静止画を一枚ずつ出していく手法です。さすがにスタッフ、キャストの文字が小さいので、そのあたりは今後改修されるかもしれませんが、見え方としてはとても新鮮。そして、川島さんの写真はいつものようにのどかで心休まるものであり、主題歌とも最高にマッチしております。

〈映像〉 これが最高に素晴らしいのです。一つ一つのカットの構図の見事さ。特に、テレビドラマらしからぬロングショットの多用や、光と影の使い方。あの池を手前の紙から対岸の「とき」たちを撮ったローアングルのカット。人物の肩なめショットで、対峙する人物をを少しだけ見せる撮り方。太鼓橋を下りてから道を曲がって歩き続ける人物を捉えた長回し。お屋敷の広間の中景に人物、遠景に庭が見える美しいショット。真っ黒の闇(廊下)の奥に、縦長の空間(入口)だけが明るく照らされているショット・・・などなど、毎回いくつも感心するショットがあるのです。トーンも、室内は明治初期にふさわしい暗さで、いかにも怪談調の照明になっています。それ故に、逆光ショットが生きる場面も多いし。ほんと、撮影と照明の方々、最高の仕事してます。

〈脚本・演出〉 脚本はふじきみつ彦。『バイプレイヤーズ』なんかを書いてた人なんですね。まだこれからが本番って段階ですけど、けっこうユーモア多めで面白いです(今朝の髙石あかりの「茶運び人形」、笑えました!)。 演出もそれを生かして、思ったよりも軽妙にポップ。それなのに、正統派の堂々たる朝ドラにもなっています。これからさらに期待が持てます。

〈髙石あかり〉 彼女を朝ドラヒロインにもってきたってのは、なかなかの慧眼ですね。今日まで見て来て、この作品と彼女の成功を確信しました。目の周りが赤いような、独特の面立ちですが、映画『新米記者トロッ子』や『夏の砂の上』での演技力と風情に、注目しておりました(いちばんの出世作である『ベイビーわるきゅーれ』シリーズを未見なのが、無念です)。彼女とトミー・バストウの化学反応がどうなるのか、これから先に興味津々なのです。

そのほか、美術や衣装もさすがNHKならではって感じに、実力を見せつけております。あとネットを賑わせている「池脇千鶴の驚愕のおばさん化」については、大江戸の場合、近年の映画で知っていたので、それほど驚きはしませんでした。 いずれにせよ、これからの半年が日々楽しみです。

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2025年9月28日 (日)

「ミシェル・ルグラン 世界を変えた映画音楽家」:ガンコジジイ感動の終幕    #ミシェルルグラン世界を変えた映画音楽家 #ミシェルルグラン 

Michellegrand 映画『ミシェル・ルグラン 世界を変えた映画音楽家』は、2019年に86歳で亡くなったマエストロのドキュメンタリー。写真や各種映像や映画のフッテージ、そしてインタビューをもとに巨匠の人生を描き出し、それと共に晩年の彼自身のあれこれを追った作品です。

2023年に公開された『エンニオ・モリコーネ 映画が恋した音楽家』はかなり面白い作品でしたが、本作はそこまでではありません。ある意味、普通。まあ、そこはモリコーネって人とルグランの違いなのかも知れませんね。だって晩年のミシェルって、気難しいガンコジジイで、非常に扱い辛そうですもん。

ミシェルはクラシックとジャズの素養をベースに、とってもポピュラーなメロディーを作り続けた多作な映画音楽家です。でも、正直言って小生の好きなタイプの音楽ではないんですけどね。ま、そこはもちろん好き好きってことで。

この映画では『シェルブールの雨傘』『ロシュフォールの恋人たち』『華麗なる賭け』(『風のささやき』)、『愛のイエントル』が代表作として紹介されており、それに異論はありませんが、『おもいでの夏』ももう少し大きく扱っても良かったのでは? 一方、大江戸が一番好きなのは、本作内にポスターがちょこっと映っただけの『真夜中の向う側』(1977年)だったりします。でもWikipediaのミシェル・ルグランの作品リストには、入ってなかったりします。なんということ!

死の1か月前ぐらいの最後のコンサートで指揮しピアノを弾くミシェルの姿には、「すごいものを見た」と感動せざるを得ません。あそこが本作の存在意義ですね。

どうでもいいけど、晩年のミシェルに「眉毛整えてあげましょうか?」と言いたかった大江戸であります。

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2025年9月 7日 (日)

「ザ・フー ライヴ・アット・キルバーン1977」:ピートがスゴ過ぎ!!    #ザフー #ザフーライヴアットキルバーン #TheWho #ピートタウンゼント 

Thewhoatkilburn 映画というかライヴ・ドキュメンタリーの『ザ・フー ライヴ・アット・キルバーン1977』を観ました。蔵出し映像の劇場初公開。64分(資料によっては65分)と短いのですが、特別料金2000円均一です。

THE WHO来日公演の際に買ったTシャツを着てアップリンク吉祥寺で観たのですが、うーん、もうちょっと音量上げてほしかったなあ(隣のスクリーンに影響するから無理なのかなあ…)。 それでも観てる(聴いてる)うちに気にならなくなるほど、THE WHOの演奏が圧倒的なのでした。

大江戸はビートルズもローリングストーンズもザ・フーもそれぞれ同じぐらい大大大好きなのです。この中でも、ザ・フーほどメンバーそれぞれがとんでもなく個性的でそれぞれが凄いグループってありません。キース・ムーン(ドラムス)のクレイジーさ! ジョン・エントウィッスルの高音域でメロディアスなベースがザ・フーの楽曲に寄与することの大きさに、改めて感心(あの「Pinball Wizard」の基調をなす「バヨーン♪」なんかもそうですね)。ロジャー・ダルトリ―なんか、リード・ボーカルなのに、ある意味いちばん地味です。なんとかマイクぶん回しとカーリーヘアで派手さを補完している感じ。

で、やっぱりピート・タウンゼント(ギター)がスゴ過ぎます!! これまでいろんな映像で見て来た以上に、ぶっ飛んでます。こわれたバネ人形みたいに、あっちこっちへピョンピョン跳んではねて、腕をぶん回して・・・なんて運動量だ!! あのジャンプ、かなり変則的に脚を使うので、着地時にころんだり、捻挫したりしそう。よくもまあ…って感じです。

ラストの『Won't Get Fooled Again』をはじめ、見たことのある映像もありましたけど、全15曲大いに楽しみコーフンしました。いやー、半世紀近く前ですが、やっぱりすごいわ、ザ・フー。ほとんど、あっけにとられます。観客の年齢層は高めでしたが、この本物のロックの迫力をできるだけ多くの若い人たちにも体感してもらいたいものです!

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2025年7月24日 (木)

もつ焼き屋の笑えるポスター    #パロディーポスター #モツラ #三杯目の誘惑 #レットイートブー #ザビートンズ #みつぼ

Dsc_29922_copy_857x1166 都内のもつ焼き屋に貼ってあった手作り(と言っても今はPCですが)ポスター。

まずは『モツラ』。ちょっと光の加減で見にくい写真ですみません。言うまでもなく『モスラ』のパロディ―。中央にブタちゃんの双子姉妹がいるあたりがいいですね。「店長、焼いてちょうだい!」なんて言ってます。俳優の名前のように見える文字は、「ミミガー」「もつ煮込み」「レバカツ」などお品書きになっているのです。

 

Dsc_29942_copy_849x931 こんなのもありました。『ALL DAYS  三杯目の誘惑』。はい、元ネタは『ALWAYS 三丁目の夕日』。この夕日のオレンジは、まさにあの作品のビジュアルですね。あ、「みつぼ」ってのは、お店の名前です。

 

Dsc_2995_copy_1108x1518 そしてこちらはザ・ビートンズの『レット・イート・ブー!!』。当然ザ・ビートルズの『レット・イット・ビー』(アルバム・ジャケットも同名映画のポスターも)を知っていてこそ楽しめるネタです。イット→イートってあたりがポイント高いっす。ジョン・ポール・ジョージ・リンゴの顔も、ほのかに似ているような…

 

ま、酒の肴の一つとして、こういうのもいいやね。

 

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2025年6月25日 (水)

竹内まりやライブ@Kアリーナ横浜    #竹内まりや #竹内まりやライブ #souvenir2025 

Dsc_29282_copy_1431x959 竹内まりやの11年ぶりのライブツアー『souvenir2025』、本日が千秋楽だったのですが、その前日の24日にKアリーナ横浜で観ました(聴きました)。はい、昨秋のアルバム『プレシャス・デイズ』を買って応募して、当選したのです。まりやさんがMCで、14公演に対して50万通の応募があったとか言ってたので、なかなかの倍率だったのだと思います。思えば、前回のツアーは落選しましたもんねー。結局、映像でしか見られていません。そうそう、映像といえば、カメラが入ってましたので、この日(+千秋楽もかな?)のライブが後日、TV放映や配信やソフト化されるのでしょう。

(小生、2018年のファン・ミーティング=ミニライブには当選して、行きました ↓ )

竹内まりやファンミーティング in 品川  #竹内まりや: 大江戸時夫の東京温度

Dsc_29302_copy_914x603 Kアリーナ横浜は2023年にオープンしたんですよね。約2万人のキャパを誇るってことで、いい容れ物です。大江戸は7F部分=最上階のど真ん中あたりの席。10分押しで約2時間半(2度のアンコール含む)のライブでした。年齢層はかなり高いのです、やはり。まりやさんのMCによると、「7割が50-60代」ってことでした。まあ、まりやさんが今年古希を迎えたわけですから、ファンだって年を取ります。それにしても、まりやさん若い!! 奇跡の70歳です! 顔も若いけど(遠いから双眼鏡と大型ビジョンで見た限りは、ですが)、声も動きも仕草も若いのです(達郎さんも72歳にしては随分若いんですけどね)。MCの喋りもしっかりしてるし、頭の回転や記憶力もしっかりしてるし(まあ、それがまりやさんなんですけどね)。

Dsc_29292 『アンフィシアターの夜』に始まり、本割は『駅』で終わるという、「いつもの」というか「王道」の構成。いいんです、いつものって感じで。だって11年ぶりなんだし。バンマスは当然山下達郎。だから、完成度は高いし、音が良いのです。レーザーの光による演出だとか、まりやさんの早着替えだとか、20代のまりやさんの映像だとかも楽しめました。 『Plastic Love』では達郎さんによる「嫁の歌乗っ取り」パート(笑)が、これまでよりもさらに長くなっておりました。

大江戸的には初期の「RCAイヤーズ」のコーナーがあったのが嬉しかったですね。やっぱりあの頃の曲はいいのですよ。『五線紙』とか『象牙海岸』とか『リンダ』とか『ブルー・ホライズン』とか。アンコールでは『セプテンバー』と『不思議なピーチパイ』もやってくれましたしね。 大江戸は人気のある暗い曲(『駅』『告白』など)はキライなので、ポップな曲や明るい曲が好きなのです。あと、ここ20年ぐらいの「人生を描く堂々たる曲」(『静かな伝説(レジェンド)』とか、『人生の扉』とか、『いのちの歌』とか)も割と苦手ですねえ。

でも全曲見事でした。70歳のアーティストの持つ力に感動しました。まりやさん最後に「声が出る限りは続けていきたい」「またどこかでお会いしましょう」と言っていたので、まだまだやる気みたいですよ。今度は11年も空けないでくださいね。

 

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2025年4月27日 (日)

CKB友の会サミット2025 #クレイジーケンバンド #CKBTMNKSUMMIT #CKB #横山剣 #小野瀬雅生

Dsc_2681_copy_646x946 年に一度のクレイジーケンバンド友の会(CKBTMNK)サミット。昨年は抽選にハズレて涙を呑みましたが(てか、ハズレることもあるって知らなかった)、今年はめでたく当選。関内ホールの1階後ろ側の席です。今回は生オケコーナーやオークションにも応募しなかったので、気楽に参加しました。

それにしても、年々客席がシニア化していきますねえ。当たり前と言えば当たり前なんですけど。相変わらずやんちゃだった感じの人が多うございます。

ほぼ午後5時半きっかりの開演で、8時まで。これまで大江戸が体験したこのサミットでは、途中にメンバーたちが椅子に座ってのトークや質問のコーナーがあったのですが、今回はなし。普通のライブのように、すべて演奏とMCのみでした。

オープニングの『昼下がり』から『スージー・ウォンの世界』『棕櫚』と快調にスタートしたのですが、途中から最後までやけに暗いトーンのマイナーコード曲が多くて、ちょっと気詰まりになりました。今日のテーマが「加齢なる一族」だということで、「GG」とか『おじさん』とか『ROOTS』とか、高齢バイアスのナンバーが多かった延長線上の事象かなあ。剣さんって、時々そういうことをなさったりします。まあ、サミットならではのマニアック選曲ってことで。「小野瀬雅生ショウ」コーナーの曲も、珍しいけど困惑を誘うような『世界の半魚人』でしたし。

Dsc_2682_copy_1504x1150 でもアンコール・ラストの『生きる』で、暗い気分が一気に浄化されました(逆に言うと、シングルカットされた曲はこれと、第一部最後の『まっぴらロック』だけ)。 そして終盤に、「今日誕生日の人に」ってことで、ハッピーバースデーの歌を歌って祝ってくれたのが、たまたま本日誕生日の小生にとっては、嬉しい出来事だったのでしたー。

 

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2025年3月28日 (金)

佐野元春の「HAYBUSA JET Ⅰ」    #佐野元春 #HAYABUSAJET #ハヤブサジェット #つまらない大人にはなりたくない

Dsc_24882_copy_1024x883 先日発売された佐野元春& THE COYOTE BANDのニューアルバム『HAYABUSA JET Ⅰ』について。

「元春クラシックスの再定義」が、このアルバムのテーマなのだそうです。つまり往年の人気曲を、今のコヨーテ・バンドのサウンドで若い人たちにプレゼンテーションしたいという考えで作られたアルバム。収められた10曲が、それぞれに素晴らしいアレンジなのですが、考えてみればもともと佐野さんのライブでは、過去の人気曲を大胆にアレンジして、しかもその時々で違ったアレンジを施して演奏することが多かったではありませんか。なので、この10曲もどこかで聴いたアレンジだったり、そうじゃなかったりするわけです。昔は「このアレンジ、失敗じゃない?」と思うこともあったのですが、この10曲に関してはそれぞれ新しい個性をまとっていて、でもその曲のキモは残っていて、とても素敵です。

大江戸が特に気に入ったのは、『つまらない大人にはなりたくない』『だいじょうぶ、と彼女は言った』『ジュジュ』あたり。『虹を追いかけて』『欲望』あたりは、オリジナルよりもこっちの方がぐっと良くなっております。

また曲名に関しても、『ガラスのジェネレーション』→『つまらない大人にはなりたくない』、『Down Town Boy』→『街の少年』、『Indivisualists』→『自立主義者たち』ってな具合に替えているのです。一部歌詞もいじってるしね。

それにしても、「なんだ、このタイトル??」ですよね。「ハヤブサ・ジェット・ファースト」と読むそうです。ハヤブサ・ジェットって、昭和中期の子供向けヒーローみたいな名前ですが、佐野元春が自身のアバターとして設定したんだそうです(本当は「佐野元春」名義ではなく、「ハヤブサ・ジェット」名義で出したかったらしいですよ)。変なひとー。

 

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2025年3月23日 (日)

「名もなき者 A COMPLETE UNKNOWN」:シャラメの好演&好歌唱    #名もなき者 #ボブディラン #ティモシーシャラメ #エルファニング 

Completeunknown 映画『名もなき者 A COMPLETE UNKNOWN』は、ティモシー・シャラメがボブ・ディランを演じて、オスカー主演男優賞にもノミネートされた音楽伝記映画。シャラメは受賞に至らなかったわけですが(獲ったのは『ブルータリスト』のエイドリアン・ブロディ)、歌もすべて自分で歌って演奏して、しかも仕草から表情から姿勢からディランそっくり。あのきれいな顔を汚すようなアプローチで、いろいろめんどくさい曲者ディランを好演しております。歌声もやたらと似てます。

ボブ・ディランのみならず、ジョーン・バエズやジョニー・キャッシュ、そしてウディ・ガスリーまで出て来ます。また先輩フォーク歌手のピート・シーガ―をエドワード・ノートンが演じているのですが、ノートン老けましたねえ。でも調べたらまだ55歳だったので、老けメイクと演技力だったのでしょうね。

デビュー直前から1965年のニューポート・フォーク・フェスティバル(ディランがロックを演奏し、裏切り者扱いされて大荒れとなった)あたりまでを描く作品。「初期のディラン」ですね。でもまあ、この人がやがてノーベル文学賞を受賞するわけですからねえ(エンディングの字幕で説明されます)。大江戸なんかいまだに信じられません。いずれにしても、“Like a Rolling Stone”は良い曲、いや、凄い曲ですよねえ。

でも、ごひいきのエル・ファニングから少女の輝きが消えかけていたのが悲しかった大江戸なのであります(まあ、もう26歳ですしね…)。

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