2023年11月 6日 (月)

ビートルズの新曲「NOW AND THEN」    #ビートルズ #nowandthen #ナウアンドゼン #ビートルズの新曲 #ポールマッカートニー 

ザ・ビートルズの「最後の新曲」という『NOW AND THEN』(ナウ・アンド・ゼン)が発表されましたね。解散後だいぶ経ってからのテクノロジーの進化による新曲ということでは、1980年代の『フリー・アズ・ア・バード』『リアル・ラヴ』に次ぐものです。

11月2日にデジタル配信され、CDも3日に発売されたそうですが、大江戸はYouTubeの公式版MV(4分35秒)および「Short Film」と題した12分25秒のメイキング映像を見ました。このMVはピーター・ジャクソン監督(『GET BACK』のご縁)が手掛けたそうですが、各年代のメンバーを他のメンバーや違う年代の本人と共演させるなど、現在のテクノロジーを使って、遊んでおります(おどけまくるジョンが印象的)。そもそもこの曲自体、現在のテクノロジーでジョンの声を再現することで実現に至ったわけですからね。

ただねえ、あまりジョンの声に聞こえないというか…。結構それっぽくはありますが、むしろ「時々そっくり」程度なのです(PCのスピーカーで聴いてるから?)。あとは、そもそもが暗い曲で好みではありません。なんかここ20年ぐらいのポール・マッカートニーのソロアルバムのどれかに入っていそうな曲なのです。そして大江戸はマイナー・コードの曲は苦手なのです。

まあ、今回のプロジェクトやレコーディング(ポールのベースとリンゴのドラムは新録音)、復元に当たって主導権を握っていたのはポールのようなので、しょうがないですかね。まあ、『フリー・アズ・ア・バード』に関してもそういう所はありましたからね。大江戸は「ポール派」なのですが、こういうことは「しなくていいのになあ」と思ったりします。

てなわけで、「発表されていなかったのには、それなりのわけがある」と首肯したビートルズ大好きな大江戸なのでありました。

 

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2023年10月26日 (木)

クレイジーケンバンドのアルバム「世界」    #世界 #クレイジーケンバンド #CKB #白川玄大 #アルバム世界

Dsc_0175_copy_800x471 9月に発売されたクレイジーケンバンドのニューアルバム『世界』のことを。今頃書きます。もう「ワールドツアー」(『世界』のツアーですね)のライブを見た後なのに( ↓ )、ようやくです。

CKBの“ワールド・ツアー”    #クレイジーケンバンド #CKB #ワールドツアー #CKB@LINECUBESHIBUYA #のっさん #小野瀬雅生 #ハマのギター大魔神 #イイネ : 大江戸時夫の東京温度 (cocolog-nifty.com)

さて、このアルバムですが、かなりいいです。大人のオシャレっぽさとインターナショナルな多様性にあふれています。ブルースもソウルもAORもムード歌謡もシティポップもロックンロールもアジアの音楽もみんな入って、それぞれの持ち味で輝いています。確かに「世界」ですね。廣石組長に代わって、ファンキー・ドラマー白川元大が正式メンバーとなって初のアルバムでもあります(剣さんは彼のこと絶賛してますね)。

やはり(シングルカット的に)MVが公開されている3曲が素晴らしいですね=SHHH!/マンダリン・パレス/観光。それと、スモーキー・テツニがボーカルのナンバー『Sweet Soul Train』も、やけに良いのです(ライブでもテツニが見事でした)。のっさんのギター・ナンバー『横浜美味礼讃』は、アジアとベンチャーズの融合。

ただ大江戸の場合、どのアルバムにも「この曲さえなければなあ」って曲がありまして(『Brown Metalic』における『息子』とか、『樹影』における『こわもて』とかですね)、本作の場合は『夜は千の目を持つ』がそれにあたります。でも、剣さん、こういうの好きなんでしょうねえ。

 

大江戸は物質派なのでCDを買いました。初回限定版特典のDVDは、昨年10月の『樹影』ツアー@中野サンプラザ。小生もそこにいたライブです。白川玄大マジックショーがあったり、のっさんの『マリリン・モンロー・ノー・リターン』があったり、ライムスターの登場があったりの楽しい時間が甦ったのでありました。

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2023年10月22日 (日)

「キリエのうた」:終盤が残念    #キリエのうた #岩井俊二 #アイナジエンド #広瀬すず 

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映画『キリエのうた』は、今年還暦なのに写真を見ると異様に若々しい岩井俊二監督の新作。東映配給なのですが、冒頭の東映マークが(あの波涛の実写ではなく)ちょっとおしゃれ。ルミネエスト新宿とタイアップしてたりもするせいか、バルト9に来てた客層は二十代女子率高し。でもこれはむしろ松村北斗狙いですかね。

元BiSHのアイナ・ジ・エンドが、ハスキー声の独特な歌唱で惹きつけます。あの声を聴くと、『スワロウテイル』のCHARAを思い出してしまいますね。演技に関しても(役柄が特殊だったこともあり)全く問題ありませんでした。

彼女の子供時代を演じる矢山花もかわいいし、いい芝居してます。『花とアリス』みたいに、バレエもしてます。彼女が両目に涙をためて、上を見ている絵なんて、岩井俊二の真骨頂です。

そして、広瀬すずらしくないビジュアルのシン・広瀬すずが良いです。メガネ(サングラス)とウィッグで変身しまくって、これが似合うんです。ステキなんです。今後はこっちをデフォルトにしちゃえばいいのに。

キャストは大物俳優や他分野の人がチョイ役を務めたりしていて、やっぱり皆さん岩井俊二の映画に出たいってことなんでしょうねえ(ウディ・アレンやウェス・アンダーソン作品のように)。『ラストレター』では庵野秀明を出して、本作では樋口真嗣ってのも笑えるというか、いったい何なんすかね?

東日本大震災の地震描写があるってことで、公式サイトや劇場にも注意書きが出ておりましたが、なるほど家の中での地震描写としてかなりリアルですし、長さもたっぷり。ただここらへんから作品の調子が乱れてきて、頭に疑問符が浮かぶことが多くなっていきます。岩井監督は宮城県出身だってことですが、岩手、宮城、福島以外の出身者が撮ったら、いろいろ非難されたのではないでしょうか?

公式サイトによると2時間58分の作品なのですが、ほとんど2時間ぐらいにしか感じられないってのも、いつもの岩井作品あるある。でも2時間過ぎてから、ちょっと取り留めなくなってきて、広げた風呂敷を上手にたためずに着地し損なった印象。うーん、やっぱり音楽がらみじゃない岩井映画の方が、大江戸は性に合っているようです。

 

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2023年10月19日 (木)

「白鍵と黒鍵の間に」:終盤の崩壊のハンパなさ    #白鍵と黒鍵の間に #冨永昌敬 #池松壮亮 #ジャズ映画 

1_20231019135201 映画『白鍵と黒鍵の間に』は、昭和63(1988)年の銀座を舞台にしたジャズ・ミュージシャン二人(池松壮亮の二役)の物語。というと、クールにカッコ良さげですが、・・・いやー、変な映画でした。

監督は『パビリオン山椒魚』『素敵なダイナマイトスキャンダル』などの曲者=冨永昌敬。この人の作品は常に「飲み込みにくい異物感」みたいなものがあるのですが、本作ももろにそれでした。

時代がねえ、80年代後半って言われても、「そうなの?」って感じ。むしろ’60年代ぐらいのニュアンス(日活無国籍アクション的な)が入ってると思うのですが、そこらは確信犯みたいな気もします。それと、「これ銀座なの?」って感じもありますけど、それを言っちゃあおしまいですかね?

何でか知らないけど、わざとダサくしてますよね。なぜ二役なのかよくわからない池松壮亮もダサいし、松尾貴史演じる銀座のボスもダサい。もっと洒脱にできないもんですかね? そもそもキッチュが銀座一の闇の帝王って、いくらなんでも貫禄なさ過ぎ。この役はもっと重みと怪物性がないと…往年の三國連太郎とか佐分利信みたいに。

終盤のある場面で、映画全体が暴発してとんでもないことになっちゃいます。近年ちょっと見たことがないほどの崩壊ぶりです。「やっちまった」感がハンパないです。こんな怪作だったとは!

やっぱりジャズの映画作るんだったら、洒脱にやってくれないとダメですよね。

 

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2023年10月18日 (水)

「鯨の骨」:あのちゃんは悪くないけど…    #鯨の骨 #あの #あのちゃん #大江崇允 

1_20231018122401 映画『鯨の骨』は、『ドライブ・マイ・カー』の脚本家(共同)の一人だった大江崇允の監督作品(共同で脚本も)。主演は落合モトキとあの(あのちゃん)です。

大江戸は『ちゅ、多様性。』以降、あのちゃん大好きなので、主演女優目当てで観た次第。でもねー、しかしねー、「うーん」って感じでした。なんか自主制作のカッコつけた概念映画みたいで、ダメでした。こんな頭でっかちでマスターベイティングな映画って、久々に観たかもです。やっちまったって感じです。

映画としての魅力というものが画面に出ていませんし、青くさい小難しさが何も生み出していません。とにかく単純に「面白くない」のです、いろんなレベルで。ラストなんか、あまりにドイヒーで脱力してしまいました。

あのちゃんは悪くないんですよ。大江監督の指導もあったようですが、タレント「あのちゃん」に見えないように、俳優「あの」として一つの役を演じていました。うまくはないけれど、只ならぬ地の魅力がありますからね。赤いコートも印象的に似合っておりました。 そしてアーティスト「ano」として作った主題歌が良いです。さすがです。

そもそも何で「鯨の骨」なのか?ってことに関しては、オープニングに字幕で説明されます。でも説明されてもやはり「なんのこっちゃ?」ですし、どうにもこうにもスカシてるんです。まことに残念な作品でありました。

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2023年10月15日 (日)

CKBの“ワールド・ツアー”    #クレイジーケンバンド #CKB #ワールドツアー #CKB@LINECUBESHIBUYA #のっさん #小野瀬雅生 #ハマのギター大魔神 #イイネ 

Dsc_0157_copy_897x1345 クレイジーケンバンド、秋のライブツアーといえば、東京では中野サンプラザと決まっておりました。それもサンプラザ建て替え(取り壊し)のため昨年限り。今年はLINE CUBE SHIBUYAに会場を移しての“ワールド・ツアー”です!

ワールド・ツアーと言っても、世界各国を巡業するわけではなく、新アルバム『世界』のツアーってことでのワールド・ツアー。詐欺商法? ま、いにしえの「大イタチ」のようなものですね。

Dsc_0158_copy_1024x1338 大江戸は昔の渋谷公会堂には行ったことがありますが、LINE CUBE SHIBUYAになってからは初見参。白木を多用して、清潔感のある会場ですね。サイズ感もちょうどいいし。

で、今回はなななんと!前から2列目の真ん中へん(やや上手側)という空前絶後の席!! いくらファンクラブ先行で応募したからと言っても、ここまでの席ってのは、大江戸の生涯でもなかったですよ。一生分の運を使い果たしてしまったかも知れません。次回は一番後ろの席になるかも知れません。

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それはともかく、今日はイイネ!マークのキャップに、(のっさんも持っている)ハードコアチョコレートのケムール人Tシャツ。見えないけど、ソックスもイイネ!マーク入りで気合入れて来ました。

あ、「のっさん」というのは大江戸の大好きなギタリストの小野瀬雅生さんのことです。

Dsc_0155_copy_545x934 さて、ライブはアンコールも含めて2時間半ぐらい。昨年より少し短くなりましたかね。でもやっぱり2列目すげー! 2列目近けー! 全員のプレイや楽器や衣装や表情が、細部までよーく見えます。「あ、剣さんが変顔してる」とか「のっさんはずっとサムピックで弾いてるな」とか。もう、シャイコー!

アルバム『世界』からの曲を中心に、あの曲やこの曲をやってくれましたし、「リクエストアワー」や「白川玄大マジックショー」も盛り上がります。そうそう、このツアーはドラムスの白川玄大が正式メンバーとなってから初のツアーなのです。そして「小野瀬雅生ショウ」のために、小生は(せっかく前の席だったので)手作りの大魔神パネルを掲げて「ハマのギター大魔神」様を讃えました。剣さんもそれに目を止めて、「大魔神!」と言ってくれたのでありました。

それからも、「剣さん、ますますもって歌詞忘れるなあ」とか「ガーちゃん、細いなあ」とか「シンヤマン、太いなあ」とか「ゲンタ、見事だなあ」とか、「そもそもステージ上のフォーメーションが変わったんだなあ(のっさんがセンター、剣さんのすぐ右になりました。テツニは一番下手側に移動。ガーちゃんが一番上手側です。)」とか感嘆してるうちにライブは終了。

Dsc_0162 全員が並んでご挨拶の時にも、小生は大魔神を掲げてのっさんを讃えておりました。すると、なななんとのっさんがサムピックをこちらに投げてくれたのです! 取り損なって床に落としたものの、ありがたく頂戴いたしました!

Dsc_0163 ご覧の通り、使用により「m」の字が摩耗して「onose nasao」になっております。裏側には、謎の紋章。レッド・ツェッペリンのように、自分を表す紋章があるのでしょうか? いやー、嬉しい! 家宝にいたします! 家宝だけど『なんでも鑑定団』には出しません。ギターは弾けないので、これを指ぬきにしてお裁縫をします(←すみません、ウソです)。

ああ、これでますます一生分の運を使い果たしてしまったかも知れませんね。なので、これからは「余生」ですかね? まあ、余生もCKB を聴きながらエネルギーをもらい、グリグリバリバリとがんばりたいと思います。

 

 

 

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2023年9月 7日 (木)

ローリングストーンズのニュー・アルバムが出るそうで!    #ローリングストーンズ #ハックニーダイアモンズ #ミックジャガー #キースリチャーズ 

いやー、ザ・ローリング・ストーンズが18年ぶりのニュー・アルバム出すんですってね。2005年の『ア・ビガー・バン』以来。10月20日の発売で、タイトルは『ハックニー・ダイアモンズ』。で、新曲『Angry』の公式MVもYouTubeにアップされております ↓

https://youtu.be/_mEC54eTuGw?si=5FfTE9Y5wkOI-maC

うーん、時代をものともせずに突き進むストーンズらしいMVですね。こういうのにまで「女性を性の対象としてしか見ていない」とか「性的搾取」とか言わないでくださいね。何ていうか、伝統芸能みたいな、時代劇みたいなものなんで。 そしてこの音! 隅から隅までストーンズですねえ。王者の風格過ぎて、ひれ伏したくなる感じです。しかもこの曲、10月開始のフジテレビ連続ドラマ『うちの弁護士は手がかかる』(ムロツヨシ・平手友梨奈主演)の主題歌になってるって・・・いったいどうなんってんの??

おととしチャーリー・ワッツが亡くなって、いよいよ3人になってしまったストーンズ(今の日本でただ「ストーンズ」と言うと、別のグループのことだと思われてしまうので、困ったもんですね)。でも、ミックとキースがいる限り、ストーンズは成立しちゃうんですよねえ。

それにしても、ミック・ジャガー80歳、キース・リチャーズ79歳、ロニー・ウッド76歳ですかあ! グレートなジジイたちだぜ。 

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2023年8月10日 (木)

のんの2ndアルバム「PURSUE」    #のん #PURSUE #パシュー #高橋幸宏とのん

Dsc_11453_copy_1024x903 のんのセカンド・フルアルバム『PURSUE』(6/28発売)。予約してCDを買った割には(物質好き、配信嫌いなんです)、PCを新しくした関係で、外付けCDプレイヤーがなかったり、まあなんだかんだ聴きこむのが遅くなってしまいました、はっはっは。タイトルの意味は、「のんがこれまでも、これからも自分のクリエイションを追求していく」ことを表しているそうです。

これまでの方向性をさらに発展させたような12曲+ボーナストラック1曲。ロック(特にパンクロック)が中心ではありますが、ポップなナンバーもバラードもあります。のんが作詞・作曲した曲と堀米泰行や柴田隆浩(忘れえらんねえよ)らのアーティストたちの提供曲が半々ぐらい。

のんのパンクでとがったボーカルもますます冴えてます。それのみならず、繊細な『エイリアンズ』や堂々たるバラードで新境地を拓いた『荒野に立つ』など名曲も多く、聴きこむほどに良いアルバムです(最初はちょっとイマイチに思えたのですが…)。

そのほかにも『Beautiful Stars』『ナマイキにスカート』『わたしは部屋充』(1分52秒の短さとスピード感がサイコー!)『この日々よ歌になれ』などがいいなあ。好きだなあ。

ボーナストラックの『Knock knock』はのんの曲ですが、高橋幸宏さんがコーラスに参加しています。生前の録音だったそうで、アルバム・クレジットの最後には幸宏さんに捧げる言葉が(英語で)載せられています。音楽におけるのんさんのメンターみたいな人だったからなあ、幸宏さん。

初期のミニアルバムを除いて、2枚目のフルアルバムなのですが、1枚目でバンドマンとしての地歩を固めた彼女が、この2枚目でさらに盤石なミュージシャンになっていました。やっぱりすごい人です。

 

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2023年6月28日 (水)

名盤ライブ「SWEET 16」の上映会    #SWEET16 #名盤ライブ #佐野元春 

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以前、名盤ライブ『SOMEDAY』by佐野元春@Zepp東京ダイバーシティ に参加した感想を当ブログに書きました( ↓ )。アルバム一枚をそのままの曲順で最初から最後まで、生で通し演奏するという企画。もう10年も前のことなんですね。びっくり。

名盤ライブ・佐野元春『SOMEDAY』: 大江戸時夫の東京温度 (cocolog-nifty.com)

で、その第2弾・名盤ライブ『SWEET 16』が昨年11月に横浜と大阪で行われたそうです。小生は全く知りませんでした。その大阪ライブをBlu-rayにして売り出すにあたって、「一夜限りのプレミアム上映」(5.1chサラウンド版)を行うってのが、今晩の趣旨。大江戸はT・ジョイPRINCE品川で鑑賞しました。

『ミスター・アウトサイド』に始まり、『また明日…』で終わる全12曲。そこにアンコールで『約束の橋』と『ヤング・フォーエバー』がついた構成。佐野元春の半世紀近い音楽活動を支えたいろんなバンドからの選抜メンバーによる「THE SWEET 16 GRAND ROCKESTRA」を従えてのライブです。このアルバム、結構好きなんです。シングル曲も目白押しですし、大江戸の好きな曲もいろいろあります。好きな順に、『スウィート16』『誰かが君のドアを叩いてる』『ボヘミアン・グレイブヤード』『また明日…』『ポップチルドレン』ってあたりかな。その上、アンコールに『約束の橋』まであるわけですし。

Dsc_13168_copy_573x552 ただ、このアルバムって意外とトータリティに欠けるというか、楽曲の方向性がバラバラな印象です。多様性ともいえるのかも知れませんが、「名盤ライブ」としてやるのならやはり『SOMEDAY』の方が合ってますね。なんならトータル・アルバムって意味では『Visitors』が一番合っているのかもです。

古田たかしのドラムが相変わらずマイティだとか、コーラスのおねえさんの一人がえらく年季が入ってあたかもアフリカ系のコーラスシンガーみたいだとか、Dr. kyOnがアンコールでギターひくところが楽しそうだとか、バンドの皆さんが醸す風雪に耐えた一流のプロの雰囲気もなかなかです。

そして佐野さんは相変わらず若々しく、いや、あまりに変わらないので、撮影時66歳とは思えません。体型も、声や動きのキレも維持してます(もっとも50代後半ぐらいからちょっと声が衰えてはいるのですが…)。 ライブ構成的には『約束の橋』を最後に持ってきた方が素晴らしい終わり方になったと思いますが、やはり「ヤング・フォーエバーだぜ」というメッセ―ジだったんでしょうね。

CM・予告編なしの約70分で、3,300円。映画と比べちゃうと高いんですけど、9月の東京国際フォーラムのチケット争奪戦に敗れたので、まあその分だと思えばってことで…。

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2023年5月21日 (日)

「TAR ター」:上質で上等な映画    #TAR #ター #映画ター #トッドフィールド #ケイトブランシェット 

1_20230521225601映画『TAR ター』は、上質な、上等な映画。メジャーな娯楽映画の枠内でこういう作品が作れるってのは、さすがアメリカ映画はまだ死んじゃいないってところです。「わかりやすさ重視」のメジャーな日本映画からは絶対出て来ない作品でしょう。その表現は、飛ばし見や倍速視聴では絶対伝わらないようにできているのです。

とにかく親切に「皆まで語る」ことはしません。部分を描いて、それで観客が想像して理解に至るように作られています。その塩梅が絶妙であり、逆に言えば「観客を信頼している」作り方なのだと思います。観る方も信頼に応えて、集中して頭を働かせる必要があります。でも映画を観る喜びって、そういうことではないのでしょうか。

『イン・ザ・ベッドルーム』『リトル・チルドレン』のトッド・フィールド監督が16年ぶりに撮った第3作ということです。見事な演出力であり、音楽映画とかサイコホラーとか転落のドラマとか、そういったたジャンル分けを超越した力作です。

その原動力となっているのが、ター役のケイト・ブランシェット。パワフルに、繊細に、リアルさと狂気を往還しながら、圧巻の演技を見せつけます。その上、指揮! ドイツ語! 今年のアカデミー主演女優賞は、『エブエブ』のミシェル・ヨーでしたが、改めて「なんで?」と笑っちゃいます。このケイトを超える人なんていませんもん。彼女のキャリアの中でも、『ブルー・ジャスミン』と並ぶ最上級の演技です。

2時間38分(「キネ旬」では2時間39分の表記)と長い作品ではありますが、ゆったりペースの序盤を除けば、長いと感じることはありません。むしろ、ディテールや伏線や映画表現の緻密さをきちんと味わうために、もう一度観たいとすら思いました 。 ドイツ生まれの撮影監督フロリアン・ホーフマイスターによる、怜悧な映像も見事です。

 

 

 

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