2024年10月 2日 (水)

ペプシ缶の美    #ペプシ #ペプシコーラ #ペプシ缶のデザイン #簡潔な美 #削ぎ落とす美学

Dsc_1595_copy_352x572_20241002222501 今年、アメリカ合衆国での売り上げがわずかにドクターペッパーに負けて第3位となったペプシコーラ。

もう10年以上とか、ヘタすりゃ20年以上とか、とんでもなく長い間飲んでいなかった大江戸です。で、この夏休みに谷中あたりを歩いていた時に、「ペプシ飲みたい」と思って、でも今はコンビニで売っていないので、日暮里駅そばで自販機を探して500ml缶を購入しました(350ml缶はなかった)。うーん、こんな味でしたっけ? やけに甘くて、あまり炭酸が効いておりませんでした。「飽きる味」って印象。このロング缶も4割ぐらいで飽きましたが、がんばって最後まで飲みましたよ。やっぱり、コカ・コーラ、ドクターペッパーに続いての3位に納得。昔はもっとうまかったと思うけどなー。

Dsc_1596_copy_347x572 でも今日話題にしたいのは、この缶のデザイン。ほら、キレイでしょ。まず基調となっているこのブルーが独特で美しい。写真もキレイですけど、この2枚の色合いでもばらつきがあるように、光の当たり方で色合いが変わります。いずれにしても光沢があって、魅惑的な色なんです。 その中にある要素は、「丸いペプシマーク、PEPSIのロゴタイプ、500MLという表示」の3つだけ(実際には法令上の表示義務がある事柄は小さく入ってますけど)。いやー、潔い! シンプルこの上ない簡潔なデザインです。これはお見事。一切の無駄がありません。「削って、削って、最後に残った芯」って印象。きっとよっぽどの名デザイナーさんが手掛けたのでありましょう。 飲まなくても、置いておくだけで気分がアガる。そんな名品でございます。

 

 

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2024年9月21日 (土)

「ジョン・ガリアーノ 世界一愚かな天才デザイナー」:しくじり先生    #ジョンガリアーノ #ジョンガリアーノ世界一愚かな天才デザイナー #映画ジョンガリアーノ

Johngalliano 映画『ジョン・ガリアーノ 世界一愚かな天才デザイナー』は、あの2011年の差別発言事件とその前/後のガリアーノの人生を見せてくれるドキュメンタリー。

とにかくジョン・ガリアーノ本人があの事件を反省しながら「すべて話す」ということで、終始出まくっています。まあ、典型的な「問題児の天才」ですね。アクが強い人なので、見続けているとちょっと疲れるかな。

でも作品の美しさが、それを癒してくれます。ジヴァンシィの、ディオールの、マルタン・マルジェラのショーでの彼の作品が画面に出ると、その圧倒的なデザインや色合いやゴージャスさに圧倒されます。ほんの短い映像が、凄いんです。うーん、やっぱり稀代の天才に違いありません。

その人が酒と薬物と過労による「病気」状態だっったとはいえ、あのようなユダヤ人蔑視、ヒトラー礼讃発言(+アジア人差別もあった)で身を亡ぼすとは…。でも、やるべくしてやっちまったって感じもありますが…。結局、「天才」ってものすごく片寄りがある生き物なので、世の中や歴史や世界についてあまりにも無知だったということだと思います。無知は罪でもある、まあこれは正しい。 そして結果として、今に続くキャンセル・カルチャーを生み出した人ということになるのかも知れません。

もし伝記映画を作るとしたら、ホアキン・フェニックス主演でいかがでしょうか?(ちょっと似てるし)

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2024年8月23日 (金)

「髙田賢三 夢をかける」@東京オペラシティ    #髙田賢三 #高田賢三 #高田賢三展 #高田賢三夢をかける #KENZO 

Dsc_1627_copy_1024x757 初台の東京オペラシティ アートギャラリーで開催中の展覧会『髙田賢三 夢をかける』(~9/16)を鑑賞。2020年にコロナで急逝されて以降初の回顧展です。

Dsc_1629_copy_1024x768 19時閉場のところ18時過ぎに入ったとはいえ、小生が出会った観客は4人ほど。大丈夫なんでしょうか?

Dsc_1630_copy_1024x715 初台の会場ということで、賢三さんの母校=文化服装学院の近く。展示品の大半は、文化学園ファッションリソースセンターからのものでした。

Dsc_1632_copy_570x768 ケンゾーといえば花柄と民族衣装ですが、それ以前の作品もあれば、日本の着物や農民の衣服(モンペなど)をアレンジした作品もあって、彼の80年の生涯と作品を網羅した展覧会になっております。

Dsc_1633_copy_1024x768 ケンゾーさんって、晩年になってからオールバックのダンディな紳士になったけど、けっこう長いことおかっぱ頭に大きなメガネの「変な東洋人」みたいな姿でした。まあ、あれがトレードマークだったのですが、もっと早くからオールバックのダンディになった方がカッコ良かったのに。

Dsc_1634_copy_806x768 2004年アテネオリンピックの時に、日本選手団のユニフォームを担当したんですよねー。白地にシャクヤクの花をプリントしてあって、「らしい」んだけど、えらく不評だったとか。まあ、スポーツっぽくないですからねえ。

Dsc_1635_copy_1024x729 最後の大きなスペースには、各年代の代表作がずらりと並んで壮観。

Dsc_1636_copy_1024x768 やっぱり花柄ですよねえ。そして民族衣装風。

Dsc_1637_copy_1024x768 シンプルに「自分ならでは」を持っている人、それを突き詰められる人は、やっぱり強いですよね。

Dsc_16382_copy_1024x768 あくまでも明るく、楽しく、美しかったケンゾーの服。壁面のファッションショー映像を見ても、そこが世界に受け入れられた唯一無二の個性なのだとわかります。

Dsc_1640_copy_1024x768 最後の壁面には、彼のデザイン画がずらりと貼られていました。うまいとは言い難い絵なのが、ご愛嬌なのでありました。

 

(追記) 死後初の回顧展と書きましたが、2021年に文化学園服飾博物館で開催していました。自分で書いたくせに、すっかり抜けておりましたー。すみません。

「高田賢三 回顧展 Dreams -to be continued-」   #高田賢三 #KENZO #高田賢三回顧展: 大江戸時夫の東京温度 (cocolog-nifty.com)

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2024年5月10日 (金)

佐藤卓 展 TIME    #佐藤卓 #佐藤卓展タイム #TIME #奥野ビル #砂時計

Dsc_1316_copy_610x768 2021年の佐藤卓 展『MILK』に次ぐ『TIME』(~5/11)を観に、銀座一丁目の奥野ビル3FとB1のギャラリー「巷房(こうぼう)」へ。 (『MILK』のレポートはこちら ↓ )

佐藤卓 展 MILK   #佐藤卓 #佐藤卓展ミルク #MILK #奥野ビル : 大江戸時夫の東京温度 (cocolog-nifty.com)

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奥野ビルは変わらずに奥野ビルです。夕方はオレンジの灯がともって、美しいですね。

Dsc_1317_copy_560x768 中も栄えていて結構です。どこを撮っても、どこから撮っても絵になります。それが奥野ビル。ちなみに1932(昭和7)年に建ったそうです。築92年かあ…。

 

Dsc_1318_copy_594x768 まずは3Fに。今回の展示は、オリジナルで作った砂時計がいっぱい。

Dsc_1319_copy_1024x754 さすがに砂はどれも落ち切っていますが、砂が落ちるまではどれぐらいかかったんだろう?とか、これだけの数の砂が落ちる時にはどんな音が出ていたのだろう?とか、思うことしきり。

Dsc_1320_copy_1024x758 目測で高さ60㎝ぐらいでしょうか、砂時計の下には台座、上についているオレンジのようなボールが明るく楽しい雰囲気を醸し出しています。

Dsc_1321_copy_361x768 前回の『MILK』同様、今回の『TIME』も、コンセプチュアル。「時間」をテーマにしているだけに、よりコンセプチュアルだと言えるでしょう。

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地下の展示はこんな感じ。大小の砂時計の周囲を取り巻く12角形の木枠を転がして行けば、砂が落ちるのでしょうね。でも「展示品にさわらないでください」なので、砂は動きません―。時は止まったまま。

Dsc_1325_copy_1024x768 展覧会ポストカードに書いてある佐藤卓さんの文には、「使用している黒く輝く砂は、産業廃棄物を高熱で処理した後に残るスラグと呼ばれる物質を粉砕したものです。」とあります。

Dsc_1326_copy_1024x682 そして「流れるスラグをご覧いただきながら、時間というものに思いを馳せていただければ幸いです。」とあります。うーむ、やっぱり流れてるところを見たかったですね。

 

Dsc_13262_copy_546x768 地下のもう一室には、光源を隠れた奥に置いて、右壁面に影が映るこんな展示。で、そこに使われている砂時計が、見たことのないユニークな形。これこそ、どんなふうに流れるのか見たかったですね。二股に分かれるときには、どうも均等にはいかなかったようです。

 

Dsc_1322_copy_1024x732 まあ、「時の流れとその重さを体現しているのは、奥野ビル自体だった」というオチが、座りが良いような気がいたしました。

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2024年5月 5日 (日)

(番外編)草津よいとこ    #草津温泉 #草津の湯畑 #岡本太郎 #光泉寺 #遅咲如来 #となりのトトロ

Dsc_1284_copy_1024x768_1 せっかくの黄金週間なので、一泊で草津温泉に初めて行きました。「草津よいとこ 一度はおいで」が果たせたわけで、感無量であります(大げさ)。

草津温泉、たまたま先日部分的に見てたテレビ番組で、「外国人が好きな温泉地」の第1位に選ばれたりしていました。それよりも、朝日新聞の連載で横尾忠則さんが「帯状疱疹になったとき、医師の勧めで草津温泉に行ったら、半年間痛かったものが一回の入浴で治った。温泉は神様です。」と書いていたので、やはりミラクルな湯なんだろうな、と思い…。

Dsc_1286_copy_1024x649 でも、さすがはゴールデンウィーク。実は数日前に行くことを決めたので、行きの電車は席が取れず、高速バスで。これが4時間ほどで着くはずだったのですが、渋滞にはまって、結局6時間40分もかかりました。間にPAでの30分休憩(+戻らない乗客を待つ15分)がありましたが、到着が2時間半以上遅れてしまいましたからね。たまりませんわ。

Dsc_1304_copy_800x551 まあ、そうは言ってもやることがそんなにあるわけじゃないので、それでも問題なし。中心地の湯畑界隈を見て、でも「湯もみショー」とやらはパス(もともとパスする予定でした)。だって、YouTubeで動画を見ると、若い娘さんや昔の娘さんが民謡唄って、長いヘラみたいなものでお湯をバシャバシャかき混ぜるだけみたいだったので(真実のほどはわかりませんが)。そんなもの特に見たくないです。

Dsc_1287_copy_800x600 そうなると、もう温泉に入るしかありません。二日間で、宿の温泉その1とその2に入り、湯畑付近にある温泉施設AとBにも入りました。お湯は熱め。硫化水素の香りと、ちょっと塩味が感じられます。なんか濃厚で、効きそうな感じですね。あと、湯畑のデザインって、岡本太郎がやってるそうですね。びっくりです。この地面の滑り止め?のデザインも太郎っぽいけれど、これは違うのかなあ。

Dsc_1285_copy_789x600 デザインといえば、セブンイレブンもローソンも景観を守るために、モノクロというか濃いセピアというか、そんな抑えた色調でした。なかなか渋いのですが、入りにくいような気もしますね。Dsc_1307_copy_736x600

Dsc_1294_copy_450x600 あとは長い階段を登って光泉寺とやらに詣でて、昨年11月に完成したばかりの真新しい五重塔を拝みました。これだけ新しくてピカピカだと、なんかありがたみがありませんね。 

Dsc_12982_copy_721x600 境内には「遅咲如来」っていう茅葺き屋根(珍しい!)のお堂もあり、遅咲きの人やこれからもう一花咲かせたいって人に勇気を与えているようであります。Dsc_1296_copy_568x600

Dsc_1299_copy_636x600 あ、あと『となりのトトロ』のトトロ(コンクリート製)と七国山行のバス停もありました。よく見ると、トトロの頭上にはまっくろくろすけも。

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帰りは快適な電車です。温泉から30分ぐらいバスに乗って、長野原草津口駅へ。そこから特急電車で赤羽駅まで2時間15分。やはり道が混む時期は、電車でGO!ですね。

 

 

 

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2024年4月19日 (金)

池袋WE ROAD(ウイロード)がキレイ    #ウイロード #WEROAD #池袋ウイロード #植田志保 #雑司ヶ谷隧道 #豊島区えらい

Dsc_1177_copy_768x576 池袋界隈の人には「何を今更」と思われてしまう話題。だって知らなかったんだもーん。

Dsc_1180_copy_768x613 JR池袋駅北側の東西を結ぶ地下通路「雑司ヶ谷隧道」をかなり久方ぶりに通ったら、キレイに改修されて…というか、まったくの別物に生まれ変わっておりました。その北側の先のスロープや公衆トイレも含めて、あっぱれな公共アートになっていたのです。

Dsc_1178_copy_768x550 明るいトーンの色彩が混ざり合った抽象絵画。暗い地下道というイメージを一気にひっくり返す素敵な試みです。

Dsc_1179_copy_768x544 場所柄、防犯カメラも据え付けてあるのですが、それもこのようにカラフルな壁と一体化。

Dsc_1181_copy_768x513 季節を問わないし、老若男女を問わず受け入れられやすい素直に美しい色彩です。明るく、楽しく、気分が良い。

Dsc_1174_copy_768x465 それって、パブリックアートとしては最高じゃないですか。お役所(豊島区)としても、あーだこーだ文句言われることが少なくて済むでしょうし。実際、目の前で実物を見ると、写真以上にキレイで、感情に訴える色彩です。

Dsc_1176_copy_1600x1200_20240419233901 パネルが貼ってあったので、読んでみたら、大正14(1925)年に建設された雑司ヶ谷隧道が、昭和61(1986)年の改修時に「WE ROAD(ウイロード)」という愛称をつけてもらったんだそうです(WESTとEASTを結ぶ、私たちの道ってことで)。ってことは、来年100周年なんだ! 

Dsc_1175_copy_768x464 そして、近年の改修で植田志保さんというアーティストが壁面などに直接描いて、完成したのが2019年。

Dsc_1185_copy_768x540 でも、その後もエリアを広げていったのでしょうね。地上へのスロープの壁面とか、金属のガードとかもカラフルです。

Dsc_1182_copy_768x522 毎日ここを通っていたら、心が洗われそうですね。ポジティブで楽しい思考回路になりそうです。

Dsc_1186_copy_768x576 朝と夜とで照明のトーンを変えたりもしているのだそうです。やりますね、豊島区。

 

 

Dsc_1184_copy_768x550 でもそれだけで驚いてちゃいけません。この上にあるトイレが凄いんです!

Dsc_1166_copy_768x576 まさにアートなトイレなのです。

Dsc_1170_copy_768x576 中もアート(男子用しか入ってないけど)。

Dsc_1171_copy_768x550 本当に気持ちの良い空間になっていました。色彩のおかげなんです。

Dsc_1169_copy_768x1024 上を見ても、カラフル、ビューティフル、ワンダフル。

Dsc_1168_copy_768x1024 ガラスを通した光で見ると、この色がまた幻想的で、格別です。

Dsc_1172_copy_768x588 外の植え込みもお見事です。いやいや、感服いたしました。公共の施策として、最上級の例ではないでしょうか? 犯罪率や精神を病む人の数さえ減るのでは?と思っちゃうぐらいです。

Dsc_1167_copy_737x1024 新宿の東西を結ぶあの古ーい地下道も、同じようにやればいいのにね。

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2023年12月22日 (金)

クリスマスシーズンの銀座    #銀座のクリスマス #ミキモトツリー #和光改めセイコーハウス銀座 #ギンザシックス #中銀カプセルタワービル

Dsc_0522_copy_768x572 ザギンです。季節はクリスマス直前。このシーズンの銀座の夜は、冷えた空気の中、光の美しさが格別なんですよね。まあ、こればっかりは写真じゃ伝わりません。

Dsc_0523_copy_768x1024 でも写真でその雰囲気を少しでも・・・

中央通り(銀座通り)に沿って、2丁目のブルガリと、その向かいに3丁目のルイ・ヴィトン。

そしてその隣の松屋銀座は、建物自体が氷のように青白く発光。

Dsc_0525_copy_768x569 その先には、4丁目のミキモト。昔の生木とは違うけど、やはりここのツリーは銀座のクリスマスの象徴です。

Dsc_0537_copy_997x768 で、4丁目交差点に燦然と輝く和光改め「セイコーハウス銀座」(改名したことを知らない人も、まだ多いでしょう)。ライトアップがステキです。『ゴジラー1.0』でも壊されておりましたねえ。

Dsc_0536_copy_477x768 晴海通りを挟んでその先にあった5丁目の「三愛」ビルは、現在絶賛解体中です。すごいですねー。こんな銀座の中心で、通行を妨げないようにしながらの解体。

Dsc_0527_copy_768x1024 そういえば、銀座通り沿いの各ブロックにこんなキレイな数字が設置されております。「5」に限らず、1も、2も、8もあります。そう、銀座何丁目かを示すナンバーなんですね。ここは5丁目、銀座コアの前。

 

Dsc_0535_copy_1003x768 そして6丁目のギンザシックス入口前にはこのコンテナ? 

Dsc_0534_copy_964x768 これは、あの黒川紀章氏による異端の建築「中銀カプセルタワービル」(2022年に解体)の一室を改装して展示しているアートなのだそうです。クリエイティブスタジオYARさんによるこの作品の展示は12月25日まで。

Dsc_0531_copy_1024x768 中を覗くと、何とレコード・リスニング・ボックスになっているって趣向。なんだか宇宙船の中のようで、「昔思った未来」がそこにあるって感じです。

Dsc_0530_copy_938x768 壁に掛かったレコードは竹内まりや、山下達郎、松任谷由実、坂本龍一らのもの。なぜか渡辺満里奈もありましたよ。実際にこれらの曲も流れておりました。(関係ないけど今年はタツローさんのあの曲もあまり流れていないような…。ジャニー氏擁護発言の影響でしょうか?)

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まあ、そんなこんなで銀座の夜はメロウに更けていくのでした。

 

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2023年11月28日 (火)

展覧会「活字の種を作った人々」@本と活字館<後編>    #活字の種を作った人々 #本と活字館 #市谷の杜 #活版印刷 #大日本印刷 #DNP #秀英体 

昨日の<前編> ↓  に続いて、「市谷の杜 本と活字館」の見学および展覧会『活字の種を作った人々』、後編です。

展覧会「活字の種を作った人々」@本と活字館<前編>    #活字の種を作った人々 #本と活字館 #市谷の杜 #活版印刷 #大日本印刷 #DNP #秀英体 : 大江戸時夫の東京温度 (cocolog-nifty.com)

 

Dsc_0392_copy_768x548 活字に驚嘆しながら、その先に歩を進めると、これまたレトロな印刷機が! このスペースを使って今も毎日、活字を拾って版を組み、印刷しているのだそうです。びっくりです。

Dsc_0403_copy_768x554 その先には、製本を解説するコーナー。糸でかがって製本する機械もあって、時間があればもっとじっくり観たかったところです。

Dsc_0393_copy_768x942 後ろ髪をひかれながら2階へ。階段を上って正面に見えるのが展覧会場です。『活字の種を作った人々』。ここまでの見学で、だいたいどういう内容なのかは推測できるようになっております。

Dsc_0396_copy_768x1024 渋いというか地味というか、実にオトナな内容です。でも大江戸もオトナなんで、こういうの面白いですねえ。「秀」とか「朝」とか、柱に入った大きな文字が効いてます。

Dsc_0394_copy_768x825 活字見本帳を置く位置に「トンボ」がつけてあるあたり、洒落てます。会場デザインの小ワザですね。

Dsc_0397_copy_768x560 朝日新聞や毎日新聞のオリジナル字体の活字や、昔の紙面も。新聞社や出版社がそれぞれに自社のオリジナル活字を使い、それらの種字を彫る職人さんを抱えていたそうです。すごい話ですね。

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そうして出来上がった活字を組むとこうなるわけです。それはそうと、職人さんって反転した「鏡文字」で彫っていくわけです。完成形を反対からイメージできないとダメなんです。やっぱりすごいなあ。おそるべし職人技!

Dsc_0401_copy_689x1024 印刷用の版。本当に昔の印刷は、鉛の重さとの戦いだったのでしょうね。

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活字職人さんの作業風景動画も流れていました。そんな人たちが使うプロの道具もまた、この精緻な美しさ。まるで手術道具みたいですね。デイヴィッド・クローネンバーグ好みの世界であります。

 

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いやー、活字と印刷の世界、面白かったです。時間制限がなかれば、もっとずっと観ていられたことでしょう。グーテンベルクの活版印刷機の発明は、火薬、羅針盤とともに「世界三大発明」だと昔習ったんだか雑学で覚えたんだか、いずれにしても今日の見学で納得しました。これによって、書物が多く広まるようになったわけですから、まさしく人類の文化を大きく前進させることに貢献したわけです。すごいぞ、活版印刷! 時代の流れの中で=印刷技術の進歩によって、今の需要はほとんどなくなっているわけですが、すべての「基本」として受け継がれるべきものだと深く認識しました。

Dsc_0376_copy_768x576 そして、それをこのようなミュージアムとして保存、公開している(しかも実際に使用しながら)大日本印刷さん、さすがです。エライ!

Dsc_0402_copy_768x568 そういえば、2階は展覧会スペース以外にも、制作室(イベントやってました)とかグッズショップとかがありました。その脇のスペースにあった長椅子はご覧の通り、巨大な活字を模したものなのでしたー。洒落っ気たっぷりですう。

 

 

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2023年11月27日 (月)

展覧会「活字の種を作った人々」@本と活字館<前編>    #活字の種を作った人々 #本と活字館 #市谷の杜 #活版印刷 #大日本印刷 #DNP #秀英体 

Dsc_0404_copy_768x574 昨日、市ヶ谷駅から徒歩10分ぐらいの「市谷の杜 本と活字館」に初めて行きました。いやー、いろいろと発見があって、地味に興奮しました。

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市ヶ谷の北側に坂を登って行き、防衛庁の先に位置する一帯は静かで広々としたエリア。日曜なんで、ほぼゴーストタウンでしたし。いやー、新宿区にこんな所があったんですね。ノーマークでした。そしてこのレトロで美しい建物は、1926年に建てられたそうです。当時は大日本印刷の前身である秀英舎の印刷工場だったそうですよ。この周辺、かなり広い土地の中に大日本印刷=DNPの大きなビルやいくつかの関連施設が建ってたりして、すっごいスケール。いやー、恥ずかしながらDNPがここまで超・大企業だとは知りませんでした。

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ここには『活字の種を作った人々』という小規模の展覧会(~2024年6月2日/入場無料)を観に来たのですが、その会場(2階)に着く前に、外観と1階でコーフンしてしまいました。あ、ちなみにここは土日祝は予約なしでも入れるのですが、平日は要予約のようです(月・火は休館)。調べてから行ってくださいね。

Dsc_0379_copy_768x544 受付の方に「こんにちは」して1階フロアを見渡すと、むむむ、カフェもあるけど、活字や活版印刷のあれこれが展示してありますね。そしてパネルを見ると、おお、往年のこの建物の写真! 今と(たぶん)変わらぬ外観です。

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どうやらこのあたりは印刷・活字関係の常設展示なのでしょうね。展示してあるものはいかにも古いのですが、その見せ方(サインとかキャプションとか映像とかデジタルとアナログを融合させた説明機械?とか…)は現代的で、もろもろのデザインも洗練されています。

Dsc_0383_copy_635x1024 そうかー、明朝体とかのフォントに「秀英体」ってのがあることは知っていたのですが、ここがもともと秀英舎だったからなんですね。知らないことがいろいろわかって、目からウロコが落ちていきます。

Dsc_0384_copy_768x1024 活字のもとを彫る機械とか、鉛を溶かして活字を造る機械とか、いろんなものがあるわけです。大江戸は確か30歳前後で気づいたのですが(遅い?)、印刷物の文字、活字って、もともとそこに存在するものじゃなくて、誰かが大元の文字を手で書いて(描いて)創り出したものなんですよね。考えてみればあたりまえなんですけど。それはコンピューターのフォントであっても同じことです。

Dsc_0386_copy_768x1024鎮座している機械は、いかにも年季を感じさせるものです。重くて頑丈そうです。

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一方で、木製のデスクみたいなのに、指定の位置にアクリルキューブを置くと、説明映像や動画が見られるというデジアナ・ハイブリッド解説マシーンもあったりします。そして学芸員なんでしょうか普及担当員なんでしょうか?親切な説明をしてくれる女性もいらっしゃいました。大江戸は時間の関係でパスしましたが、活版でしおりを作れる実演コーナーなんかもありましたよ。

 

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ああ、鉛の活字がずらりと並んでいて、壮観です。

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頻繁に使う語句は、2文字、3文字と合わせたものを用意してあったりもするのです。よく使う字はたくさんあるんですね、なるほど。1ページに何回も出てくるんだから、そうでなきゃ足りなくなっちゃいますもんね。

Dsc_0390_copy_768x576 ルビ用の活字なんていう超絶小さいものもありました。びっくりしたな、もう。さすがに初めて目にしましたよ。驚異!

係の方の説明を聞くと、いろいろ驚くことだらけ。いやー、印刷の歴史の中で数多くの知恵と技術が生み出され使われ続けてきたのですねえ。人類の育んだ偉大なる文化です。もっとじっくりと見聞きしたい感じでした(当日の小生は時間制限があったのです)。

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大日本印刷が作った本や雑誌も展示されていて、『キング』『平凡パンチ』などもありましたが、かの『ホトトギス』も展示されていて、漱石の『吾輩は猫である』のページが開かれておりました。なんか、歴史と伝統が凄すぎますわ、ここ。

思いのほかの面白さと充実ぶりにかなりアガりながら、後編へと続く・・・↓

展覧会「活字の種を作った人々」@本と活字館<後編>    #活字の種を作った人々 #本と活字館 #市谷の杜 #活版印刷 #大日本印刷 #DNP #秀英体 : 大江戸時夫の東京温度 (cocolog-nifty.com)

 

 

 

 

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2023年10月23日 (月)

「ジャンポール・ゴルチエのファッション狂騒劇」:核心部分が空(から)    #ジャンポールゴルチエのファッション狂騒劇 #ジャンポール・ゴルチエ #ゴルチエ 

01_20231023214601映画『ジャンポール・ゴルチエのファッション狂騒劇』は、ゴルチエの生涯をもとにご本人が企画・脚本・演出を手掛けたミュージカルの舞台裏を描くドキュメンタリー。このミュージカル(『ファッション・フリーク・ショー』)、パリ、ロンドンを皮切りに、東京・大阪にも来たんですってね。知りませんでした。

ゴルチエの生涯なんですから、そりゃもうカラフルです。ピエール・エ・ジルも、アルモドバルも、コーン・ブラも、『フィフス・エレメント』も、クマも、みーんな入ってます。トッピング「全部入り」ラーメンのように盛りだくさん。ゴルチエ版『オール・ザット・ジャズ』なんでしょうかね。

ゴルチエさん、よく笑う陽気なオジサンです。そして「太いエネルギー」を放散させています。彼のことをよく知らない人が観ても、面白い人物と映画になっていることは確かでしょう。

ただ、ファッションデザイナーを引退した後のステージづくりのドキュメンタリーなので、彼「本来」のファッションデザイナーとしてのああだこーだは、映像の端々から垣間見られるだけ。そのあたりが、どうしても物足りない感じがする理由なんでしょうね。核心の部分が空(から)になっているのです。

 

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